夕食を共に済ませた貴方の姿が
十ニの刻を過ぎて
隣りにないなら

時折通り過ぎる夜風に髪を遊ばせて

一人静かに夜の散歩に出掛けているはず



きっといい一日だったのですね


思い起こす為に
貴方は闇を求める



その眼に悦びを湛える為に





心静かに悦びを噛み締めると
貴方は足音も風の音に似せて戻られる




貴方の時間の邪魔にならぬよう
私は邸の前で帰りを待つ


闇より戻られし時
私を見て然も悦びが増したという表情(かお)を
私だけに見せてくれる貴方に会いたくて―――…