くりきん教会組+α/過去・会話文
『ー児雷也。憎しみは強い力を持つけれど、守れないし救えない。生きる力に変えて初めて、貴方を支えてくれる……それでも、もし憎しみに飲み込まれそうになったら、覚えていて。一番の復讐は…』
▽町外れの教会
児雷也「ふう(静かだ。氷柱の撤去を頼んだカストール達は遅れるそうだし、シスターも病院に行く為早めに帰ったし、相変わらず祈りに来る人もいないし…椅子の修理でもしようか)」
バタン!!
児「おや?」
男「た、助けてくれ!」
児「どうされましたか。あっ怪我を…!」
男「追われてるんだ。殺される!」
ギィ
?「逃げても無駄だ」
男「あ、あいつが!あのナイフで!」
児(確かに持っているけれど…女の子?まだ10代じゃないか!)
娘「家族の仇を取らせてもらう」ギラリ
児「ま、待って下さい!仇とは?」
娘「…10年前。その男は私の家に空き巣に入り、そこに帰って来て鉢合わせた私達家族を手にかけた」
児「ご家族を…?」
男「ひ、人違いだ!」
娘「お前の右手の刺青にある傷は、父がもみ合いになって付けた物。唯一の手掛かりを間違えてたまるか」
男「!」
娘「私は一命を取り留めたが、両親と弟は助からなかった。弟は…まだ4歳だった…!」
児「本当、なんですか?」
男「〜仕方ねえだろ!騒ぐから!」
娘「10年かけて、やっと見つけた。お前を殺して私も死ぬ!」
児「い、いけないっ落ち着いて!」
娘「うるさい!私はこの為にだけ生きて来た…邪魔するな!」
児「尚更駄目です!」
娘「何だと!」
児「二人の命が失われるのを見過ごす訳にはいきません!」
娘「はあ!?」
児「罪は生きて償うべきです!」
娘「ふざけるな!お前に私の気持ちが分かるか!」
児「私の父は人を殺し、自ら命を絶ちました!」
娘「!」
児「母はその後を追うように、病で…立場は違いますが、家族を失った孤独なら知っています。父を恨み、憎んだ」
娘「…」
児「もし父が生きていたら、私も貴女と同じ事をするでしょう。父を殺し、自らその罪を罰したでしょう。
でも、母は父を憎むなと、望むのは私の幸せだと、言ってくれました。貴女のご家族も、同じではないですか?」
娘「黙れ」
児「ご家族はこの方を憎んでいるかも知れません。ですが、貴女が苦しみ不幸になる事を望むでしょうか?」
娘「黙れって言ってるだろう!!」
児「貴女は命の重さを分かっている。どうか、憎しみに全てを投げ出さないで。一番の復讐は…」
男「でい!!」
娘「っ!」
男「へ、へへ…いやあ神父様の有難い話で助かったぜ。ナイフも取り返せたし」
チャキッ
娘「くっ…」
男「家族に会いてえよな?会わせてやるよ!」
ザシュ!