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孤独が嗤う

眠れない日の朝は一目で判る。
白い顔に陰がさす。そこから感情が抜け落ちればそれは死人の顔になると知ったのは去年の暮れ。青痣と赤黒くくすんだ瞼。柔和な表情は強張り俯いた様にあれは死人の顔なんだと思った。
赤く腫れた眦にキスをして頭を抱き寄す。くしゃりと。なめらかな髪に指を絡めると猫の毛のようにするりと梳き下ろす。ああこいつのうなじはこんなに白いのに。小麦色の腕と髪と突き抜ける空の鮮烈さが、焼き付いて混ぜ合わせた混濁に朦朧する。思い出の一つも作っていたなら、このあつさの、陽射しの、焼けながらそれを思い出しては繰り返せるのだけど。返さないこめかみを吸って柔らかな耳椨を食む。どうして背中を抱いているのにちっとも重みが掛からない。
なぁ、共生というのは案外簡単に始められんだ。同じ何かを共に感じるそれだけでも。
左肩に乗せた頭に顔を寄せ、見上げる青白く滲む朝の冷たさ

――なぁ、はじめ


見ろよ。孤独が嗤ってる

理想の死に方


「今に居ながら過去を見るのは辛いですか」
「さあ、僕は怠惰で生きていますから」





愛する人の手で、なんて口走ったのはいつの事だったか。今でもそれは理想のまま。但、初めて口にした時と同じ気持ちで言えなくなったのは少しばかり引っ掛かりを覚えたからとでもいうべきか
未練と呼ぶには心ない独りよがりさが一層願望を濃くするのだけれど

一体どんな心境の変化だか、あの姿を思うと生き急ぐのが惜しくなる。焦りを覚えて生き急いでいるのに、同じ理由で生き長らえたいと思うようになった
あの子達の為に命を失うのならそれもいい。しかしその為に命を失うのは御免だ。
矛盾した意思は確かに筋を通しているつもりなのだ。命懸けでいて、命を落としたくない、という気持ちは

「まだ今は無垢な子供だが、いづれは人を貶る人間になるかも知れない」
「それでも惰性を貪る僕よりずっと輝いている」
「すぐに手元を離れるというのに。自殺願望の理由に使われて、」
「その日までの未練で生きる。どちらにしても前向きに生きられないんですよ、僕は」

それにね、僕は律と左吟は志の高い人間になるように思っているんですよ
と、頬を上げる
その表情の侭、吁、愛する人の手で息絶えたい、とぬかした

(鼬ごっこじゃないか、これは)
(だから言ったでしょう。真直ぐでいられないんです)


Title-Joy
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