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サイト管理都合にて

サイトトップに書いた通り、エムブロさん終わったと思ってたんですよ。

終わって無かったですね…!?

すごいエラーで、リンクすら貼れない状態の文字が数日記分だけ貼られているという、とんでもな状態で。
てっきり終わってしまわれたんだな、と。そう思ってました…。終わって無かったですね…!?良かった…。

此処の使い勝手半端なく良いので、本当に残念な事だと……そう思ってました。なので一寸嬉しい………(そして携帯もう電源入らないので、データ的にもちょびっとうれちい……)

そんなご報告です。

お久しぶりです

というのも何度目なのか解りませんが、生存しております。

黒子映画行ってきてむっくん熱が再燃したところです。
むっクッション買ってしまった私は大分奇声発しているのでほんといい加減落ち着こう。
最愛の嫁の一人です。


後、逆にクェイサー最終巻でしたね、改めてお疲れ様です。(ついったの方でちょみっと、わちゃわちゃしてました。)
ユーリが生きててほんま良かった、というのはあるんですが、色々亡くしてしまったのが悲しいところ。麗ちゃんはユーリとかに動いて救って欲しかったとか言う然り気無い欲求は彼らに打ち捨てられた訳ですが。

うちの夢主がここでどう動くのか、そういう想像が付くばかりで、まだまだ続きを止めたままになので。また少しずつ私も夢主ちゃんに近づいて行けたらな、と。(筆のノリ的な意味で)
凄いぶっちゃけると、結構設定ばっかりできていってて、書きたいところだけ書けば18巻辺りまで追い付けそうなのですが、きちんと書かないと、何が何だかな事態になるので、肉付けがっ、肉付けがまだまだなんですね。詰まってます。
あと、携帯からすまほに変わったのが一番でかかったり(データが)


そして、イラストが迂闊にアップロード出来ないほど溜まってしまい、どうしたものか、というところです。
ほぼ落書き置き場行きなくらい、シャーペンですがね。
小説は、ちょこちょこ上げようか迷っているところです。
サイト自体放置しているので、あんまり期待しない方がいいかも…申し訳ない

それでも何時も何時も足を運んでいただいている方々、ありがとうございます。
寒くなってきたので、皆様風邪にお気をつけて。アデュー(ここでやぎゅ)

式神使いさんの2

一個前の記事の続き。
同じく夢小説に等しいので要素に注意お願いします。






「───ただいま。」
「あっ、お帰りなさい。どしたん、後ろのは。随分がっちりホールドやん?」
「逃げないって言っても離してくれないんですー。」
「…言っても逃げそうだけど。」
「流石に車から飛び降りる趣味はないですね。」

そして、私を小脇に抱えたままの獅土さんは小さく笑った。

「で、黒鴉に入るんだよね?」
「えっ、入りませんけど。」
「大人しく連れてこられたんだから、入るよね?」
「入りません。協力はしますけど。」

大人しくさせられて連れてこられたというのに、随分酷い言いようだ。
そしてまぁ、入るつもりはないので嘘は言っていない。

「………獅土さん、珍しく強気ですね…」
「おとなしい状態なのに珍しいよね…」
「(なんかこじれてそうやけどな…)」

ひそひそ離しの向こうで「まぁ、いいか」と烏丸さんが呟いたのを聞きながら、漸く降ろして糸をほどいて貰う。そして獅土さんから距離を置いた。

「その露骨なのは傷付くなぁ。」
「獅土さん結構怒ってそうなので。」
「…どうだろうね?」

あからさまに不機嫌なのがわかる。取り敢えず憤りが過ぎていつもの状態なのかもしれないなと内心苦い顔をしてしまう。周りに目を向けると、どうやら此処に居るのは、一部式神使い達のようだ。坊っちゃんの姿も見当たらない。
その中でふと、るかちゃんと視線がかち合った。

「で、なんで入んねーんだ?」
「結局、終月に加担したからね。レベル4に建築構造の製図が有るのを突き止めたのは私だから。」

ピクリ、尋ねて来たるかちゃんの眉間に皺が寄る。
そりゃあ、ああなった原因は此処にいるんだから、しょうがない。

「最初からスパイだった訳だよ。まぁ、父のお陰であっさり入れたけど。」
「その割には、お前が入ってから随分間があったように思うが?」
「ぐぬっ……仕方ないじゃん、なんやかんや誰かしらぴったりくっついてくるんだもん!!」

思わず本音を漏らせば、るかちゃんが口元を緩めた。

「おいおい…とんだスパイだな。遊び呆けてんのか?」
「、向こうさんにも同じ事を言われたよ…。」

「ちょっとー、遊んでるのは構わないけど、尻尾くらいは掴めないのー?」とは、彼が時折溢していた言葉。
若干目が笑っていなかったのが困るくらいなのに、それほどまでに誰かしらいたのだ。

「そーかよ、んで?テメェが出した負傷者は?」
「知りません!」
「0だよ。俺と遊んで力尽きたからね。」

ぽふぽふと私の頭を撫でて獅土さんは言う。やけに絡んでくるのはさておき。はて、そんなつもりは無かったのだが。
るかちゃんは頬杖を付きながら、興味無さげに此方を見て言った。

「じゃあ、良いんじゃねーか?」
「はい?」
「テメーは、心から終月に賛同したのか?」

そう問われて、首を横に振った。
別に終月の皆が特別好きだったとは言わない。寧ろ、連れ出してくれた茫と金巻にしか私は気を許した覚えはないくらいだ。

「それはないね。内二人の人柄にだけ。かといって止める気も無かったわけだけど。」
「止められたら、お前は生きてねーよ。」

そう言って笑うるかちゃんに、ああ、と少し納得する。遅かれ早かれ、ああなっていたのは察したらしい。

「まぁ、でも。参加しない。協力者の立場で居させてください。これは私のけじめだから。」

そう言って苦笑いすると、烏丸さんが少しだけ困った顔をした。

「んーとな?情報は流せんし、名探偵サマ居らんと虚霊かどうかは解らんけどええんか?」
「ああ、大丈夫。このアクセサリーが教えてくれる。」

そう言ってみると、ん、と一部が止まった。

「そう言えば、それ。誰の?」
「……ホローラビットの。」
「……本人のか?」
「うん。」

口をつぐんだが、内何人かが引いているのはわかって苦い顔をする。

「良いじゃん、なにも残らなかったんだから。……金巻くんの私物も、どっか行っちゃったし。」

二人とも、居なくなってしまった。
警察を覗いた際に見た報告書に、会えないことを知って口を噛み締めたのは良い思い出だ。

「まぁ、取り敢えず坊っちゃんにはよろしく。気が向いたら寄るよ。」

そう言って踵を返し、ドアに向かおうと歩を進める前に襟首を引かれた。
そしてその後ろから声が上がる。

「ちょお待ち。」
「なんですか。」
「GHOSTのデバイスないやろ?これ渡しとくわ。」

そう言って渡されたバッジに、少し口を閉ざす。

「そっか、ケータイ彼処に落としてきたーのか。」

言われて見れば、通信機器など持ち歩いて居なかった。
地図を便りにひたすら辿っていくのを繰り返してたから、体力はついたように思う。

「じゃあ、一応。」
「んで、此処から帰すための条件があるんやけど。誰かしらに所在は教えておくんやで?自宅近辺から離れる時は絶対や。破ったらここ引きずり込むからな。」
「………あのですね、一応あくまで協力者だと。」
「君居ないと煩いのが数人居るんやわ。俺も協力者の所在は掴んでおきたいしなぁ?」

ニヤニヤしながら言うので首を傾げたが、襟首を掴む存在かな、と少し検討をつけて「わかりました」とだけ言った。

「威勢はええのに、ほんま素直やないなぁ。」
「…素直だと思いますが?!」
「まぁ、比較的なぁ?」

ニヤ付いている烏丸さんに口をへの字にしかけたが、ふいっと顔を反らして襟首を掴む手を軽く引いた。
まぁ、離れないのだけど。

「ちょっと、離してください。」
「んー、どこ行くの?」
「自宅ですけど。」
「じゃあ俺も。」
「なんで?!」

ぐいーっと手を引かれて、困った顔で回りに助けを求めるけど、残念ながら誰も助けに入らず見送られた。


「アレ助けたらなに言われんだろうな。」
「なんも言わんけど、目付きヤバくなりそうやな。」
「まぁ、あの後、結構滅入ってましたからね。」




取り敢えず自宅に帰ると、誰も居なかったものの、今でも生活していそうなくらい綺麗な状態だった。恐らく、あの事件の後に協会で働いていた女中達だろう。父の恩恵は未だに残っているようだ。
綺麗に整えられたリビングは、少しも埃っぽくなくて、もしかしたらさっきまで居たのかもしれない。
取り敢えずお湯を沸かそうとポットを確認すると、やはりこれも使われているようでお湯が沸いていた。

「お茶で良いですか?」
「構わないよ。」

棚にある茶葉を確認すると、やはり賞味期限はまだ先だ。
急須を出して、湯飲みもだして。そうしたら、後ろに立った彼に焦れたように手を掴まれた。

「…なんですか?」
「お茶とか良いから、話がしたいんだけど。」

心配性と言うか、彼自身の庇護欲に火を点けてしまった様で。それがまだ燻ったままであるのは、此方が応答しないからだろう。
少し罪悪感は有るが、そもそも構わないと言った彼らの神経を少しばかり疑うが、確かに協会内にいる間和気藹々とした彼らは此方を何かと連れ回していたり絡んできたり。
彼もそのタイプだったと思う。

「…私が飲みたいです。」
「…君って本当にマイペースだよね。」
「それは獅土さんには言われたくないような。」

困った様に言うと、う…と彼は少し唸った。
取り敢えず手は離してくれたので、茶葉を入れた急須にお湯を注ぐ。

「俺は、黒鴉に入って欲しかったんだけど。」
「そう言って、また第三勢力と手を組んでいたらどうするんですか?」
「あはは、今度の相手は虚霊だよ?どう利用するって言うの?」

まぁ、あの後じーさんが彼らに見付かったので有れば、多分──。というわけで、彼処が閉じてしまった今、終月としての血はこの髪の持ち主で途絶えている。
つまり、現状に於いては彼らを操れる向こう側の世界の人間はもういないと言うわけだ。

「───そうですね、終月とはまた少し思想が違う、向こう側の世界の人間なら可能じゃないですか?」
「そうそう溢れているかな、そういう人間。」
「まぁ、顔を出すと迫害を受けてきた、そんな感じもなくはなかったですけど。」

あの"ハク"が喋るし好意的だしで異例だった訳であり、普通はそういう存在なのだ、そもそもが。
まぁ邪な感情を抱いた者がいて、悔恨が残ったんでしょうね。そういって、話している間に淹れたお茶を片方差し出した。

「まぁ、実際のところ、フリーですけど。どうぞ。」
「…ありがとう。」

受け取る時は大人しいのだから本当に良くわからない。
でも、何処かむっすりしたままなのは、良くわかった。

「獅土さんは、自分が気にかけている存在には目の届くところにいて欲しいタイプなんですね。」
「…解ってるなら、これ以上俺に心配かけさせないで。」

思わぬ返しに、返す言葉が浮かばない。皮肉を言うには少し、無神経が過ぎないか。
彼は優しいから、きっと真剣に考えてくれてるんだろうと思うし。

「…私は、どちらでもない方が私が動きやすいです。」
「……どういう意味?」
「私の気持ちが未だに中途半端なので、多分、居ても迷惑がかかるだけだから。」

仲間にも、名誉にも。
それは、申し訳ない程に後に響くと思うし、知っているもには確実に良い顔をしないだろう。

「…迷惑、が何を意味するかはわからないけど……そうだね、取り敢えず姿を眩まさなければ良いよ。次居なくなって見つけたら、あそこの組織に住ますから。」
「……それは、ちょっと。」
「でしょ?」

にこりと笑むから、本気度が凄い、といえば良いのだろうか、兎に角真剣な様だ。ちょっと怖い。

「改めて、宜しくね。」
「……えっと、はい……よろしく、です。」

まぁ、それだけ心配かけたんだと思ったら、仕方ないかな、差し出された手を握り返した。





──────────
二度も目の前から消えて、しかも毎度年単位で見付からないから余計に心臓に悪い存在だと言う自覚はないです(まぁ、追々自覚します。)

式神使いさん

二個前の記事の子です。
またもや書きたいところだけ。
最終章の協会が崩壊した辺りになります。

夢小説に等しいので、読むときはそこだけ注意お願いします。
獅土さん、どうなんだろうね、これ。(個人的に重度のシスコンに見えるんだよなぁ)
因みにこの時点では水月は金巻くんが頭ヘリックスしたの知りません。



あったかい時間はほどなくして崩れた。
終月側が動き出したのだ。
緊急態勢と、協会本部への襲撃。
私たちは本部へと向かい、幾つかのチームに分かれ、そして───いざ捜索を始めてようというタイミングで私は腹を括って、後ろから方々に散る仲間に向かって虚霊を仕向けた。
自らは一に乗って、悠々としながら。

「──お前も加勢しろ、水月!!」
「あァ?」
「──煩いなー、私はあの子にしかつかないっつってんじゃん。」

男の肩に降り、壱の中から上着を取り出した。
袖に腕を通しながら、その場に居るメンバーに笑いかける。

「じゃあ、誰が相手になる?」
「っ水月、お前…」
「うん、終月側、だねー。金巻くん、連れて来たかったなー………そしたら、もっとマガツヒと遊んであげたのに。」

言いながら、渡されていたマガツヒを2体、側に居た虚霊を媒介に孵化させる。でも──どうしようもない焦りが腹の内を巡っていた。
此方に来てからこの計画は知らされて居ない。ただ、地下へ行く話を聞いていただけだ。
クシナダの刃が見えて飛び上がり、再び壱に乗る。マガツヒを───そう思い、指を、視線を動かした瞬間、潰されたマガツヒの一方が見えて。突き刺さるクシナダの刃に、苦笑いする。

「……何時からだよ。」
「んー…あの日、私も死んだんですよ。だから、私は着いて行ったんです。空っぽなんです。ほら、余所見してると危ないですよー?」

そう言って、スッと後ろに下がる。敵と認識されるなり、一部協会員が此方に攻撃を仕掛けてくるのを避けると、近くに居た他の協会員に向かう。それを獅土さんが防いで、そして向かってくる終月の兵を薙いだ。
そして一方でまだ私に向かって降り注ぐ攻撃をそこら辺の虚霊共を手繰り寄せて防ぐと、直ぐ様近辺の虚霊を次の駒にして散開させる。

「ふざけんな───おい水月!!全部終わったら戻ってこい!!」

誰でもない彼にそう言われて、ふるりと首を振るう。
終月の兵は破砕されていく。そしてマガツヒも。

「戻りません…!!」

攻撃してきた協会員へ威嚇程度の攻撃をする。
ちょっと虚霊を仕向けるだけの、簡単な動作。そもそも彼にはバレているのだ、この憑力の底が。つまり私が虚霊をほぼ防御にしか使ってないのも、獅土さんに攻撃を集中させているのも、きっと。
やがて跡形もなくなった終月の兵に、此方も大分減って来て、虚霊を拾う時には大半の協会員は避難済みで、ほっとしたのも束の間。
視界が白くもやがかって来る。
───終わる……
そう思い、退こうとした瞬間。空中に浮いた瓦礫を渡って来たのだろう、獅土さんに腕を掴まれた。

「おら、帰んぞ。」
「なんで、」
「ほぼ防御しかしてねーじゃねぇか、バレバレなんだよ。」

グッと腕を引かれると、りんねが鈴に戻り、ポケットに入って来た。
数人の協会員達が此方を見て、疑心暗鬼な顔をしていて。それに構わず獅土さんが外の白み始めた空間にクシナダを出すと、グッと私の腕を引いて乗せ、他の協会員達に乗るように促す。
けれどふと手が離れた時に頭の中を過る存在。
───深獄が開いて……そうしたら、あの子は?一人じゃないだろうか。足手まといだとか今はどうでも良い、行かないと。
クシナダが上がろうとした瞬間だった。私はそこから降りる。
頭上から驚く声が聞こえて、答える。

「…っおい?!」
「ごめんなさい、やっぱりいけません!!」
「は、」
「私が、着いてなきゃ…っ」

そう言って、深獄へ繋がる狭間の回廊へと落ちて行った。




落ちた先、そこは既に静まって居て、即座に白い髪を探す。すると直ぐ側に寝転んでいた。
声を掛けようと近付き、直ぐに察する。
虚霊と下半身が交わったままのどちらともつかない姿で、目を閉じることもなく転がって居たから。
そっと手を伸ばして、目蓋を降ろす。既に呼気はしていない彼だったものに涙を溢した。
終月を名乗るだけで迫害されてきた一族。けれど、この子はまるであの翁の操り人形だった。好きに生きている様で、一族に縛られた一人の子供。
私はそういう意味では昔から家紋や一族という括りが好きじゃなかった。何より、自らが自由に動けない…と、思い知らされてからは外と関わるのをやめたくらいだ。
それを拾い上げたのはこの子だった訳だが。

「…なんで死ぬんだよ、ばか……」

その頭を抱き寄せて、まだ少し温かい身体に、堪えきれず涙を溢した。最後に会ったのは、何時だっただろう。
スーツの上着を脱いで身体に掛けてやる。
その時不意に、遠くの暗闇が僅かに光り、そしてそこから溢れ出ていた虚霊が途切れた。
───嘉神くんか、
ぼんやり眺めていると、ここから離れた場所で黒い影が上昇し、遥か上空へと飛んでいく。その内、裂け目の向こうに行くと、見えなくなった。

「──このままここにいて良いかな?」

独り言を呟くと、虚霊の光がふわふわと此方に集まって来ているのに気付いた。
どうやら、彼に集まって来ているらしい。
それはきっと彼の身体を乗っ取ろうとしているのではと感付いて、りんねを呼ぶ。

「──モドルゾ。」
「茫ちゃんからこのまま虚霊取って。」
「融合シテイル、ムチャイウナ。」
「ううん、出来るよ。じゃなかったら、壱で噛み砕いていい。渡さない、こいつらなんかに。」

そう言うと、りんねは無言でコダマを噛ませた。すると、ずるりとコダマは離れた。りんねも少し驚いている。

「ね、ねぇ。式神って、元はこういう厄落としなんだよね?」
「ソウダナ。」
「ねぇ、りんね、上に戻ってこの子を」
「コレハ此処へ置イテイケ。」
「でも……っ」

りんねが口を閉じるから、此方も考えてしまう。そこでふと、長い髪が目についた。

「、ちょっと待って。」

懐にあったゴムに手を伸ばし、そっと彼の髪に触れる。一房手に取りキツく縛って、バラけない様に数センチ上で切る。
普段の自分ならおかしいと思うその行動を、りんねはなにも言わず見ながら側に居てくれた。
終わると、りんねの方に振り返る。

「りんね、戻ろ。」
「そこの瓦礫の上に乗れ。」
「?ここ?」

小首を傾げながら、言う場所に乗る。
りんねがふわりと光った。

「それ、手放すな。」
「えっ、当たり前。っと、」

少しふらついて、ぺたんと瓦礫の上に膝をつく。

「───悪いな、ここでお別れだ。まだここが残っていたら、こい。」
「へ、りん」
「壱!」

ぶわ、と足場が光り───私は物凄いスピードで上空へと打ち上げられた。
その速度に耐えきれない瓦礫の端が、時折崩れて。
その先、虚霊の群れに突っ込んだ。空間の裂け目だ。すると先程切った髪が急に光り出す。
虚霊の群れは消え、私は抱き上げられた。

「ふーん、寝たと思ったら。すぐ起こされたね。まさかの君に。」
「へ、え……なんで、」
「なんでだろうね。さて、ご好意に甘えてあちらに戻ろう。……閉じたんだろう?協会戻る?」

そう訪ねられて。首を横に振るった。
戻った裂け目の入り口は誰もおらず、瓦礫でできた真っ暗で洞窟のような空間をちらほら泳ぐ虚霊が居た。それらは淡い光りを発し、恐らく地上までの道を照らしているのだろう、ふわふわ、ゆうらりとただただ長い道を作っている。

「少し頭冷やしてから……それから、考えるよ。」
「…ふぅん。まぁ、ボクは詳しいこと、知らないけど。」

言いながら、彼はふうわり浮かぶ虚霊を一匹捕まえる。
くしゃりと握ると、その光は消えた。

「…じーさんところ、行く?」
「今は君が居なきゃなにも出来ないのに、戻る意味ある?完全に閉じてしまった裂け目を開くのも容易じゃない。ましてや、黒髪の彼女は一族の生き残り、とか言うわけでも無さそうだからね、行き来する方法も知らなそうだ。」

クスクス笑いながら、一匹、また一匹捕まえては虚霊を消していく。
段々と彼の方に集まってくるのを見ながら、小さく相槌を打った。

「……そっか。ん、とりあえず、地上に出よっか。」
「この先、虚霊の行く道別れてるよ?」
「あー、あちらさんが出た道じゃなきゃ良いんだけど。」
「………」

光を集め、彼はじっと手を見た。
やがて歩き出す。

「行こう、こっち。」

虚霊に触れながら、彼は道を突き進んで行った。
意外と光自体は襲っては来ないらしい。
そのまま辿って行くと、その内地上の明かりが見えてきて。
ふと、彼が振り向いた。

「良いんだね?」
「うん。…晒した以上、戻る理由もないし。」
「…そう。」

りんねも、居ないし。
目を伏せ、それから顔を上げると、ぐいっと襟首を引かれて、首を傾げる。

「…大丈夫。誰か通っただけ。」

ひそりと囁いて少し間を置いて彼から表に出た。そして手招いて、私にコートのフードを被らせるなり抱き上げ、即座にその場を離れる。
暫く道を行くと、まだ協会周りには虚霊が彷徨いて居た。

「……サイノカミ、飲まれたのかな?」
「設置場所が崩れただろうからね。」
「そっか……無くなっちゃったんだ、協会。」
「…少し休めば?ボクはまだ動いて居られそうだし。」
「……珍しい。」
「そんな気分なんだよ。」
「…じゃあ、お願いします。」

言いながら、目を伏せる。そして気絶するように、意識を手放した。




追記───→
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読了!単文感想(めっちゃ追記)

此処で話をしてこなかった嘉神々なんすけどーって思ってたんですけど見てたら色々書きたくなっちゃったんで、追記よりどうぞ!!!がっつりバレと妄想書いてます!!


あとふじょしとして言わせていただけるなら、しどすま結婚した。
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