漫画家・さそうあきら氏のコミックを映像化した、[神童][マエストロ!]に続く音楽映画3部作の完結編『ミュジコフィリア』で、俳優の井之脇海が長編映画初主演を果たすことがわかった。あわせて、松本穂香と山崎育三郎の共演も発表された。
京都の芸術大学に入学した漆原朔は、思いがけず強引に現代音楽研究会にひき込まれる。だがそこには、朔が音楽を遠ざけるきっかけとなった異母兄の貴志野大成と、朔が憧れる大成の彼女・小夜がいた。
大成は天才作曲家として注目される存在であり、朔はそんな大成を一途に愛する小夜との間で苦悩する。子どもの頃からモノの形や色が「音」として頭の中で鳴っていた朔は、やがてそれらが現代音楽を通して表現できることを知る。そして、朔と同じように自然の音を理解する女性、浪花凪が現われ、朔は秘めた才能を開花させようとしていた――。
文化庁メディア芸術祭マンガ部門の優秀賞を2度受賞し、手塚治虫文化賞のマンガ優秀賞を獲得したさそう氏。クラシックへの深い愛情と造詣に裏打ちされた[神童][マエストロ!]は、“耳で見る映画”として人気を集めた。3部作の最終作『ミュジコフィリア』の主人公は、京都の芸術大学に音楽へのコンプレックスを持って入学した漆原朔(うるしばら・さく)。しかし、あることがきっかけで現代音楽の世界に身を投じ、様々な出会いを経て、自分の音楽を創り上げていく姿を描く。
自然の中の「音」を理解し、モノの形や色が「音」として聴こえる特殊な才能を持ちながら、著名な作曲家の父と若手天才作曲家として期待される異母兄へのコンプレックスから音楽を遠ざけてきた主人公・漆原朔役を井之脇海が演じる。また、朔と同じように自然にある音や物を理解し声で表現する能力を持ち、朔に思いを寄せる芸大ピアノ科生のヒロイン・浪花凪(なにわ・なぎ)役に松本穂香。朔の異母兄で天才作曲家としての将来を期待される一方、父親の呪縛から逃れられないでいる貴志野大成(きしの・たいせい)役に山崎育三郎がふんする。
ピアノ経験がある井之脇君と育三郎君は撮影のために練習を重ね、特に物語のクライマックスでは兄弟が葛藤を乗り越えて心を通わせる見事なピアノアンサンブルを披露している。松本サンは、その透明感あふれるみずみずしい歌声によって、朔と凪のピュアなラブストーリーに観客を引き寄せる。
監督は、2010年[時をかける少女]で長編映画監督デビューし、[乱反射][マザーズ][人質の朗読会]などドラマでも国内外多数の受賞歴を持つ谷口正晃。
なお3/29、ロームシアター京都のサウスホールでは、プレイベントを開催。映画に登場する新作音楽のコンサート、特別予告編の初上映、谷口監督、さそう先生、キャスト陣のティーチインなどが予定されている。
▽井之脇海コメント
僕の人生のターニングポイントに、12歳の時に出演した映画「トウキョウソナタ」があります。
ピアノの才能を持つ少年の役を演じて、役者の楽しみを知り、役者を続けることを決心しました。
そして今回、初主演映画がピアノにまつわる作品ということに、とても深い縁を感じています。
初主演という不安やプレッシャーもありましたが、ピアノと一緒ならきっと乗り越えられると思って撮影に臨みました。僕が演じた漆原朔は、日常の中の様々なモノの形や色が「音」として聴こえる、音楽の才能を持った大学生です。朔の天真爛漫さと音楽への溢れる愛を、素敵なキャストの方々、そして“ピアノ”と共に、全てを出し切って演じました。楽しみに待っていてください!
▽松本穂香コメント
最初はすれ違ってばかりいた不器用な人達が、音楽というものを通して自分だけの表現を手に入れ、心を通わせていく物語です。私は今回、ギターやダンスなど初挑戦が多かったのですが、凪という役を通して、表現することの楽しさを改めて感じました。
▽山崎育三郎コメント
貴志野大成は朔の兄であり、天才と謳われた作曲家です。何事も完璧を求め、音楽に対しては特にプライドが高く、作曲に人生の全てをかけています。
今回、日本の美しい文化の宝庫である京都での撮影は感動の連続でした。国宝のお寺の境内で指揮をさせて頂いたオーケストラ演奏シーンでは、驚くほど美しい絶景に息を呑みました。
この作品で音楽の持つ力を改めて感じ、音楽が言葉を超える瞬間に立ち会うことが出来ました。
▽谷口正晃監督コメント
最初から最後まで、俳優たちは己の身体を使って音楽を歌い、奏で、躍動し続けます。
本物志向の奔放さは過剰かもしれませんが、とても愉快なことでありましょう。
美しい京都の街を舞台にして描く若者たちの音楽への情熱。ぜひご覧ください!
▽原作・さそうあきらコメント
京都は伝統と革新が矛盾なく共存する場です。そこで僕が聴いてきた様々な音たちが「ミュジコフィリア」の源泉になりました。音楽が生まれ出づる瞬間の喜びを描きたい。そんな思いがこの映画から皆さんに伝わりますように!
『ミュジコフィリア』は、2021年秋に京都での先行公開を経て、東京・TOHOシネマズ日比谷ほか全国で公開。