眠れない日の朝は一目で判る。
白い顔に陰がさす。そこから感情が抜け落ちればそれは死人の顔になると知ったのは去年の暮れ。青痣と赤黒くくすんだ瞼。柔和な表情は強張り俯いた様にあれは死人の顔なんだと思った。
赤く腫れた眦にキスをして頭を抱き寄す。くしゃりと。なめらかな髪に指を絡めると猫の毛のようにするりと梳き下ろす。ああこいつのうなじはこんなに白いのに。小麦色の腕と髪と突き抜ける空の鮮烈さが、焼き付いて混ぜ合わせた混濁に朦朧する。思い出の一つも作っていたなら、このあつさの、陽射しの、焼けながらそれを思い出しては繰り返せるのだけど。返さないこめかみを吸って柔らかな耳椨を食む。どうして背中を抱いているのにちっとも重みが掛からない。
なぁ、共生というのは案外簡単に始められんだ。同じ何かを共に感じるそれだけでも。
左肩に乗せた頭に顔を寄せ、見上げる青白く滲む朝の冷たさ

――なぁ、はじめ


見ろよ。孤独が嗤ってる