キミが銚子を傾ける度に
ボクは盃を斜めに傾ける



キミが諦めて置いた銚子で手酌して
ボクはキミを怒らせる



隙を見て銚子を奪うと
さ、どうぞ…とキミはまた傾ける

何度こんなことを繰り返しただろう



少しずつ
キミがボクに近付いて

とうとうキミの肩はボクの目の前

盃を持ち替えて
キミの手にした銚子が盃の口に傾けられる矢先


キミの背中を空いた掌で捉えた




ボクは欲張りだから


この目にこの手に

好(よ)きもの全てを占めたいんだよね……。