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ポケ擬指定バトン

ひ さ び さ !!お待たせしておりますす

指定≫ピサンリ(ワタッコ♀)でウエイトレス

今回和風ウエイトレスにしてみました〜( ´ ω ` )

次に回す人
+ウェイトレス:を同じく和風で見たいなーという事で
葉月ちゃん宅スィーアちゃん
リョーカさん宅心ちゃん
陽園さん宅淋音さん

で良ければばば!





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シザンサス3

◆◇
国民投票の結果発表は夜の9時なので、投票はそろそろ締め切る時間だろう。

恐らく気を利かせた父によって二人きりにさせられ、ある場所へメルティを案内する。時たまに会話を交わすが、ぎこちなくなり続かない。メルティの顔もろくに見られていない。

本当なら、こんなに嬉しい事はないのだ。離れていた間手紙や電話は頻繁にしていたものの、それでは足りないくらい話したい事が沢山あるし、何より……そうこうしている間に到着した。

「ここは?」
「父上が、我が国の宝を是非見てもらいたいと」

いや父上に言われずとも、ここは彼女に見せたかった。扉を開く。

吹き抜けのテラスになったここは、厳重に守られている訳でも、幾重に施錠されてもいない。宝物庫と呼ぶには程遠い。中央に我が物顔で座しているそれは、分厚い布に包まれ沈黙している。

「これが、ソラ様の国の、宝……」

不思議そうに、興味深そうにそれを見るメルティ。留学時代に互いの論文を見せ合った時と、同じ顔だ。

「夕陽が差す時間だから、直接見ないよう気をつけて」

言いながら布を取った。

「これは……」

姿を現したのは、大きな鏡。毎日磨かれているが、装飾はなく質素で古びれたものだ。けれど

「この鏡で天ツ国が一望出来るんだ」

つい、と鏡を動かせば、城下町から小さな店一つ一つが見える。投票が終わり夕飯の買い物をしていたり、学園から帰る子ども達で賑わっているのもよく分かる。

「でも宝はこの鏡ではない」
「え?」
「鏡に映る景色、町並み、生活を営む人々……全てが、我が国の何ものにも変えられない宝なんだ」

民がいてこその国、民がいてこその王、それを忘れないように、昔からずっと変わらない教え。

「それが、今のソラ様を作った礎なのですね」
「いし、ずえ?」
「はい。ソラ様の他を気遣い、慮る姿勢を私尊敬しております」

他を気遣い、慮る……いいや

「尊敬される事なんて……僕なんか……」

こんなに情け無い奴なのに。

「…私が来て、ご迷惑でしたか?」
「そんな筈がない!!」

即答したが大きな声が出てしまい、自分で驚いてしまった。メルティも瞳をパチクリさせたけれど、嬉しそうに笑った。

「それを聞けて、本当に良かった」

自分の態度が、また彼女を不安にしてしまったのだと、やっと気付いた。メルティが続ける。

「ハナ様が仰っていました。ソラ様は国や民の事を気遣い過ぎていると」
「ハナが?」

私が以前から王になる事に尻込みしている。けどそれは国や民の事を真剣に考え、王の役目がどれ程重要か理解しているからで、頭が良い分色々と考え込み過ぎて自分を苦しめていると、ハナはメルティにそう言ったらしい。

「だから私と会えば元気になれるかと、そう思ったそうです。けれど、もしかしたら追い詰めてしまっただけかもしれないと……いつもハナ様が納得出来るようにお叱りになるソラ様の、声を荒げて、そして傷付いたような顔をなさったのを初めて見たのだと……そう言っていました」
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シザンサス2

三人で昼食を取りに向かうと、テーブルには既に食事が揃えられ、側にアネモネが待機していた。

「ハナ様がすぐに食べられるようにして欲しいとの申し出でしたので、数種先にご用意致しました」
「わーいアネモネのご飯だー!」
「お話を伺っていた料理、楽しみですわ」

楽しそうに会話している二人。此方の気も知らず、スプーン片手に得意げな妹に、苛立ち始めている自分がいる。いや、知る訳がないのだ。僕が王になる事は当然だと、何一つ疑っていないのだから。未だに王になれるか不安に思っているとは、夢にも思わないだろう。

ふと斜め向かい、ハナの隣に座っていたメルティと目が合った。いや、彼女が此方を見ている事に気付いた。変な顔をしていただろうか。バツが悪く誤魔化すように口角をあげる。

「シェフの料理はいかがだろうかメルティ」
「どれも素晴らしいお味ですわ。このスープなんて芯まで温まる美味しさで…」
「身に余るお言葉、光栄でございます」

場が和やかな雰囲気に包まれホッとしたが、自分はその中に入れていないと感じてしまった。これではいけない……席を立った。

「……すまない。確認しなければいけない用事を思い出した」

ハナとメルティ、控えていたポールまで分かりやすくえっと驚いた顔を見せる。アネモネも戸惑ったが、部屋にサンドイッチとスープをと頼むと、すぐ用意に取り掛かってくれた。

「本当にすまない、メルティ」
「いえ!私の事はお気になさらないで」

向けてくれた笑顔が寂しげに見えたのは、そうなら良いのに、という私の願望だろうか。

「ーーちょっと待ってよお兄様!」

食堂を後にするとすぐハナが追いかけて来た。呼び止められ最初気付かぬふりをしようかと思ったが……流石に大人気ないので渋々応じた。

「なんだ」
「折角メルティ来てくれたのに、態度変!だいたい普段仕事の確認とかちゃちゃっと済ませて食事切り上げるような事なんてしないじゃん!」
「……たまたまだ」

勿論それで納得するハナではない。

「ウソ!誤魔化さないでちゃんと言ったら!?」

……うるさい

「確かに黙ってメルティを連れて来ちゃったけど、でもそれはお兄様が喜ぶと思ったからよ!」

うるさい

「そんな調子で立派な王様に」
「うるさい!!お前に僕の気持ちが分かってたまるものか!!」

思わず口を覆った。でも、突いて出た言葉を無かった事には出来ない。大きな瞳を一際見開いて口をパクパクとさせる妹をその場に残し、逃げ出してしまった。

最低だ。最悪だ。これまで叱りつける事はあれど、感情に任せて怒りをぶつける事はしないよう心掛けてきたのに。

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シザンサス1

ソラメル…錦ちゃん宅メルティ姫、ほんのりお名前錦ちゃん宅ログナルさん

◆◇
今日、全てが決まる。この日を待ちわび、そして恐れていた。

天空に浮かぶ王国『天ツ国(あまつくに)』。この国の王位継承は、丸一日かけて行われる国民投票によって決まる。

王位継承者は一年仮初めの王として国を治め、その一年の王政で国民が王として相応しいか否かを投票するのだ。勿論、もう一年様子見が必要とされたり、他の者…例えば、第二王位継承者である私の妹のハナを薦める声もあるだろう。

私も先王の父似である妹の方が、王として相応しいかも知れないと思っている。だからこれまで、継承権の放棄をずっと考えていた。

だが仮の王として一年間、父王には及ばないだろうが、皆に王と認められるよう全力で善政を務めてきた。それは仮の王に就く前に留学先で、一人の王族の女性に出会ったからに他ならない。

留学中学んだ知識以上に、私は彼女に王族として大切な事を沢山教えてもらった。王位に前向きになった動機として不純かもしれないが、私は彼女に相応しい人間となり、隣に居続けたいと心底思ったのだ。

だから決めていた。国王になれたなら、彼女に正式にプロポーズをすると。

もしなれなかったら、その時はーー

◆◇
今日で21歳になる。朝から緊張と不安に押し潰されそうだ。只でさえあまり食べる方ではないので軽くしている朝食が、満足に喉を通らなかった。城の専属料理人のアネモネが、わざわざポタージュに作り直してくれた。身に染みる美味しさだった。

「ハナ様が帰って来られました」

午前の国務を終わらせた所で報告が入る。妹は学園を卒業し外界の大学へ入学したが、今日の為一時的に天ツ国へ戻って来たのだ。顔を合わせるのは、夏休みの帰省以来だろうか。

昔あれだけ国を抜け出し外界に遊びに行ったにも関わらず、入学して暫くはホームシックで毎日電話していたものだが、今は本人曰く、向こうで花のキャンパスライフを満喫中☆らしい。

その花のキャンパスライフ☆の間に姫として落ち着いてくれると有難い。王位継承権が彼女に移ったら、大学を卒業した後私の様に仮の女王に就かなければならないのだから。

城の大階段を降りて行くと、入り口には執事やメイドが並び姫を出迎える準備を済ませていた。
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