満島ひかりが[夏の終り]以来4年ぶりの単独主演を果たす映画『海辺の生と死』に、永山絢斗が追加キャストとして出演することが決定。併せて、本作が7/29(土)に公開されることが明らかになった。

昭和19年(1944年)12月、奄美カゲロウ島(加計呂麻島がモデル)。国民学校教員として働く大平トエは、新しく駐屯してきた海軍特攻艇の隊長 朔中尉と出会う。朔が兵隊の教育用に本を借りたいと言ってきたことから知り合い、互いに好意を抱き合う。島の子どもたちに慕われ、軍歌よりも島唄を歌いたがる軍人らしくない朔にトエは惹かれていく。やがて、トエは朔と逢瀬を重ねるようになる。しかし、時の経過と共に敵襲は激しくなり、沖縄は陥落、広島に新型爆弾が落とされる。そして、ついに朔が出撃する日がやってきた。母の遺品の喪服を着て短刀を胸に抱いたトエは家を飛び出し、いつもの浜辺へと無我夢中で駆けるのだった――。

1990年に映画化もされた名作小説[死の棘]の原作者として知られる作家・島尾敏雄と、その妻・島尾ミホをモデルにした物語で、それぞれに出会いのエピソードを綴った小説[島の果て]と随筆集[海辺の生と死]が原作。2人が出会い、永遠に解くことのできない赤い糸で結ばれるまでの時間を描いた[死の棘]へと続く愛の物語。島尾ミホが第十五回田村俊子賞を受賞した自叙伝に基づき、太平洋戦争末期の奄美群島・加計呂麻島で国民学校教員として働くトエ(満島ひかり)が、新しく駐屯してきた海軍特攻艇隊隊長・朔(さく)と激しく惹かれ恋に落ちるさまを描く。島尾ミホをモデルとしたヒロイン・大平トエを満島ひかりが演じ、彼女が加計呂麻島で過ごした青春期と人生を決定づけることになった恋を、その真っ直ぐな存在感で体現している。

主演の満島サンは、「島に棲む、人間の姿をした狗神(いぬがみ)のような女が、内地から特攻艇に乗るため、島へやってきた男と鮮烈に出会いました。女は自然を愛する男に狂うほどの恋をし、男はその女の海ほど深い愛にのみこまれてゆきます。この作品は、『愛vs戦争』の話だと思います。自然の愛おしさと恐さ、現実のぬるさと心地よさ。みた人が何かに“気づく”映画、かな」と作品への思い入れを語っている。

永山絢斗が演じるのは、トエの恋人で島尾敏雄をモデルとした朔中尉。本作では文学三昧の生活から突然特攻艇隊隊長に任ぜられた、一人の青年の生きる葛藤した姿を演じる。

絢斗君は「瀬相(せそう)港で一人フェリーを待つ間、ワクワクを抑えきれず防波堤を走って海に飛び込んだのは紛れもなく『この、僕』でした。どの島とも異なる独特な雰囲気を持つ奄美大島加計呂麻島で送った撮影の日々に、監督・共演者・スタッフ・出会うことの出来た全ての皆さん、海に・砂浜に・動物たちに・たくさんの緑に、そして島尾敏雄さん島尾ミホさんへの感謝の気持ちでいっぱいです。朔という一人の男の胸の内の葛藤に、僕自身も苦しみ、心が同じように高鳴って、幸せを感じることが不思議なまでに出来ました。そして僕の中で朔という男は、今でも軍服を着たままの姿で、壁一枚隔てたすぐ向こう側にいるように感じるのです」とコメントを寄せた。

また今回、島の慈父(うんじゅ)として慕われるトエの父役に津嘉山正種、朔中尉の部下・大坪役に井之脇海、自分より若い上官に鬱屈した思いを抱える兵士役に川瀬陽太が起用されたことも発表された。

監督は[アレノ;'15]の越川道夫がメガホンを取った。撮影は、カゲロウ島のモデルになった奄美群島の加計呂麻島(かけろまじま)で行われた。


映画『海辺の生と死』は7/29よりテアトル新宿ほか全国順次公開