スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

思い出


 ――覚えていること。
 僕は、一人ぼっちだった。大人は誰も分かってくれないし、世界はいつまでも変わらない。
 姉様は優しく寛容な人だったが、重い持病を患っているために中々会うことが出来なかった。父様はいつも私事で忙しく、母様は病気の姉様に付きっ切りだった。召使はただの道具。どれだけ多くの富があったとしても、此処にあるはずの心が死んでゆくのなら僕は富などいらない。僕はただ自由に生きたいだけ。
 そして僕は、罪を犯した。


 ボ ク ハ ワ ル イ コ デ シ タ


 十年生きて、やっとこのちっぽけな屋敷のことが分かってきた。いいや、分かりきっていたことなのだけれど、皆僕なんかよりも姉様の方が大切らしい。メイドも、バトラーも、コックも、皆姉様が大好きなんだ。勿論、父様も母様も……僕も。世界で一人だけの姉様。いつも僕のする話に耳を傾け、親身になって聴いてくれた姉様。一人で部屋や廊下で遊んでいると、何処からともなくやってきて一緒に遊んでくれた姉様。僕のことだけではなく、いつもいつも皆の笑顔の中には姉様が居た。
 いつの間にか僕は、姉様に醜い嫉妬心を抱いていたのだった。羨みの気持ちが、時と共に妬みに変わるのは自然なこと。ただ、姉様にそんな気持ちを抱いてはいけなかったのは当然のこと。

 逃げるために、僕は嘘を吐いた。嘘はどんどん、大きくなった。
 いくら僕が「ごめんなさい」と泣き叫んで謝っても、到底償えきれないほどに大きく膨らんでいった。もう、本当の事が言えなくなった。もう後戻りなんて出来ないくらいに、もう振り返ることさえ赦されないくらいに。偽りの笑顔を浮かべ、偽りの言葉を発する僕は、既に僕でなくなった。僕は此処で、一度死んだんだ。
 自我。そう呼ばれる僕の心はいつしか成長を止め、偽りの彼等はどんどん成長していった。彼等が心だけでなく、体まで乗っ取ろうとしたときに、自我が生まれた。嗚呼、誕生日、おめでとう。

 姉様を殺したのは誰だ。
 父様を殺したのは僕なのか。
 母様を殺したのは、僕だ。

 視界が黒から赤に変わり、気が付いたとき、手には果物用のナイフを握っていた。何十人も住んでいたこの屋敷に、息をしている動物は僕一人。立っているのは、僕一人。どうしてこんなもので皆を殺せたのか、不思議で不思議で仕方がない。今も、昔も。きっと心の声が僕にやり方を教えてくれたから、だからこんなにも酷く凄惨に美しく、屋敷内を彩ることが出来た。……そう信じたいものだ。
 随分と前に何処かの誰かは、作り上げていくのは難しくとも、壊すのは簡単だと言っていた。けれど、それならば壊した後に何故悲しくなるのだろうか。ナイフを捨てた後、僕は泣いて、泣いて泣いて、笑った。
 作り上げていたものは全て、壊してしまったんだ。

 ふと顔を上げると、真っ赤な花が挿さった花瓶が目に入る。表面に反射して映っているのは、僕とその背後で蠢く沢山の影。きっとそれは、最初で最後に見えた僕の偽りだったのかもしれない。今まで吐き続けてきた数多の嘘。これは一生僕が背負うであるもの。






 ――思えば、僕はいつも一人になろうとしていたのかもしれない。本当は僕が望んでいなかっただけで、大人は僕のことを心配してくれていて、世界は随分と目まぐるしく廻っていたのかもしれない。
 なんて馬鹿なんだろう。なんて、馬鹿だったんだろう。

不死川 伍樹


ぷろふ、


「君の目前にびよーんって伸びる、とーっても真っ直ぐな道があるとする。素直に進めばあら不思議。何故か元の場所に戻ってるんだよね。そこで、ひょいっと道を反れてみたらまあ大変。真っ暗な奈落の底に真っ逆さまさ! ふと気が付いたときに、君の前にはまた一本道が現れました。仕方ないからそれに沿って進んでみたら、また同じ場所へ戻ってきてしまう。そこで君は困り果てたってわけ。一体ここは何処だ此れは何だ、ってね。――――なんていうかさあ、メビウスの輪とかクラインの壺みたいに終わりのない無限ループの世界って怖くね? がくがくぶるぶるしちゃう、とかさ。でもさ、そういうループって案外身近なところで起こってるんだよ。」
「アレルイヤ、アレルイヤ。君は今、哀しいかい。君は今、悔しいかい。君は今、恨めしいかい。君は今、遣る瀬無いかい? ……俺には解るよ。君の感じてきたこと、君の歩いてきた道が。それがどんなに辛いものだったとしてもね、その道のことを忘れないでほしいんだ。足跡は一生残る。ただーし、意味の無いナンセンスはジャバウォックの詩だけで十分。それ以上この世にナンセンスが溢れると、俺はどうにかなっちゃいそうだ。勿論君達もね! その道があるから今の君が居るんだ。だから、行き詰ったときに振り返ってごらんよ。どんなに曇っていても、どんなにナンセンスでも、足跡を付けた本人にはハッキリ見えるはずさ。」

『別に俺は凄い奴なんかじゃないよ。不死身でもなく、人間ではなく、化け物にもなりきれない。そうさ、元は家畜以下の人間だったんだ。……そんな俺を愛してくれたあの人を、俺は今でも愛しているつもりだよ。彼はもうこの世に居ないけれど、この魂が地上を離れるとき、また逢えるはずだから。――――だから、俺を殺したければ殺せばいいよ。俺は生きすぎた。』

(( 意味のない日々を、もっと楽しませて。 ))


名前:不死川 伍騎(しなずがわ いつき)
性別:
年齢:130歳
誕生日:2月10日「ジンチョウゲ ―不死身―」

性格:自由奔放で落ち着きのない風来坊。冒険好きな子供っぽい一面があり、一箇所にとどまることを知らず、絶えず四方八方に飛び回っている。何かに例えるのなら雲で、四六時中その辺りに漂っている。屯っている。しかし、自由を履き違えてしまったのか、人生は常に行き当たりばったり。その代わりに自然と身に付いた、何処でも生きていけそうな雑草根性を持っている。計画性の無さに関してはピカイチ。伍樹の立てた計画はいとも簡単に崩れ去るため、最早計画と言えない始末。よく行き倒れる、行き当たりバッタリのどうしようもない人生。スケールがでかく、かなりの気分屋であり思考は音速、行動は光速。一度こうすると決めたら何が何でも行動に移そうとする。不言実行。最早それは、並大抵の常人では付いていけないレベル。論理と直感はハイブリッド仕様で、それが周囲を動かす力となっている。そして、見方を変えてみてみれば、ブレーキの壊れた厄介なオンボロトロッコ。伍樹にとって安定とは一種の毒であり、安定した生活からかけ離れた不安定な世界を望んでいる。多かれ少なかれ、心の中心にはいつも自堕落願望が蔓延っている。駆け引き依存症のギャンブラー。運命や流れといった、所謂風に身を任せている。自分在ってのこの世界と考えている面があり、自己中心主義者で自己過信。人の事になるとどうしても無責任になりがち。自己顕示欲が強く、物事に率先して取り組むので何をやっても伸びやすい型。また、才能が豊かでセンスがある。自然に目立っている。天邪鬼な為、周囲に心配されることに嫌悪感を抱く。自分の事に関して横から他人に関与してほしくない。あまり不安や病気を面には出さない。快活かつ、話術に長けていて自分もよく動き回る。饒舌で扇動特性高し。ただ、悪く取ると唆しの天才。「一回やってみようよ」と言葉を巧みに操りながら人を扇動する。いざとなったら発動する困った逃亡癖の持ち主で、悶着のほとぼりが冷めた頃に戻って来る。ストレスを未然に回避することは出来るが、知らないうちに周囲に迷惑を掛けている。

容姿:見た目は18歳くらい。漆黒の人。髪の色は烏の濡れ羽色。まるで女性が持つような、艶やかで美しく深い漆黒の髪を持っている。髪質は良いほうで光の下へ行くと綺麗な天使の輪が出来る。つやつやで一本一本の太さがほぼ均等。髪形は襟足が長めのショートカットの無造作且つ、ツヤキューティクルサラサラヘアー。髪のボリュームは全体的に大人しめ。前髪の長さは目に刺さらず、それでいて眉にかかるくらいの長さ。大分梳いてあり、軽く涼しげ。耳には少しだけ髪がかかる。虹彩の色は金色が多く含まれたアンバー。俗に言う狼の目。太陽光に照らされたとき、瞳孔近くの色が澄んだ金色になり、その周りが黄色雑じりの金色に見える。緩い螺旋を描く模様があり、自然な感じに澄んだ瞳をしている。異能力を使用する際は、アンバーから深いクリムゾンへと変わる。二重瞼で流し目が似合う切れ長な眼。目の下に広がる薄ら黒紫のくまの所為で常に不健康的。顔は特別カッコ良かったり綺麗でもないが、一般的に見るとやや整っているほう。シュガーボーイ、括弧憫笑。西洋人的な華やかさは無いが、東洋人独特の雰囲気が漂っている。無表情がデフォルトだが、別に無口なわけでない。他の歯より犬歯が発達していて、大きく鋭く尖っている。笑うときは大抵口を閉じてほくそ笑む。血色は良いが白い肌をしていて、顔の中ではくま目が目立つ。耳の先がまるで、エルフや悪魔のように尖っている。身長は190センチ後半。芯が細い身体付きをしているが、服の上からは分かりづらい隠れマッチョ。体重は大体70キロ台。また、体幹が良く、体術に優れた恵まれた身体をしている。
服装:自身が満足する程度の質素な服装で、着飾るのは好きではない。大抵体のラインが強調される生地の細身Vネックの長袖黒シャツに、ダークグレーの着古した感溢れるダメージジーンズを履いている。無地シャツで、丈はアクションがあると腹がチラチラ見えるくらいの短さ。腹ちら、際どいあざとい。ゴシック調な茶色いベルトをしているのがわかる。大きめのサイズであるジーンズの裾は、案の定踏み過ぎてボロボロになっている。だぼい。また、デザインとしてほつれや小さなスリットが施されている。左ポケットから左の尻のポケットに荒い銀チェーンを引っ掛けている。右の太腿にはリボルバーとリロード用の銃弾を収納するための黒いホルスターを取り付けている。靴は厚底の黒い革靴。体術に向いていない服装をしているが、長年同じような格好をしているので意外にも俊敏に動ける。Vネックで開いた胸元には、名前が読み取れないドッグタグを提げている。

能力:「運命変化(チェンジ・フェイト)」モノの時間を巻き戻すことのできる能力。その場の時間を巻き戻すのではなく、モノの状態や見た目を巻き戻し、今在るものよりも新しくする。右手の指先で触れた箇所の時間を巻き戻す。能力の対象は形のあるモノ全般。生物、死体、静物など実に様々なものが対象物として挙げられるが、中には例外もいくつかある。しかし、広く見ると戻せないもののほうが遥かに少ない。ただし、暗黙のルールとして死人を生き返らせることは出来ない。また、あくまで時間を巻き戻すだけなので、自分や他人の命を操ることも出来ない。此処が重要。最大10年前の状態にまで戻すことが出来るが、巻き戻すことによって蘇った対象の痛みや記憶や感情を伍騎が共有しなくてはいけない。肉体的な痛みは一時的なものだが、記憶などは脳内に蓄積されていくため、異能力を発動させる毎に精神が崩壊する危険性が高まる。ハイリスク。現に何度か可笑しくなりかけたときがあり、現在は万が一のときに備えて精神安定剤を何種類も持ち歩いている。能力を使った箇所に繰り越しすることは不可能だが、同じ対象でも箇所が違えば何度でも発動させることが出来る。巻き戻したモノの時間を、再び元に戻すことも可能で、その場合は己の血で対象物の何処かに十字架を描けば良い。
武器:リボルバー(ジャバウォックという名が付いている、コルト・パイソンの4インチモデルに似たリボルバー。漆黒の銃身と、デザイン的に強調されたシリンダーが目立つ。装弾数は六発。ダブルアクション仕様だが、他のダブルアクションよりもトリガープルとトリガーストロークを最低限に抑えられるよう工夫が施してある。命中精度はシングルアクションのものと同じ。高精度だが定期的に手入れをしないと、すぐに不具合を起こす。)

備考:一人称は「俺」、二人称は「君/〜くん」など。あくまでも老若男女平等であり、二人称や接し方やその他諸々を性別や年齢、見た目によって変えることがない。逆に、レディファーストという心がけを知らなかったり、女の顔もモデルの顔も平気で傷つける。よくセリフに擬音語や擬態語を混ぜるが、わざとっぽい。ギャンブルなどの賭け事が大が付くほど好きで、とくに運が良いわけでもないのに賭場に入り浸っては、負けて帰ってくる。常にパッツンパッツンの金欠野郎。その割りに大飯食い野郎で、毎日の食費に困っている。好き嫌いが無いので基本何でも食べるほう。人間のことは大抵クソノーマルと呼んでいる。武器は持っているが戦闘は好きでやっているわけでなく、己の身を守るための正当防衛。好き好んで生き物を殺したくないと思っている。また、自分の異能力を使用するのも極力控えている。
経緯:まだまだ若い吸血鬼。113年前にとある男の吸血鬼に愛され、彼に血を分け与えられて吸血鬼となった。今の体に不満はない。生命力が人間よりもはるかに強く、中々死なないが、脳天を貫かれたり、心臓を突かれると普通に死ぬ。人間よりも丈夫で、治癒能力が高いだけ。身体に出来た傷はすぐに塞がる。身体能力(反射神経など)も高く、能力抜きの体術のみでも十分に闘える。人間よりも歳を取るスピードが遅く、いまだに若い姿のままである。血を分け与えてくれた吸血鬼は、「俺を殺してくれ」と懇願したため、既に伍騎の手でこの世から去っている。彼のことを愛していると度々口にするが、伍騎は同性愛者ではない。


イメージソング:ジャバヲッキー・ジャバヲッカ(カラスヤサボウ)
イメージCV:櫻井 孝宏


/君に愛された日々は宝物


マーダーカルト


傲慢性根 イカサマ戦略師
地位を妬んだような 名文句
奴の動機は 単なる嫉妬で
紅蓮に染まれば 最高の狂気さ

そこの肉塊も 喰い尽くしたら
保身的な愚者共は追い出した
アンタ等の虚栄 錆び付いてんだ
随分と嘘が得意なんだろうな

還る居場所はもう無いんだ
偽りの愛情 溺れ 溺れ
掻き回し 舌を這わせ
さあ今こそ 悦楽を知れ

マーダーカルト 本能に忠実
震える喉笛 蹂躙 叫べ 死の唄
マーダーカルト 有限の生命
冥王星(プルート)は本当の自分を受け入れた


地獄の楽園(ハーレム) 愛憎 連鎖
紅色のギニョルは平和を願っている
とっくに捨てた 人間感情
スノッブは格子越しから声掛けた

プラトニック 純潔 愛し 愛す
アマデウス 囁き 身を捧げ
ロマンにぼやけた アルゴグラニア
吐息の向こうで 嗤っていろ

マーダーカルト 円卓の関係
禁忌の一心同体 詰んだ人生
マーダーカルト 混乱の密室
打ち上げた心は オイタナジーを望んだ


どこかの暗君が嘲笑った
小さな抵抗 クルエル 鈍痛 洗礼
サイコパス 帰ろうか 檻の中
もう幕は下り始めた

マーダーカルト 幻想の栄光
剥き出しの劣情 愛 さあ ××を突け
マーダーカルト 完全なる挫折
ベルゼブブとサタン 歯車は狂う

マーダーカルト 本能に覚醒
震える喉笛 蹂躙 謳え 愛の唄
マーダーカルト 有限の生命
さあ抵抗と復讐を もう一人なんかじゃない


/替え歌。原曲⇒「マダラカルト(トーマ)」

前の記事へ 次の記事へ