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沈黙の歌を、夜に響かせることができるなら…
動き出した〜を書いていたら頭が爆発しそうになったので、そろそろ小ネタでも。
確か画集初版が出たとき、話題をさらっていったキラーの積み木。当時買っていなかった自分でも『何が起きたというの…!』と思ってしまった積み木。せっかくなので、キラーさんに色々積んでもらいました。最初に言っておくと、ジェノはギャグになりませんでした。ダーティは積むものが世界観的になさそうだったのでなし。
Xepher
「…キラー、よくもまぁ、好きだな」
「楽しい」
「……他のやつと遊ばなくていいのか?オロロージョとか」
「なんかあいつ、馬があわない」
「……そうか」
どんどん積み重なる色とりどりの積み木。1回崩れると、また積み上げていく。
BL
「そういえば、お前はこちらの世界では何をしているんだ?」
「歌を歌ったりとか」
「それだけか?」
「いや、一応他の仕事もしてる…ステージの設営とか、バイトとか…あと」
近くにあったグラスを手にとって、何をするかと思えば。
「…こんな風に、シャンパンタワー作ったりとか」
「……なんでこんなにグラスがあるんだ」
「楽しいから買ってみた」
煌びやかに映る、透明な硝子細工。
ジェノ
息が詰まる。自分は何のために、ここを歩いているのか。
時折わからなくなって、立ち止まる。
振り返れば、そこには積み重なる無数の―
実はBLの小ネタが書きたかっただけです。ステージの設営も場合によっては積み重ねるのでありかなとか…
(幸せの鳥は〜の続き?です)
「青、桃に返事した?」
携帯電話をいじっていた黄は桃からのメールを受信して、また別の案件を思い出したようだ。青は、その言葉に、しまったとばかりに黄から目を逸らす。
「…忘れてた」
視線と今の言葉に、思わず黄は、はぁ、とため息をついた。
「またそれ?青も相変わらずというか、なんというか…」
「…ごめん」
「俺には謝らなくていいの」
「……」
しばしの沈黙に、とうとう黄が堪えられなくなったように叫ぶ。
「…もー、なんで青は俺には素直なのに、他の人には話せないんだよ!」
青は、その言葉になおさら何も言えなくなってしまって、ひたすら黙っていた。
「この前のメールも、返信に手間取っているうちに期日が来ちゃったとか言うし…行きたいって思うなら、どうしてすぐにそう書けないのかね」
確か、一ヶ月前のことだ。桃からメールの内容はささいな一文。『今度の日曜日、買い物に行かないか?』。せっかくの誘いだし、青は受けようと思ったのだが、困ったことに、まったく返事が浮かばなかったのだ。今回も今回で、似たような内容が現在青の携帯電話のメールボックスにひっそりと存在している。
人付き合いが嫌いで、孤高を貫くタイプにも見える青だが、実際は違う。単に余裕がないだけで、人と付き合うという概念を持ち合わせているものの、上手くそれに乗ることができないでいるのだ。あまりにも滑稽だとは思うが、青が桃を避けているのではなく、どうにかして近づこうとするあまり、逆に遠回りしているのだ。ただ、たどり着くことのできた人間とは十分に付き合えることができるのだが。
「急がば回れっていう言葉があるけれどさ、青は回りすぎなんだよな」
ぽんぽんと、黄は青の頭を軽く叩く。青に対してそういう仕草をするには、少し黄には身長が足りないが、この際気にしない。
「そんな気に病まなくていいんだからさ、せっかくの好意は受け取っておこうぜ」
「……そういうものか?」
「そういうもんだろ!第一、お前も仲良くしたい、桃も仲良くしたい。でもまだ仲良くしてない。それってもったいないだけじゃねぇか。大丈夫、何を書いたって桃は嬉しいに決まってる」
ほら、率直な返答をしてやれよ、と携帯電話の仕舞ってある青の胸ポケットに指差す。しばし、青は思い悩んで―携帯を取り出した。
ボタン音が聞こえて、しばらくすると携帯電話を閉じた。
「送った?」
「…送った」
数分後、返事が返って来て、青と黄が喜んだのは、言うまでもない。
「…髪」
「ん?髪がどうかしたか?」
「…短くなったなと思って」
キラーは、そろそろとリヒトの髪に手を伸ばした。肩甲骨を覆うように伸びた桃色の髪は、手に絡まることもなく、するりと掌から逃げていく。それでも、キラーは短いと言う。
「ああ、それはしかたがない」
でも、こういう髪型もいいだろう?と笑いながら問いかけてくる。
つい最近思い出したキラーの記憶の中にいるリヒトは、髪が今以上に長く、腰辺りまであった。色こそ今とは同じであるが、ずいぶんと差がある。
「この姿は、偽りだからな」
「偽り?」
「そう。この時空に来たから、もうすこし行動しやすいようにと、偽りの姿になっているだけだ。お前も一緒」
真っ赤な瞳がキラーの視界に入る。その瞳に映っているキラーは、『本当』のリヒトがいる世界の銀髪の彼とは似ても似つかない、真っ黒な存在だ。
「…俺は、別に今の姿が偽りとか、本当とか、知らないけど、リヒトは髪が長いほうが好きだな」
キラーはそっと、リヒトのうなじに触れる。まぁ、短いなら短いで、背中に触れやすくていいけれど、と妙なことをぼそぼそと呟くキラーに、『何を考えているんだ』と咎めつつ、動き出した手に押し黙るが、
「……私は、お前はどちらでも好きだな、銀と黒、どちらでも」
目の前に広がる漆黒に、思わずぽつりと呟く。キラーは驚いたのか、リヒトの顔を見つめる。いつの間にか手は離れていた。
「…意外だな」
「意外というほど、意外か?」
「俺じゃないほうがいいと思っていた」
キラーの本来の姿は銀髪だ。そして、その銀髪のキラーとリヒトはもうすでに十数年も共に過ごしている。キラーは、きっとリヒトは見知ったほうがいいだろうと考えていた。その言葉に、リヒトは苦笑して、キラーの髪に触れる。
「馬鹿だな、色だなんて些細なことだ。…まぁ、強いていうなら、普段と違って、…雰囲気が違って、いいと思った」
はにかんだように笑いかけてくるリヒトに、キラーはどう言ったらいいかわからず、何も言うことができなくなって、思わず思い切り抱きしめていた。
偽りの姿であろうと、君の姿は君の姿で、俺の姿は俺の姿だ。愛おしいものの姿だ。
(若干BL要素あり)
外で雨がざあざあと降っている。シャワーを浴びて部屋に戻ってきたキラーは、つけっぱなしのテレビに目をやる。ここ数日降ることのなかった雨は、ここにきて一気に降り注ぐ可能性があるとテレビが告げていた。にこやかに、にわか雨にはご注意ください、と忠告してきた女性に嫌気が差して、電源を落とし、キラーは、ため息をついた。彼の黒い髪から、水が滴る。
「…もうすでに遅いんだが」
そう、キラーは、忠告される前に見事に雨に当たってしまった。何をするでもなく、街をふらふらしていたのが仇となったらしい。運悪く雨に降られて、慌てて家に戻ってきたころには、濡れ鼠もいいところだった。そして、シャワーを浴びて今に至る。
キャスターはにわか雨と言っていたが、どうやら本降りだったらしく、未だに音がひっきりなしに聞こえてくる。
しばらく雨の音を聞いて、さてこれから何をしようかと思案した辺りで、違和感を覚える。そういえば、リヒトと今日会話をしただろうか。キラーにしては珍しく床から早めに出てしまったため、朝見たリヒトは夢の住人だったが、今は昼だ。普段だったら起きていてもおかしくないというのに部屋にはいない。まだ眠っているのかと不思議に思いながら、寝室を覗きに行く。
リヒトはとっくに目を覚ましていたようで、ベッドに載ったまま、じっと窓の外を眺めていた。リヒト、とキラーが声をかけると、存在にようやく気づいたようで、キラーか、とちらりと見やるが、すぐにまた窓に目線をやる。その顔はいつものような覇気がなかった。
「…リヒト?」
「……」
リヒトはベッドの上で、ふうとため息をついた。
「雨とは、ずいぶん騒がしいな…」
声色にはわずかに不安の色が混じっていて、キラーは少しばかり驚いていた。そういえば、リヒトがキラーの前に現れてから一度として雨が降ったことはなかった。空の上では、雲が頭上にないから、雨が降ることはまずない。恐らく、リヒトは知識としてなら雨の存在を知っているだろうが、雨というものを見聞したことはないのかもしれない。
「…雨が怖いのか?」
キラーはベッドの淵に腰掛けながら、そう尋ねた。
「……別に、怖いというわけではないが」
ただ、と付け足して、キラーを見つめる。何かと思うと、言葉を継ごうとしているらしく、何度何度も言葉を飲み込んでは、発しようとする。彼の何がそうさせているのかキラーにはあまり理解できなかったが、恐らく、邪魔するのはプライドからだろう。
「…どこか、心がざわつくような音だと思って」
ようやく告げた言葉に、キラーはそうなのか、とだけ告げた。
「…あなたが、こんなことを言うのも珍しい」
率直な意見を述べると、リヒトは、そうか?と首をかしげる。
「……まぁ、そうなのかもしれないな」
再び、リヒトは目線を窓へ向ける。雨が気になってしょうがないのかもしれない。その姿に思わず、キラーはリヒトの顔に触れて自分のほうを向かせた。
「…っ、何を…」
ただ、キラーは、リヒトを見つめていた。真摯に見つめてくるキラーに、文句を言おうとしていた口を閉ざして、そのまま見つめあう。どちらも言葉が見つからないのか、それとも何も告げたくなかったからなのか、しばらく言葉がないまま、時間だけが過ぎていく。
その瞬間だけ、雨音が消え去ったような気がした。
あなたは、俺だけを見ていればいい。その心の内は、飲み込んだままで。
意外とかっこでくくっておくと、自分でも作品と小ネタ以外だとわかりやすくていいです。
性 別 | 女性 |
誕生日 | 7月22日 |
血液型 | A型 |