【シン・仮面ライダー対庵野秀明展】合同記者会見が9/30、東京・乃木坂の国立新美術館で開催。キャスト情報が初めて解禁となり、本郷猛役に池松壮亮、緑川ルリ子役に浜辺美波が決まった。

2023年3月公開予定の『シン・仮面ライダー』は、今年4月3日の<仮面ライダー>放送開始50周年記念の日に製作が発表。庵野秀明氏が脚本・監督を務める。プロモーション映像やビジュアルも公開され、新しいサイクロン号もお披露目された。

本作は[シン・ゴジラ][シン・エヴァンゲリオン劇場版]で知られる庵野監督が1971年放送の<仮面ライダー>をベースに描く作品。会見はプロモーション映像 Aの上映から幕開け。映像は1971年放送の第1話オープニングをもとに『シン・仮面ライダー』のために新たに制作された。

仮面ライダーの生誕50周年を記念した『シン・仮面ライダー』は、71〜73年に全98話が放送され、1号&2号とショッカーの戦いを描いた<仮面ライダー>をベースにしたオリジナル作品で、庵野監督が自ら脚本を書き下ろした作品。[庵野秀明展]は、10月1日から国立新美術館にて開催。「庵野秀明をつくったもの 庵野秀明がつくったもの そして、これからつくるもの」というテーマで、アニメーター時代に参加した過去作品、監督、プロデューサーとして活躍する最新の仕事までを網羅し、創作活動の秘密に迫る展覧会となっている。

その後、池松君と浜辺サンは2人そろって登壇。MCの口から池松君が主人公の本郷猛 / 仮面ライダー、浜辺サンがヒロインの緑川ルリ子を演じることが明かされた。

本郷猛役を務める池松君は「驚きましたし、それよりも庵野さんが『仮面ライダー』を準備していることにワクワクしました。軽々しく引き受けられるものではないな、と。これだけ素晴らしい挑戦。力を出せたらなと思っていました」と思いを語る。

この日は、池松君は松葉づえ姿で「いきなり、こんな姿でよくわからない感じだと思いますが…」と自虐。撮影前にアクション連取を行っていた一昨日に負傷したそうで「靭帯を…。僕もよくわかっていないんですけど一週間、足をつくな、ということで。撮影には支障がない」と明かした。「なんて説明したらいいか…。主人公が改造手術に、ちょっとだけ失敗したけど、撮影には支障がないと書いていただけたら」とポジティブに笑わせた。

[平成仮面ライダー]シリーズ好きとしても知られる浜辺サンは「『仮面ライダー』という存在は小さいころから大好き」と興奮ぎみ。庵野監督が描く<仮面ライダー>も楽しみにしているそうで「どういう物語になるのだろうと。そこにヒロインとして出演できることは驚きでしかありませんでした」と口にしていた。

庵野監督は、それぞれの起用理由も説明。「池松くんはオーディションに来てくれてよかった。50年前の仮面ライダーとは、池松くんがやるなら違う本郷猛になってくれるんじゃないかと。僕の中では藤岡弘、さんのやる本郷猛のイメージが、ものすごく強い。これを踏襲しても自分では消化できないと思った。別のキャラクターとしての本郷猛を作らざるを得ない時に池松さんはイメージ的にいいなと思いました」と語った。

浜辺サンについては「ヒロインをどうしようと思った時に会社に東宝のカレンダーが貼ってあるんですよ。ちょうど、その月が浜辺さん。この子、いいや!と。だからカレンダーで決めました」と笑いながら「その後、『賭ケグルイ』という主演なさっている映画を観て、すごくよかった。自分の勘は正しかったな、と」と会心の笑顔。庵野監督は「東宝のカレンダーも役に立つ」と語りかけると浜辺サンは「出しているかいがあります!」とはにかんでいた。

池松君にとって思い出深い“庵野作品”は「初めての出会いは『ラブ&ポップ』。夢中になってみましたし、何度か見返している作品です。もちろん『エヴァンゲリオン』も外せませんし、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』発表タイミングで過去作を見返しました。『仮面ライダー』が当時の人々に影響を与えたように、この国の“宝”のような作品だと思います」と回答。浜辺サンは[ふしぎの海のナディア]を挙げて「小さかったので、庵野さんの作品だとは知らなかったのですが、ナディアちゃんがすごく可愛らしかった。何度も見返していたと思います」と語っていた。

役作りのこだわりについて問われると、池松君は「怪我に気をつけること……冗談です(笑)」と発言。続けて「半年以上前になりますが、型取りから始まり、3Dスキャン、衣装が出来上がっていくまでの経過に触れると『庵野秀明展』をじかに見せてもらったような感覚になりました。これは心の準備になりました」と振り返る。浜辺サンは「今まで触れてこなかったことに、いくつか挑戦する機会があります。その練習とともに、今まで演じたことのない役どころなので、理解を深めている最中です。あとは現場に入り、庵野さんにしがみついて、毎日を乗り越えていきたい」と意欲を示していた。

プロモーション映像には、怪人の姿も。第1話[怪奇!蜘蛛男]に登場する蜘蛛男らしき姿も。登場する怪人について問われた庵野監督は「蜘蛛は出ます。さっき写っていたのは、どう見ても蜘蛛ですから」と登場の内定を明かしつつも「あとはナイショです」とニヤリ。「ぼちぼちネタとしては出てくると思います。23年春の公開なので」と予告。最後は「あと、バッタは出ます」とお茶目に付け加えていた。

まだまだベールに包まれている物語だが、池松君と浜辺サンは脚本について、こう述べてみせた。

池松「温故知新といいますか――なぜ、古きものを新しく進化させるのか、いま世界に蔓延る様々な社会問題についての言及が、ぎっしりと詰まっています。なによりとてもタイムリーな内容になると思います。何より格好いいです」

浜辺「まず驚いたのは、第1〜4幕にわかれていること。『仮面ライダー』シリーズを見ていらっしゃる方が、疑問に思っている事、『そういえば、ここはどういうことなのだろう?』と感じてしまう事の理由、成り行きが全部書かれています。ページをめくるごとに興奮が高まっていきました」

また<仮面ライダー>そのものへの印象を尋ねられると、池松君は「僕は1990年生まれなので、平成ライダーが始まった時が一番タイムリー。ヒーローものがすごく好きだったので、よく見ていました」と告白。今回の『シン・仮面ライダー』では「色々な解釈でヒーロー化し過ぎたものを、もう一度人間的なものに少し戻せたらと考えています」という思いを込めているようだ。

幼少期に<仮面ライダー>にハマっていたという浜辺サン。今でも7歳下の弟とともに、同シリーズを楽しんでいるようだ。「解釈を深めていくことで、新たな格好いい部分が見えてくる部分に魅力を感じています。今でも毎年映画を見ています。戦う様子、戦う理由を見つけてさらに一段階進んでいく姿に、今でも勇気をもらっているんです」と話していた。

なお会場では、プロモーション映像が2本公開された。「プロモーション映像 A」は、<仮面ライダー>('71)第1話のオープニングを基に、『シン・仮面ライダー』版として撮影・製作。「プロモーション映像 B」は、<仮面ライダー>('71)のオープニングを基に、『シン・仮面ライダー』版として新たな表現にて、撮影・製作された。


『シン・仮面ライダー』は、2023年3月に公開。[庵野秀明展]は、国立新美術館(企画展示室1E)にて、10月1日〜12月19日に開催(毎週火曜日休館、ただし11/23は開館)。