サッカーや野球などスポーツの名門校として知られる千葉県船橋市立船橋高校には、代々受け継がれている【市船soul】という応援曲がある。運動部の試合中に演奏されると勢いがつき、「ソウルが流れると点が入る!」「市船のチャンステーマ」などと、市船を勝利へ導く神応援曲として知る人ぞ知る楽曲だ。この楽曲が運動部の試合中に演奏されると勢いがつき、同校を勝利へと導く“神”応援曲としてTwitter上で話題になった。楽曲誕生の裏側には、作曲したのは浅野大義さん。2017年にがんにより20歳という若さで、短い人生の幕を閉じた。その【市船soul】を作曲した浅野さんと、市船吹奏楽部の絆が生んだ奇跡を辿った、中井由梨子によるノンフィクション[20歳のソウル 奇跡の告別式、一日だけのブラスバンド;小学館]が、俳優の神尾楓珠と佐藤浩市の初共演し、吹奏楽部員とその顧問という“師弟”関係を演じる、実話を基にした映画『20歳のソウル』が2022年に公開されることが決定した。
生前、市船の吹奏楽部員だった浅野さんは、野球部を応援する曲を作りたいと【市船soul】を作曲。そして完成すると、その楽曲は、運動部員たち、一緒に青春を過ごした吹奏楽部の仲間たちを勇気づけ、さらには病にかかった彼自身にも生きる力を与えた曲になった。
そんな【市船soul】の作曲を一番近くで見守り、浅野さんの青春に大きな影響を与えたのが吹奏楽部顧問・高橋健一先生の存在だった。高橋先生が大義さんの告別式で「大義のために演奏しよう」と声をかけると、164人もの市船吹奏楽部OBが集まり、【市船soul】を演奏して浅野さんを送り出した。浅野さんが残した【市船soul】は市船吹奏楽部の後輩たちに受け継がれ、高校野球のスタンドなどでいまも演奏され続けている。
浅野さんの物語は、今作の脚本を担当した中井由梨子により2018年に書籍化され、店頭に並ぶと「電車で読んではいけない本」として各レビューサイトで“感動”“号泣”コメントが殺到。また[NEWS ポストセブン]で記事が掲載されると、[Yahoo!ニュース]に転載され、[報道ステーション]でも特集されるなど、各種メディアで大きな話題を集めた。
今回、浅野さんを神尾楓珠が演じることに。楓珠君は本作で初めて、浅野さんが吹奏楽部で担当していたトロンボーン、そしてピアノ演奏にも挑戦する。また実際に、市船吹奏楽部の演奏も見学し、スクリーンで浅野さんの人生を生きる上での役作りに反映させた。
浅野さんの恩師・高橋健一先生を演じるのは、昨年俳優生活40周年を迎え、これまで100本以上の映画に出演してきた日本を代表する名優・佐藤浩市。佐藤サンは、初の吹奏楽部顧問を演じる上で、実際に高橋先生から指揮法を学び、また楓珠君同様、市船吹奏楽部の演奏と合唱を見学。彼らの音楽を聴いて、大好きな音楽と共に生き切った楓珠さんの人生を先生の目線で伝えていく。
本作の監督は、テレビ朝日で演出家・プロデューサーとして活躍した秋山純氏。テレ朝時代の代表作として[特命係長 只野仁]シリーズ(03〜17年)、[陽はまた昇る;'11※主演は佐藤浩市]、[就活家族〜きっと、うまくいく〜;'17]等。独立後は映像制作会社を設立し、映像界で活躍を続けている。
脚本は、本作の原作の著者でもある中井由梨子(mosaique)。2017年、朝日新聞の記事をきっかけに、浅野さんの関係者へ取材を行い、2018年に著作を上梓。今作では脚本を担当し、映画として何を伝えたいか、改めて浅野さんと向き合ったという。映画『20歳のソウル』は、全ての学生たちへ、そしてかつて青春を過ごしてきた大人たちへ、今だからこそ届けたい涙と笑顔があふれる感動の物語となっている。
◎映画『20歳のソウル』あらすじ浅野大義は市立船橋高校吹奏楽部に所属する男の子。担当はトロンボーン。活発で優しく、そして真っすぐな浅野は、いつも周囲を明るく照らし、そして浅野自身も部員たちに支えられ、青春を謳歌していた。何より特別な存在である顧問・高橋健一先生に大きな影響を受け、心身共に成長していった。
浅野は、野球の強豪校でもある市船・野球部のために、オリジナル応援曲の作曲に挑戦。作曲の難しさと葛藤しながらも高橋先生からの叱咤激励もあり【市船soul】が誕生する。そして、いざ試合で演奏されるとたちまち得点を呼ぶ“神応援曲”として呼ばれるようになる。
高校を卒業した浅野は、高橋先生のような教師を志し、音楽大学へ進学。夢に向かってキャンパスライフを過ごしていた。そんな中、ある日突然、浅野の体に異変が襲う。診察の結果、浅野の体は癌に侵されていたー。
▽神尾楓珠コメント
最初、実話ということを知らずに脚本を読ませていただいたのですが、
映画みたいな、すごい青春だなと感じました。
本作で、浅野大義さんを演じる上で、いろいろな方たちからお話を伺い、
彼は周りからの人望が厚く、とても愛されていたんだなと感じ、映画ではその魅力や、そして彼が残してくれた生き様が、きちんと伝わる様に演じられたらいいなと思います。
▽佐藤浩市コメント
市船・吹奏楽部の生徒たちが演奏しているのを見させていただき、
昨今、このコロナで演奏できる場、表現できる場が失われた生徒たちが、
“何か”を伝えようと、とても生き生きと演奏していました。
その姿を見て、この映画で、そして浅野大義さんの人生を通して、
自分自身もこの子たちのその“何か”を伝えたいと思います。
▽秋山純監督コメント
四年前の朝、新聞で大義くんの記事を読みました。
彼の生きた証を多くの人に知ってもらいたい。
その想いは、たくさんの仲間、素晴らしい俳優陣へと縁を繋ぎ、映画として実を結びました。
大義くんが我々を選んでくれたのだと信じています。
▽原作・脚本 中井由梨子コメント
浅野大義、という音楽好きの青年が20歳の若さで亡くなった。
その事実の中に、想像もできないような奇跡が、たくさんの人々の絆が、溢れ出す想いがあります。
短くても力強く生ききる、命の輝きを感じてください。
誰もが共感できる、明日への勇気となるような映画です。
映画『20歳のソウル』は2022年全国公開。