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おおブリbQ-5/6『ハルから始まる花』



「ハリベルちゃん…愛って、わかるの?」

彼女の問いかけは、唐突だった。唐突で、それでいて『愛』を認識できなければ『愛する』ことなんて考えてもみないだろう。



ハリベルちゃんは、愛を知っていたんだね。

それを虚になった時に忘れてしまった。



でも、ハリベルちゃん……

思い出したの?

愛を、愛することを………。


ボクと出会ったから?




“ボクは誰でも愛せる”か。

それって―――

「ハリベルちゃんを、愛してる」
言葉にしてみる。


ボクの想いを
キミが望むことのような気がしたから。









…そう


だから、


「なら、なんなんだろうね」


「…ハリベルちゃん」

「あ、あった。お茶屋さん。」



よく見たら道路の向かい側に
『‐*SHORT*TEA*‐』という看板が在った


「ハル、あたしはね」

あなたにあたしは何に見えるの?

「落ちてしまったら誰にも見てもらうことが出来ないの」


それでも



あなたは

拾ってくれる


「いつかは、


愛し合えるね」


あたしは二度も



闇から出して貰えたのに


また闇に戻るだけ


痛みすら

愛するさえも

あたしには「無にしか成らない」



「  ハリベルちゃん

普通、虚は罪人でなければ

死神が罰を下したわけでもないの。


キミは ただ

堕ちてしまっただけ



ボク達は その さ迷える魂魄を尸魂界に導くんだ。

慈しみを 愛を 込めて  」


無になどならない。

キミはそこに居るのだから。



「ボクと、来ない? 尸魂界に  」





何を言い出すの




掴めない


ハルは温かく、寒さを溶かしてくれる


それでも、

どうして



「ハルは知らない

あたしがなんなのかなんか


お前達はあたしから奪うじゃない


奪ってきた


お前達があたしから愛も幸せも、心を奪ってきたんだ!!


お前らがあたしを罪人にしたせいで、


あたしはお前達への憎しみのせいで存在になった



お前達じゃない


あたしを殺して、あたしを虚に作ったのなんか


ハルなんだ」



あたしは何が言いたいの

あなたになんて伝えて
どう、ありたいの



「 」

ハルはごめんと繰り返し、あたしを見てる


「ハル、」あたしは


あなたが



「あなたは愛してる。

でもあたしは憎しみがなければ虚じゃなくなる


ハリベルは憎しみを失えば


ハリベルは存在しないの」


愛を持つのは

愛してるから


でも 憎しみは

「あたしは…あなたじゃ生きれない」


そんな事無い でも

ハリベルは憎しみの無いハリベルなんか知らないの

だから


愛だけじゃ


恐くて逃げるしか無いの



「着いたよ」

ハリベルちゃんはお店を通り過ぎてしまいそうだったので、ボクは教えてあげた。


お茶を買って ホテルに戻って

虚圏に帰る。



ボクは調査を終えて 尸魂界に帰る。


ボクはここまでキミについて来たけれど
キミはボクとは一緒に来てはくれないんだね。


「独りで…戻れるよね?」

女の子を放っておいて帰るなんてボクらしくはないね。

だけど、ハリベルちゃんにはそのほうがいいだろう。


ボクはハリベルちゃんに背を向けた。
別れの挨拶はしない。




おおブリbQ-4/6『ハルから始まる花』

なだめるのに必死だった。

ハリベルちゃんが、生まれてくる。

ハリベルちゃんの中に感情が育ってる。

それを妨げたくなくて、ボクを受け入れて欲しくて、柄にもなく必死になっていた。





町、海の町

しばらく歩いてたら見えたのでソニードでも舜歩でも使って町に着いた

概要としては現代風にした通りのある魔女のキキの町みたいな所


車も普通にたくさん通ってる

『ハリベルちゃーん。どこ向かってるの?』

「ホテル!!濡れたことに関しては問題無いけどお風呂入んなきゃやだ!!
お茶でも何でも後で行くもん!!」



ハリベルちゃんはボクを置いて駆け出したけれど、追いかけていいらしい。

何故かそう、感じた。


確かに、ハリベルちゃんの唇は自分のしたい事を告げ、その眼はボクがついて行くことを受け入れていた。


クルクルと、花びらが舞う。

ハリベルちゃんと言う
花びら


ボクに降り注ぐ 柔らかな花弁



ああ、そうか。

手折られる花でなく


花びらに見えたのは
ボクの思い違いじゃない。






ホテルに入って振り向くとハルはまだ着いて来てくれていた


「……」

あたしはハルに近寄り「…ロビー、ココにいて」


ハルはクスっと笑って良いよと示した


綺麗で大きくて


笑いかけてくれる

どうして

お前は死神なのに

あたしには

憎くて、殺したいってだけの対象はずなのに


ずっとそればかり考えて

お湯を浴びて

服も洗濯され乾燥機にかけて


ベットで休んで



……?



「!!!!」

起きた。服を着てロビーに降りる。ハルは




そこにまだ居た


あたしに気付くと微笑む


どうして、憎いの

心が壊れてなくなってもあたしがあるのは恨んだから


あたしの憎しみは全てお前らのせいなんだ

あたしが辛いのはお前の課した罰のせい

お前達が規制する罪のせい

あたしはお前達に罪人にされた。

ずっとずっとその憎しみがたまって出来た形の無い憎悪のカタマリで
それを拾ってくれたのが



「…違う、ハルじゃない。
ハルじゃない!!ハルなんかにあたしは救われないの!!」

何で、




そう叫んでた





あたしには

主君のあの方しかなかったのに、


どうして、ハル





ハリベルが苦しんでいるのは、わかった。


ボクと出会ったことで、苦しいんだね。



そろそろ…戻らないと。
七緒ちゃん、怒ってるだろうね。


尸魂界には連れて行けない。

ボクも虚圏にはついて行けない。

現世だからこそ、出会えた。



どうして ハリベル

君に出会ったんだろうね。







沈黙された

時間さえも止まればいい


「…帰れ、もう帰れ」


戻ればいい

お前は空のある、終わりに向かう世界に


あたしは



終わりすら滅びてしまった闇で



悪夢の前の静寂を続けるだけ



おおブリbQ-3/6『ハルから始まる花』


「…」春なら知っている。季節のはずだ。

「ハル…」

『うん?』

「 」
喋る言葉が出て来なかった。

口を開いて直ぐに閉じた。

『?』
何か会話として成立させたくてまた口を迷いながら開き


「殺されたい」


問いかけたのか望みなのか判らないトーンで喉から言葉が落ちるように発せられ信じられなくて、


自分が嫌で目の前に死神がいるのも嫌で


「バイバイ」呟くて逃げた。

ハルはあたしが発した意味を一瞬でとることができない隙にハルの横をする抜けて逃げた


道並に行けばお茶の葉の店がある町にくらいでる。
全力に近いソニードで逃げた。

自分の霊圧がどれ程分かりやすく掴みやすいかなどハリベルは知らない



「殺すより」

ハリベルは何故自分が一歩も進めないのか、わからぬままにつっ立っていた。
背後からの京楽の声を耳にしながら。


「ボクはハリベルちゃんを殺すより、愛したいな」

そんな言葉も、そんな口調も、そしてこんな腕のぬくもりも、ハリベルは初めてだった。




「だ、黙れ離せ

理解できないのが、捕まえられた事じゃなくて

耳の近くから声が聞こえて


温かいことだけだった。

「離して


逃げたかった。




「大丈夫だよ、ハリベルちゃん」


あの男の声には違いなかったけれど………。


「離してっ」

「大丈夫だから」

「離して…」

「大丈夫…」

「………離 し、て」



「ハリベル ちゃん 」

何か……


何かハルの言葉の間合いには、私の知らないものが含まれていた。





離して、とか大丈夫とか問答は暫く続いて


逃げだしたいのに

捕まってて


うー「ハルのバカ

子供みたいに

「はやく離して


『ぷ、ははは、かわいいね!!』


「Σ(ΩДΩ〃)うるさい



漸く、ハリベルちゃんは笑ってくれた。

真っ赤になって、怒ってるんだろうけれど、ボクにはとびきりの表情だった。

だから、これはハリベルちゃんの笑顔。


今まで知らなかった

恐らくは長い間忘れていた
感情が目覚めた標し。



ボクはもう少し強く、そして優しくハリベルちゃんを抱きしめた。





あたしがは怒ってる筈なのにハルは笑ってて


それが、心地好いくも憎くも感じ


今許せないとするなら

それはハルではなくあたしの心


あぁ、ダメなんだ


そう思った時


ザー!!!

天気雨


「『・・・・』」


「ハルのせいだぁ!!ハルのせいで濡れたじゃん!!(Ω□Ω)!!」



「えっ!ボク?」

お天気雨をボクの所為だと言われるとは、思わなかった。


しかもハリベルちゃん、真剣に怒ってるし。
ボクの所為だと、真剣に思ってるみたいだし。


「………いやあ、ご免!ご免!」

なんだか、本当にボクの所為のような気がしてきた。





「…もう、やだ帰る
お茶買いに来たのに!!!!!!(;□;)」

子供みたいな自分が
混乱してる自分が

死神に安心した自分が
嫌だった

『真面目に怒らないで、ね!!なら僕がお茶奢るから』


「霊体じゃん!!見えないじゃん!!
あたしは力入れてれば人間見える様になるけどハル霊体だもん!!」


『ギガイならちゃんといるよ!!待たせてるあるの!!』



おおブリbQ-2/6『ハルから始まる花』

「……」


待てと言われたから止まる。殺意も無いので振り向くこともせずに止まって待った。


「…」潮の香りに混ざって死神の匂いが届いた。


嫌いでは無い


そう感じて

やだった。



背中を向けたままの彼女に、ボクは花びらを見る。


「怒ってるの?その、仲間を…送ったこと」

退治したと言っては角が立つと思った。




「仲間なんかじゃない」

花びらの彼女はそう呟くと
漸く振り向いてくれた。





背が高いと言うのだろう。


顔を見るのに見上げる形になった。

「あたしの仲間はお前の仲間が殺したし、あたしの主君はお前らのせいであたしを置いていったからね

今のはただの知らない奴

だからあたしその行為について怒ることも許すことも無い」

死神は間を置いてすまなそうな表情をみせた。

「ごめんよ」


ずいぶん前の、おそらくこいつがやったこでは無いことを謝られた

「別にあたしは謝罪が欲しいつもりは無いけど」


あたしにとってあの日は昔では無いし死神にもあの日の傷はまだ残っているだろう。






彼女とただの虚との力の差はわかっていた。



そして、恐らく仲間だったとしても悲しむことはないだろうとも。





でもボク達が惣右介クンに天の座を明け渡さなかったことで、このコは居場所を失ってしまったのかもしれない。



だからボクは謝ったんだ。





居場所がないっていうことが、どれくらい寂しいことが、ボクは知っていたから。





「…で?」

「うん?」

「あたしが歩くの止めたのに用が無いの?

それともこんにちはとか、さようならとか、おやすみとか言えばいいの?」



たたずむ姿は花の形そのもので。

ああ、きっとこのコは悲しみから虚に堕ちたんじゃないかな。
そう思ったんだ。

整と虚は紙一重なもので、それは生と死に酷く似てるよね。
似てると言うよりも、同じ理なんだよね。


「…こんにちは、ボクは京楽。京楽春水。よろしくね」



「………何、それ?」

彼女は顎を引いて益々口許を隠し、怪訝な顔をした。



「何って、挨拶だよ?それと自己紹介」

ボクは七緒ちゃんに見せるのと変わらない表情で、彼女を見ているつもりだ。







「…」名前を名乗ったのはわかった。よろしくと言ったのだからおそらく名だ






「…」顎に手を当てて海だか空だかみて思案して


「…楽太郎?」

『待った違う全然違うような惜しいようなとりあえず違う


「…よろしくしなきゃだめ?」


スッゴい真剣な顔してそこを聞き直すの


…「漢字だよね」

『うん』

「……ファーストネームは」

『春水だよ、【春】の【水】って書くんだ』

…「あっそぅ」

今聞いたのに「別にどうでも良い」って顔しないでよー!!!』

おどける様に泣く真似をしている


「…ハリベルだ」

とりあえず名乗って、今しがた名乗られた【音】で呼びやすそうなのを選ぶ

「ハル…か」

海をもう一度横目に眺めて呟いた



『春』は漢字の説明をしただけのつもりだったが、彼女…ハリベルにはその音しか受け入れられなかったらしい。



…まぁ…………
ボクの名前なんかどうでもいい。

君が
微笑んでくれたら。



まだ、遠くを眺めているけれど
微笑んでくれたら、いいな。



おおブリbQ-1/6『ハルから始まる花』



「…明る…まぶし」

久しいと言うのだろうか、主君を失いあたしの世界から太陽が消えた。

空を見ることを無とされた世界で命が保ってしまったために死の続きをいつまでも引きずり続けているあたしに


この生きている世界は久しいのだろうか


「…」月は見てるから青空が久しいのか


「…」振り向いたら


凄く蒼かった。澄んでる。

「…」海?

水と空の境界



潮の香りが気持ちよく

「…ふうん」

…孤独だった


あたしには闇しかない闇しかない世界は続き続け

その世界しか闇しか居場所もない。


綺麗な世界に感情はなかった


それだけ思って



耳に入る音を認識した

「…エスパーダ喰おうって?雑魚のくせに」

もう十刃はないけどさ。


悲痛な叫びは後ろからあたしに向かってくる


振り向いたら…叫びは止んだ

止まっていた

「……」殺したか。ああ、こいつらは魂葬だっけ。


ハデなのがいた。

死神なのは間違いなく。明るい色のついた着物のをはおっていた。

「……」


向こうもこちらも向いた

眼があうだろう。





 かわいいコだな


目が合った瞬間、ボクが思わず考えてしまったこと。


それは花びらのような女の子のこと。


口許を萼のような衿で隠し、腰から下は俯いた花のような衣装。


花びらのような女の子だった。



花ではなく、花びら


ボクのこの感性が、誰にわかるだろうか。




破面相手に何を考えているんだと言われそうだけど。


かわいいコなのには変わりなかったんだよね。




ボクに、殺気はない。

勿論気を抜いたりはしていないけれど、

こんなかわいいコにどうやって敵意を抱こうかと悩んだんだよね。






「……」


相手は刀をあろうことか鞘に戻した。

斬るつもりも無いのだろう

あたしは見据えていた。

話かけるつもりもない。

眼が気に入らないと思ったから


優しそうで気に入らないと

死神のくせに

「…」





彼女の眼に、嫌悪の色が見えた。

敵なのに
という、嫌悪。


敵なのに
何故、この場で斬魄刀を鞘に収めるのだという嫌悪。



虚自体が、心の闇に囚われた者。

だから疑惑や不信や憎悪や嫌悪といった感情は簡単に抱いていることはわかっていた。



けどねえ…

かわいいコじゃないの。




斬魄刀を収めたボクに、これ幸いと戦いを仕向けても来ないんだよね。





「…」いいや、行こう。

別に死神に会いに来たわけでも殺しに来たわけでも海が見たかったわけでも空が見たかったわけでもない


お茶を買いに出てきたのだ。


「…バイバイ」

死神にも聞こえただろうけど、あたしはここで止まってたからこそ眺められた景色に告げて歩きだした



「あ、ねえ。待ってよ」



バイバイだなんて、礼儀正しい破面じゃないの。







思った通り、ボクが話しかけたら彼女は足を止めた。



驚かさないよう、ゆるりゆるりと近づいて行った。



逃げることも無視する様子もない。



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