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沈黙の歌を、夜に響かせることができるなら…
ツイッターで学パロとつぶやいたところ、青さんは教師役にという、ありがたい言葉をいただいたので、ぱっと思いついた学パロをつらつらと書きつづっていきます。今までずっと学パロと言えば全員生徒だと思ってたからまさに目から鱗。ありがとうございます。
赤い薔薇
ただの小ネタです。というよりも、メモ?
誰か君の名前を知っているだろうか、僕は知らない
誰か僕の名前を知っているだろうか、君は知っている
そんな差異にくくりつけられた僕らの名前
好きだよと囁く度に、なんていう名前だったっけ?
そんな疑問が頭の中を巡る
ああ、でも
僕は、僕の名前を知っているし
君も僕の名前を知っているけれど
僕の名前も、あの場所には写るはずないのだ
君だけが知っている、僕の名前
そこにあっても写らない名前
誰かが伝えて、そこで初めて知らされる名前
(※流血表現有)
「死にたがり?」
「そういうわけではない」
「ここから逃げ出したい?」
「そういうわけでもない」
「嘘つき」
「嘘でもない」
何度、こんなやりとりを続けたのだろうか。最初の方こそ、これで何回目だ、などと口答えしていたが、もうそんなことは飽きてしまった。目の前に、なぜ真っ赤な服に身を包んだ、よく見知った男に似ている彼がいるのかという疑問はとっくに捨てている。
その前に論ずるべきであったはずの、真っ青なこの空間にリヒトと彼がいるという理由も、考えないことにしていた。
「俺、誰が死にたいとか、死にたくないとかよくわかるんだ。目を見ると、死に怯えているのか、生に怯えているのか。リヒトは……死にたいのに殺されたくないの?」
突如目を見つめてきたジェノサイド―本当は、キラーなのだが、こちらの方が都合がいいから、と本人が申し出てきた―が、眉を顰めて呟いた。
「お前の瞳を見てると、否応に逃げたくなる」
不意に目線を逸らすが、ジェノサイドはリヒトの顔を掴んで、無理やり自分の方に向かせる。条件反射で閉じられた瞼を、手袋を嵌めたままの指で優しくなぞる。
「リヒトの瞳は真っ赤で…血の色みたいで好きだ。ひとつでいいから、欲しい」
その下にあるものを想ってぽつりと呟く。思わずリヒトは連想する。このまま、彼が力を籠めれば、指が押し込まれて、自分の視界は真っ赤になるんだろう。そして、痛みに苦悩する。それもいいかもしれない。
そう思うが、やはり本能は生に忠実で、気がつけばリヒトはジェノサイドの腕を掴んで、顔から引きはがしていた。
「…リヒトって、素直じゃないな」
離してよ、とジェノサイドが零した言葉に従って、掴んでいた腕を離す。
「欲しいとは思うけど、どうせ今は薬漬けにできる環境でもないから、せがまれたってもらったりしないよ」
なんという言い草だ、とリヒトは思うが、とりあえず命の保証はあることだけでも嬉しいと思った。
その瞬間、空間が歪み、真っ青だった空間に、わずかに黒い部分が生じる。飛び込めば、またどこか別の空間に飛ばされるのかとリヒトは考えた。
「タイムリミット?」
「そうみたいだな」
「そっか、じゃあ、さよなら」
リヒトは立ち上がって、歪みに入ろうとする。どうせ、この空間全体にいる限りは、ジェノサイドには何回も出会うことになるだろうから、挨拶なんて必要ないという思考らしく、その挨拶には答えないまま、歪みに消えて行った。
「…聞き忘れていたんだけど、死にたがりのくせに、リヒトってなんで生きてるの?」
その問いは、リヒトに届いたのか届かなかったのか。ジェノサイドはそのことは気に留めることもなく、笑いながら、今いる空間がすべて歪むのをじっと待っていた。
(なんで生きているんだか)
最後の問いは、リヒトにしっかりと聞こえていた。その答えは、恐らく問いとは正反対になるんだろうなと、やけに冷静に結論をはじき出す。
性 別 | 女性 |
誕生日 | 7月22日 |
血液型 | A型 |