「偶然通りかかったんだよね――」
隊長の貴方が、こんな処に何のご用事ですか?
「雨宿りできる樹なんて、他になくてさ――」
その手に持っているのは何ですか?
「キミにどうしても会いたくて……」
本当は心配だったのでしょう?
怪我でもしてやしないかと。
「風邪、ひいちゃうよ――?」
貴方の方こそずぶ濡れで
編み笠から滴る雫が見上げる私の頬を濡らす。
会いたくて
会いたくて
ずっと傘も差さずに私の帰りを待っていてくれた
貴方に私も会いたくて―――。
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