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甘やかしたい

*版権



黒いコートを頭から被ったケンジくんが現れた。
お菓子をくれなきゃいたずらするよ!あとご飯が良いな!おにぎりでも結んどけと?それでもいいけどオムライス食べたい。はいはい、卵はあるんですね………ないんですね、買い物に行こうか。そうだね。

ところでこちらからトリックオアトリートしたら何を貰えるだろう。或いは貰ってもいいのだろうか。バッグに入ったクッキーはおやつにしようか。明日までに崩れてしまったら砕いて溶かしたチョコレートを絡めたり、生クリームや果物を足してパフェにしてみようか。

ねぇねぇヒグラシくん。一歩下がった背中からにゅっと顔を出す。肩へ乗せるように囁いた。いたずらしたい。
気が合うね、僕もです。




PM@ヒグラシくんとケンジさん
オチない。ハロウィンに便乗2つめ

眼鏡と面影

*版権






眼鏡外してどこまで見える?意表をつかれながらも基準になりそうなも のを探して、天井の模様とか本棚の書名とか、ベッドサイドに垂れた広 告の大見出しを目を細めながらようやく読んだ。じゃあ僕は?



「あと、“都心生活を楽しむ”…」

目を細めて漸く認識できる文字を読んだ。ふ、と空気が揺れたので

「じゃあ僕は?」

腕の長さ分の距離から降る声色は柔らかく、陰を作りながらもほんの少 しだけ儚げに近付いて。

「見えてるよ。」

やや垂れた眉やふわふわの髪、澄んだ黒い眼が少しだけ切なく思えた。 けれどすぐに弧を描き、潜めた笑い声と共に鼻先まで降りてきた彼の顏 を優しく、包み込むように。

「今度ブラッシングしようね」
「……やさしくしてね」

はにかむ笑顔が近すぎて、今度はよく見えなかったけれど。





(PM:ケンヒグ)
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