( 後日談『7日目』 )



「あの人たちは私たちのこと、嫌いなのかなあ。」


 私、何も悪いことはしていないのに何でこんなことされてるのかな。
 こないだ、あの人達は皆よりも私が強かったら特別に此処から出してあげるよって言った。皆を殴ったり、蹴ったりすると私の体も心も傷んでくから、私は誰も傷つけたくなかったけれど、絶対って約束してくれたから頑張ったのに。なのになんで、なんで私は此処に戻ってきたの? なんであの人達は笑ってるの?

 体中が痛いよ。お父さん、どこにいるの。お母さん、助けてください。
 夜になると明日が嫌だって、心臓の辺りが痛くなるんだよ。明日になったらまた今日の繰り返しだから。朝になるともう起きたくないって、おなかが痛くなるんだよ。また今日という日が始まるから。
 ベッドの上に上がるのはもう慣れたけれど、体が動かなくなる薬を入れるための針は嫌い。体が動かなくなると何をされても痛くないけれど、薬が切れてきたらどんどん痛みが広がってくるのは辛い。
 いっそ死んじゃえば良いって言って、此処にいる半分以上の子が死んでいった。夜に首を吊った子は、次の朝には排泄穴や鼻の穴や口から色々なものを垂らして死んじゃってた。舌を噛み切って死のうとした子は死に切れなくて、大きな声を上げて泣いていたら軍人さんに連れて行かれたままもう戻ってきてない。


「私、いつか一人で死んじゃうのかな。」
「×××。そのときは僕も一緒に死ぬよ。一人で死ぬのは寂しいもんね。」
「……ありがと、×××」


 私は今日も白い部屋に入っていく。
 私は今日、また白に染まっていく。


/白い部屋