2021年に放送されるNHKの大河ドラマのタイトルが『青天を衝(つ)け』に決定し、主演を俳優の吉沢亮が務めることが、明らかになった。新しい1万円札の“顔”にも採用された渋沢栄一役で、幕末から明治の激動の時代を描く。9/9、東京・渋谷の同局で行われた会見で発表された。

吉沢君は、広瀬すず主演のNHK連続テレビ小説[なつぞら]に天陽役で出演しており、先週の放送で天陽の“最期(さいご)”が描かれた。SNSなどで“天陽くんロス”が起こったタイミングで、今回の発表となり、吉沢君んは「このタイミングで、発表になるのがばっちりだなと思った」と笑顔を見せると「朝ドラで、そこまで長くない人生でしたが、天陽が年を取っていく過程を演じられたことは大きかった」と朝ドラの経験が大河ドラマにも活かせることに期待を寄せていた。また「『天陽ロス』という言葉は届いていた。天陽で僕のことを知ってくださった方もいると思うので、(「青天を衝け」の渋沢栄一役では)天陽とは違う面白さをちゃんと届けられるように頑張りたい」と意気込みを語った。

今回の主演抜てきについては、「とんでもないこと。まさか自分に来るとは思っていなかった。びっくりしすぎて、『大河ってもう一個、枠がありましたっけ?』と思ったくらい」と心境を明かし、「マネジャーさんに(発表前に情報が)『漏れたら、主演が変わったりする』と脅されて、すごくビクビクして過ごしていました。きょう、発表できて安心しました」と話した。

そして吉沢君は「歴史ある大河ドラマの主演をやらせてもらうということで、とても光栄に思っております。歴代主演を務められてきた役者の皆さんは、トップクラスの素晴らしい役者さんという印象が強い。ものすごく光栄と思う反面、プレッシャーが尋常じゃないぐらいある。不安はものすごくあるが、精いっぱいやりたいなと。渋沢栄一という人間の人生をエンターテインメントとして楽しく届けられるよう、精いっぱい演じさせていただきます」と語った。

ドラマの制作統括の菓子浩は、吉沢君の抜てきの理由を聞かれ、「『青天を衝け』では青春というキーワードで、みずみずしく若々しい渋沢栄一を切り取りたい。そう考えた時に、20代ですごく活躍されていて、芝居を託せる方ということで吉沢さんを選んだ」と明かした。

菓子氏は、吉沢君が天陽役で出演した、[なつぞら]のスタッフからも吉沢君の高評価を聞いていたという。また、吉沢君が出演した映画[キングダム]での演技について、「『キングダム』を見て、一人二役の演じ分けや、画面を飛び越えてくる勢い、存在感があった」と語った。ほかにも、映画[リバーズ・エッジ]などさまざまな出演作を見た上で、吉沢君の起用を決めたことを明かした。

『青天を衝け』は第60作目となるNHK大河ドラマ。新たな1万円札に肖像画が使用されることでも注目されており、「日本資本主義の父」とも称される実業家・渋沢栄一を主人公にした作品で、幕末から明治にかけて農家の生まれから武士、幕臣になり、やがて民間人となって様々な分野で改革に挑戦していく渋沢の波乱万丈な生き様を描く。

脚本はNHK朝の連続テレビ小説[風のハルカ][あさが来た]などの大森美香が担当する。制作統括は菓子浩、福岡利武、演出は黒崎博、渡辺哲也ら、プロデューサーは板垣麻衣子。放送は2021年1月から。


▽大森美香コメント
ずっと「幕末ドラマを今までにない目線で描けないか」と、考えておりました。
そこで渋沢さんです。近代の実業家として有名な渋沢栄一さんですが、そうなる以前は埼玉深谷の【農民】、またある時は農作物を売る【商人】、またある時は【尊王攘夷の志士】、またある時は将軍に仕える【幕臣(武士)】として、幕末から新時代の荒波を生き抜いた貴重な方です。
2015年の連続テレビ小説『あさが来た』では渋沢さんを、主人公を導く【銀行の神様】として描かせていただきましたが、今度は神様ではない、青空を衝く勢いで時代を駆け抜けた、血気盛んな人間味あふれる一人の男として、カッコいい面も、そうでない面も、丁寧に描いて行けたらと思っています。
渋沢さんの奥様、千代さんをはじめ、家族や親戚、主君や同志、職場の先輩後輩にも、魅力的な人物がたくさん登場します。彼らの生きていた時代が、そのまま百数十年経った令和の今と繋がっていると感じられるような臨場感あふれるドラマを、毎週お届け出来るように、吉沢さんやスタッフ、キャストの皆様と駆け抜けたいと思います。
2021年、どうぞよろしくお願いいたします。

▽菓子浩(制作統括)コメント
皆さんは、渋沢栄一と聞いてどんなイメージが浮かびますか?「雲の上の経済人」「順風満帆な成功者」、あるいはもっと単純に「お札の人」という答えが返ってくるかもしれません。
でも、実はそれだけじゃないんです。なぜかいつも苦境に立たされ、倒れそうになりながらも踏ん張って確かな成果を残していく。まるで「おきあがりこぼし」のような人生でした。その最大の武器は「誠意」。頼まれるとどこにでも飛んで行って力を貸す。その人柄が人を引きつけ、数々の偉業を成し遂げたのです。
そんな愛すべき人物を、「青春」というキーワードでみずみずしく描きたいと考えています。脚本の大森さんは、上質なエンターテイメントを作り上げる名手。そして、主演の吉沢さんは、硬軟自在な演技で魅せる実力派。骨太な人間ドラマが生まれると確信しています。
2021年、エネルギッシュでチャーミングな渋沢栄一と一緒に、激動の幕末・明治を旅しましょう!
「青天を衝け」どうぞご期待ください!