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(無題)

眠る場は花を飾って、絵を掛けて、静寂と今はまだ繰り返される呼吸の音で満たす。
他の部屋の内装と正反対の色彩を尽くした寝室が拠り所だった。
意識から確立された体のみが横たわる其処は、最も終焉に似た場所だと思っていたから、帰らない間弔うように物を集めた
最もこの男は所以など毛ほども気に留めずやっているに過ぎないだろうけど
発疹で晴れた指をシーツが刺激する。忽ち破れた水疱から膿が出たがどうでもよかった
先に倒れた男の上へ被さるように身を倒すと首筋に顔を埋めた
仮に結ばれたとして、幸せになるとは到底思えない。
報われることが大罪であると振れ回った何処かの誰かのお陰で、一度たりとも口に出さずひっそり胸の内で飼いならしている。この感覚に遣る瀬無さがあったのかどうかも、もう昔の事。
遣る瀬無いとのた打ち回る事はなかった。得るものも無ければ失うものもなかった。現状が所有している全てで、後は経るのみだ
もどかしい布地を情緒も無く捲り、硬い肌に触れ、それで。どうなる?
気力は答えを導く間も成しに閉塞した。実の無い産物に対する探究心なんてそんなものだ
疲れても居ない瞼が下がると不思議なほど簡単に意識が虚った
布越しに伝わる呼吸が嘘のように穏やかだった



未だ醒めない惑溺
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