おめでとう、と。むりやりに頬を緩めている風を装って口にした。
そんな拗ねた顔で。いくらなんでもあからさますぎる態度を質してみれば、色が決まらなかったと口を尖らせた。

その日を記憶しているだけでサプライズなのに、プレゼントが決められなかったからなんて、どうして君はこうも、
素っ気なさを全面に出した贈り物を受け取った時の体中を駆け上がるような感覚がまだ残っている。あの感覚の他になにがほしいというの。

「いろがきまらなかったんだ」
うまいイメージカラーが浮かばないから自分の欲しいものを買った。すると渡すのが惜しくなった。プレゼントは彼の[足]に繋がっている

「ケータイ見せろ」
「無難な色だよ」
「つまんねぇの」
「そう言われても」
「俺なら…」

狙い目のアクセサリーやハイカットのスニーカー、食べたいケーキ、ピザ、深夜の歌声

自分の欲しいものならいくらでもあるのに云々、プランを描き出す彼はその一部や全てをくれるから、彼の理想に相槌を打ちながら今日を分け合う。