俳優の中村倫也が出演する、『AGC旭硝子』創立110周年を記念したWEBショートムービー<言えなかった男篇>。このほど、そのロングver.が公開され、演出を[桐島、部活やめるってよ][紙の月][羊の木]などで知られる吉田大八監督が務めていることが分かった。
2月から公開中のショートver.は再生回数74万回を突破している本ムービー。主演を、映画、舞台、ドラマなどで幅広く活躍し、[ホリデイラブ]の強烈パワハラ夫や、次のNHK連続テレビ小説[半分、青い。]出演などでも話題を呼ぶ中村倫也が務めている。ロングver.では夜のホテルのシーンなども追加され、自分の仕事をひと言で説明することができないある会社員の男が、自らの潔白を明らかにしていこうと試行錯誤するストーリーがコミカルに描かれていく。
ひょんなことから事件に巻き込まれてしまった、ごく普通の会社員・伊和崎。警察の取調室で何の会社でどんな仕事をしているのか、説明を求められるも「分からない」としか答えられなかったことから事態が悪化。ついには法廷へ。
そして、吉田監督こだわりの演出により展開される物語が急展開を迎えるのは、開始2分後の法廷シーン。演じる役によって、さまざまな“顔”を披露し、数々の作品でインパクトを残してきた実力派俳優・中村倫也が、圧巻の美声とパフォーマンスを披露する!
今回が初タッグとなった倫也君と吉田監督。その2人を支えたのが、映画[火花]などにも出演した、刑事役の三浦誠己をはじめ、清水葉月、松浦佐知子など、各分野で活躍する実力派の役者陣。実は、吉田監督たっての希望で、以前から作品を見て気になっていた方々をキャスティング。確かな演技力と独特の存在感で物語の世界観を引き立てる、名脇役たちの芝居も光る。
何と言っても注目は、ミュージカルでソロパートもこなす高い歌唱力の持ち主だけに、法廷で歌うシーンで、美しく力強い歌声とエネルギッシュなパフォーマンスを披露する倫也君。ファーストカットでは、厳粛な法廷がエンターテインメント劇場に一変し、どんどん自分の世界に入っていく倫也君の姿に、周りのスタッフ、エキストラも釘付けに。カットの瞬間、傍聴席からどよめきが起こると、敵方の検事や判事席の方からも拍手が起こり、現場は大盛り上がり!その後、カメラのアングルやサイズを変えて、さまざまなパターンを収録。全部で40テイク以上を重ねて、歌いまくった倫也君に、最後は再び盛大かつ温かい拍手が送られた。
撮影に当たり、倫也君に対して「ある種、不条理なストーリーなので、理屈で全部説明するのではなく、“わからない“という言葉をきっかけにどんどん状況が変化し、最終的には歌の力で突破するというメチャクチャなノリを楽しんでください」と伝えた吉田監督。
短い撮影期間にもかかわらず、倫也君以外のキャストやエキストラの皆さんにも丁寧かつ的確な演技指導を行い、わずかな表情の動きまでチェックして、コミカルな動画の世界観を演出していった。倫也君は初めてコンビを組んだ吉田監督の演出について、「ディレクションがとても的確で、感覚的なシーンにも緻密な計算があり、テクニカルなこともしっかり求められたので、やりがいがありましたね」とコメント。「改めて映像業界全体のレベルを引き上げる方なんだなと実感しました」と、その存在の大きさを熱く語っていた。
主人公である倫也君が突然、「歌います」と宣言して歌い出すシーン。歌唱時のアクションは基本的に、「この歌詞のときはこの場所にいてほしい」「歌う間に、ここからここまで移動してほしい」といった吉田監督のリクエストに応えて、その場で倫也君が振り付けのアイデアを提案し、2人で一緒に作り上げていきました。撮影後、「吉田監督と振り付けを考えた役者はいままでいないと思うので、とても光栄で気持ち良かったです」と語っていた倫也君。一方の監督は「アクションの引き出しが豊富で、身体能力も抜群。あまりにも軽々とこなすので、途中から憎たらしいなという思いで見ていました(笑)」と、ユーモアを交えて感想を語ってくれた。
▽中村倫也コメント
・初タッグを組んだ吉田大八監督の印象や撮影の感想
吉田監督の作品を拝見して、感覚的な部分で演出をする方なのかなと想像していたのですが、実際はすごく的確な指示を下さる方でした。物語や人物の骨組みをきっちり作っていくというやり方で、緻密な計算をされている方で、そこにやりがいを感じましたし、改めて映像業界全体のレベルを引き上げていく監督さんなんだなと思いました。
・法廷での歌唱シーンについて
歌唱シーンでは、きれいに歌い上げるよりも、音程やリズムが多少よれたり、外れたりしてもいいから、とにかく周りを説得しようという強い思いで歌ってほしいと言われていました。ミュージカルの発声とかコントロールの仕方とは違うところで、荒削りさを出さないといけませんでした。
・視聴者にメッセージ
僕は歌唱シーンの“VIVA!わからない”という歌詞に共感しました。役者という仕事も、イメージを持たれると思うんですけど、中村倫也という俳優が自分でもよく分からないし、最終的に僕は「何なのか分からないよね」と言われるような俳優になりたいと思っています。今回のWEBムービーは、分からないものを楽しむ、大人の余裕が感じられる作品になっています。僕が演じた主人公も、終始、謎の人物になっているので、そこを通じてAGCさんに興味を持っていただけたらと思います。
▽吉田大八監督コメント
・「一言ではいえない会社」というテーマについて初めて聞いた時の感想
よくぞこれをテーマにしたなと驚きました。企画した人もすごいけど、それを選んだ会社もある意味、自分たちがやっていることに自信がなければ、これだけ思い切った切り口で、世間に向けてなかなか自己紹介はできません。だからこそ、作り手の僕たちも自信を持って取り組まないといけないと思いながら撮影をしました。
・中村倫也の印象
まだわからないですね。いい意味で謎です。俳優としても人としても興味が湧いて、いろいろ聞きたいことがあったんですけど、なかなか現場でゆっくり話せなかった。質問が20項目ぐらいありますよ(笑)。中村さんはこうしてほしいという要求に対して、冷静に受け止める感じがあって。もちろん自分の中では相当、いろいろな感情があったと思います。若いのに、それをあまり表に出さないけど、内面は絶対熱いんだろうなと。すごく興味深い俳優さんでした。
・視聴者にメッセージ
今回は、AGCさんが社会へ向けあらためて決意表明する、そのお手伝いをさせていただくということがテーマだったので、CMを作る自分と、映画を作る自分をフル稼働させて、そのどっちでもあり、どっちでもないものを一生懸命作ろうと思いました。きっと僕にとっても、今まで作ったことのないような作品になっていると思いますので、それを皆さんも期待して頂ければと思います。
AGC110周年 ショートムービー<言えなかった男篇(ロングver)>はWEBにて公開中。