「お前が、いつ、どこで、誰と何をしようが、俺には関係ない」
「言葉と行動が合ってない」

感情に任せて彼を壁へ押し付けると、そのまま首筋に噛み付いた。悲鳴ともつかない声がロイズの口から漏れる。躾のなってない犬だと言わんばかりに、首から下がるチェーンが下へ引っ張られた。
痛みで僅かに潤んだ瞳で見上げられても、クライドの視線は揺るがないまま、自分よりほんの少し低い彼を見下ろした。彼が抗議の言葉を口にするよりも早く塞いでしまう。不意打ちのキスはいつもよりも激しく、まるで呼吸さえ奪おうとしているかのようで、ロイズは為す術もなくされるままになっていた。

数秒の後。やっと唇が離れた。と同時に思い切り呼吸した。やりすぎだバカ、と言葉にしなくても視線が物語っている。責めるような視線に悪びれる様子も気にする風もなく、クライドはもう一度、今度は軽いキスを落とした。

 

「…なんなんだよバカ。少しは嫉妬しろよバカ」

「……バカにバカとは言われたくない」

「俺もだけど、ロイズも相当バカだからね」

「な、」

 

視界がぶれる。ベッドへ投げ出されたのだとロイズが認識する頃には、至極楽しそうな笑顔のクライドが上に居て、脱出することは到底不可能だと思われた。