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リアミントン

会話文。真奈都(バクフーン♂)、雅(キュウコン♀)ほんのり関係組んでるお子さんおかり!
◆◇

▽フレイムテイル本部にて

真「…聞きたい事って?」

雅「辞めないのね、フレイムテイル」

真「え」

雅「元々弟の手掛かりを掴む為だった。そしてそれは果たされた。此処に留まる理由はないはずよね?」

真「それは…」

雅「それは?」

真「……一つは、金の為。此処の収入で借金も、はの治療費も賄えた…だがこれからも生きていく為に蓄えが欲しい。安心と、未来の為の蓄えを」

雅「普通に働くんじゃ足りないと」

真「……自分に何かあった時、家族の助けになる金を遺したいから」

雅「成る程」

真「もう一つは…

もう、大事な人を失いたくない。奪われたくない。弟も、彼女も……!」

雅「…まあ確かに、此処でなら『奪う側』の情報は手に入れ易いし動き易いかもね。だけど平穏とは無縁になるかもしれないわよ?」

真「覚悟してる」

雅「なら良いけど。ま、こっちは余計な事考えてなかったら好きに利用して構わないわ」

真「…み、雅」

雅「何よ」

真「那月も、ブレイさんも、シェリも、空花、ティル、ラズ、カルロッタ君…雅の事も、俺は大事で、守りたいと思ってる」

雅「……背負うものが多いと大変ね」

◆◇
リアミントン…ピンクのゼラニウムの品種の一つ。花言葉は『決意、決心』

anjelier(後

mblg.tv の続き

◆◇

ーー昨年、母は私の前から忽然と姿を消してしまいました。

隣町の歌自慢大会に出場させてもらい、優勝は出来なかったんですが、歌を聴いた芸能事務所のときがらさんという方が声をかけてくださったんです。

アイドルグループ『ぷらんたん』の事務所と聞き私は信じられませんでした。一緒に話を聞いた母は「挑戦してみたら?」と後押ししてくれました。

それでも私はやっぱり勇気が出ませんでした。憧れはあったけど、アイドルになる為には家を出て母と離れないといけなくて……

焦らずに考えてみて欲しいというときがらさんの言葉に甘えてしまい、なかなか決断出来ませんでした。

ある日学校から帰ると、家の前にときがらさんが来ていました。私の旅行カバンを持って。

「それ、なんで……」
「君のお母さんに、連れて行って欲しいと頼まれたんだ」

私は玄関に駆け寄り家の中に飛び込みました……家は、もぬけのカラでした。家具も家電も何もかも無くなっており、小さな平家が恐ろしく広く感じました。母の姿も、気配も、すっかり消え失せていました。

お母さんは私を置いて出て行った?どうして?私が邪魔になったの?

座り込んで動けない私に、ときがらさんが母から預かったという手紙を渡してくれました。中には私名義の通帳とカードと数枚の手紙。

手紙の母は、普段よりずっと沢山の言葉を紡いでいました。 

『心音へ

勝手にいなくなってごめんね。きっと心音は、私に気を使って話を断ってしまう。そう思ったの。

心音の歌は人を元気付ける優しい歌。だから心音はきっと素晴らしいアイドルになれる。そしてそのためには、私は心音とさよならしなきゃいけないと思った。

心音と会うまで、私は人を傷付ける仕事をして生きてきた。詳しく話せないくらいひどい事をしてきた。そんな私がいたら、きっと心音を苦しめる。迷惑になる。それは絶対嫌だった。

私は心音のおかげでまともに生きてこられた。大変な事も沢山あったけど、でもとても楽しくて、幸せだった。

私はもう心音に会えない。でもずっと見守っている。ずっと心音の事を応援している。

同封した通帳一式は、本当のお母さんから預かったあなたのお金です。大切に使いなさい。

家族になってくれて、一緒にいてくれて、有難う』

さよならとしめくくられた字は滲んでいました。手紙がそれ以上滲まないよう私はそっと手紙を胸元に抱きしめました。
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anjelier(前

心音(ラブカス♀)過去話
◆◇

私の名前は心音です。お母さんと二人で暮らしてます。好きなものはお歌を歌うことと、玉子焼きと、お母さんです。大きくなったら、お母さんみたいなママンボウになりたいです。

ーー物心ついた頃から父はおらず、母と二人だけの家族でした。ですが周りは優しい人達に恵まれて、寂しく思う事はありませんでした。

母が働く間、色んな人達に面倒を見てもらいました。だから母は『心音は皆に育ててもらったのよ』と私に言い聞かせていました。

母は朝から晩まで働いていましたが、私に疲れた顔を決して見せませんでした。私が駆け寄ると優しく抱きしめて、その日あった出来事を話す拙い言葉を、頷きながら静かに聞いてくれました。

冷え性の母は、私に触れる時息で自分の手を温めて、そっと撫でてくれました。けれど私は、熱を出すとおでこに乗せてくれるひんやりとした手も、心地良くて好きでした。

強く、美しく、優しい母は私の自慢でした。大きくなったら私は、母のようなママンボウに進化したい。ずっとそう思ってきたのです。だからあの時、友達と将来の夢の話になった時もそう言いました。
 
「そうなんだ!」「素敵な夢だね」

友達は口々にそう言ってくれました。でも……

「バカじゃねえの」

一人の男の子がそう言ってきました。ちょっと意地悪で苦手な子でした。

「バカって何よ!」
「だってそうだろ。心音はラブカスじゃん!ラブカスはママンボウになれないんだぞ」
「え?」

……自分がラブカスなのは知っていて、だから私は大きくなって進化したら、当然母と同じママンボウになるんだと、そう思っていました。

ラブカスはママンボウになれない。それは

「じゃあ、心音と、お母さんは……」
「心音ちゃん!」

たまらなく胸が苦しくなって、私は思わず逃げ出しました。

けれど勇気のない私はとぼとぼと家に帰り、部屋の片隅で膝を抱えて泣きました。嘘なら良いのに、夢なら良いのに、そう思いながら。

「……心音?」
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スイートピー

アネモネ(★アブソル♂)・雪菜花(★エアームド♀)過去話

◆◇
雪菜花を連れ出して良かったのかと、今でも思う時がある。

最初は向かいに住んでいて、落とし穴に嵌められ嘘泣きに騙され、憎たらしい悪ガキとしか思っていなかったのに。

母親に育児放棄されていたあいつを段々構っている内に懐かれて、妹がいたらこんな感じだろうか。そう思っていたあいつが、とうとう母親が帰って来なくなり、膝を抱えて泣いていた。放っておける訳がないじゃないか。

……いや、俺が寂しかったのかも知れない。

同じく母親に捨てられ、その上俺を拾って面倒をみてくれたあの人も死んでしまって、また一人で生きていく事が耐えられなかったのかも知れない。

「俺と一緒に行くか?」

そう言った時の雪菜花の顔を、今もはっきりと覚えている。

俺とあいつは同じだった。金も行くあても、明日の保証もどこにもなかった。あるのは、何もかも自分で選ぶ責任と自由と、覚悟だけだった。

お互いしっかりと手を繋いで、歩きだしたのだ。 
 
◆◇
もしアネモネについて行かなかったら、今でも思う時がある。

父が亡くなってから、母は段々私に構わなくなっていった。私を見なくなった。それが寂しくて寂しくて、誰でも良いから私に構って欲しかった。

アネモネだけだった。私の悪戯にいつも面白い反応をしてくれて、それでも私に関わってくれたのは。

けどお向かいの洋食店が閉店して、アネモネが出て行くと聞いて私は絶望した。母が帰って来なくなって一週間が経っていた。皆私の前からいなくなっていく。一人はこんなにも寂しいのに。

泣きじゃくる私に、アネモネは一緒に行くかと言ってくれた。その時の事は今もはっきりと覚えてる。迷った。でも……お母さんは、私がいなくなったら幸せになれるかもしれないと、そう思った。

私とアネモネは同じだった。家族に置いていかれて、誰も助けてくれなくて、一人で生きていかないといけなかった。きっと私は、アネモネについて行かなかったらそんな事出来なかった。

「連れ出してくれて有難う。アネモネ」

そう言うと彼はとてもびっくりして、珍しく照れたように、笑った。


スイートピー…花言葉は『別離』、『門出』

そこには二本のバラ

メンドラ…莉紅さんの小説のドラジェ視点再掲

◆◇

今日はメンデルの誕生日。当日会うのは難しいだろうと思っていた。声をかけてくれるのはいつだって彼だ。

何でもかんでも委ねるのはどうかと思っている。けれど、お互いの仕事もだし──私から誘って困らせたらどうしよう、と毎回躊躇ってしまう。

変装しつつ素敵なデートコーデをしたいと、教えてもらったり検索したりするけれど、変じゃないかとか、そもそも彼の好みかどうか頭の中はぐるぐる。変な応答してないかしら?

それでもこうして彼との時間を過ごせている事が嬉しくて、さっきからタイミングを逃し続けてる私。そうこうしてる間に、時間の終わりをスマホのバイブに告げられて。

時間設定間違えたかなというくらいあっという間に過ぎてしまった……次の現場までだけでも、一緒にいて欲しい。なんて言える筈もなく。

だから彼の方からエスコートしてもいいか聞かれた時、私はスマホを落としかけた。嬉しいけどそれはもし、誰かに見られたら……迷惑がかかってしまわない?

でも彼は、優しい笑顔で手を差し出してくれた。甘えてしまう自分をどうか許して欲しい。

少しだけ延長された、彼と過ごす特別な時間。

「──誕生日おめでとう、メンデル」

腕時計が入ったプレゼントボックス、やっと渡せた。

次は、次こそは、私から誘うと決めた。彼の喜ぶ顔を、もっと見たいから。
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