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Door


さいしょのころお前はずっと泣いてて何してもこんな風にいつまでも際限なく流れた涸れたら止むのか涸れても終わらないんじゃないか覆いかぶさるときの頬や項に滴るそれは熱くてぼやぼやしてるうちに喉やら胸の中にまで伝い落ちるのを止める義理はなくて緩やかに肌を滑るようでむずかゆい欝陶しいだから床に打ち付けた肩甲骨の浮かぶ背中隆起する鳩尾左手で庇った顔の端からぽたりと流れたものが髪を濡らす床の上で冷たくなるのが
愛してると囁いた口が頬を吸い腹を辿って太腿に落ちるその先を望まないわけではないが爪先へ踞る背中に頭を垂れた不幸に酔うな思うほど悪くないんだろお前は心酔してるだけの感受性のかけらもない独善者であることを自覚し誤魔化す卑屈なこの世界にお誂え向きのこれだから不幸好きはへどが出るあかいのはその肉の下と口の中だけで十分過ぎる赤世界が塞ぐ寸での俄な命の叫び
軽々しいものを安売りするこいつだって本気で口にしちゃいないことくらい言葉を知らないだけでまさか言葉に落とせない存在を表現できやしないからそこら中に転がる愛にそれを託した空っぽのそれに俺は殺されたと
冴えた精神にのしかかる何倍もの重力にされるがままうなだれる。肩にかかるしとやかな重み、熱い雫、馨しい地堕落の匂い。生温い指先を被う透ける爪の形を思い出して、あの爪を一枚一枚剥がしてピルケースに収める音を想像しかけた。カルシウムの残骸。あの圧迫感が此処に遺るような錯覚。錯覚。
無いものは望めない、と嘲るように傍目も振らず遠ざかる。   を自慢する子供ように自尊と侮蔑を混ぜ合わせた視線の先にあるのが自分だということ。口にせずともそれをさしたのがお前だということ。(此処を刺せと掴んだ掌が今は扉に掛かって世界の外側へ吸い込まれていく)
出てくる言葉はにべもなく俺が与えるものは毛程もなくてお前から授かったものは受け取る端から捨てていて
(これを言葉にすれば、)
光の刺激を受け続けた眼球のしとやかな痛み。固く瞼をつぶし枯渇と飢餓の欠落感を思い出す
(足りないもの、と認識するあまさ)
毒され    

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