ぽかんと口を開けた成実に目もくれず、それでも見間違えよう筈も無く。確かにあれは宮城さんだ。唯一異なる開口を余儀なくさせた一点、
ちらっと以前、 髭生やそうかなぁ なんて言っていたけれどまさかホントに生やしたか
友達と話す宮城さんは斜め40°からの顔しか見えないが、うっすら予感がざわついている。(あわわわわわ)
あわてふためく成実の心の中などまるで見えちゃいない宮城さんはいっそ成実に気付かず話し続けてくれればいいのに、僅かに動かした頭がこちらに向いて、あーあ、ばっちり気付かれた
口の端を上げた人の悪そうな笑み(今はそうとしか思えない)を浮かべて近付いてくる宮城さんを正面から確認する。だからこの人は、基、オレは
「成実ちゃ」
来た道を一目散に駆け戻る。後ろを振り返ったらいけない。すれ違う人の視線を振り払いながら一目散にひたすら走る

 今年は良い髭生やしてオシャレカットする予定
 そうですか、好きにしてください
とか思った自分の浅はかさに怯えている。自分の事で手一杯なんて言ってごめんなさい。オレは自分のことすら分かってなかった
(ひー)
だからオレはワイルドさに弱いんだってば!!




(あわあわわ)
Title-Joy