1956年にアメリカで発表された、ロバート・A・ハインラインの名作タイムトラベル小説『夏への扉』が、俳優の山崎賢人主演で実写映画化されることが、明らかになった。映画は舞台を日本に移し、1995年から2025年へ時を超え、人生のすべてを奪われたロボット科学者が未来を取り戻す冒険物語となる。

冷凍睡眠やタイムマシンが登場するが、人間ドラマをロマンチックに描いた物語は特に日本のSFファンから支持され、海外のSF小説のベストを選ぶ企画では度々1位に。“時間旅行もの”というジャンルを確立させ、[バック・トゥ・ザ・フューチャー]など80年代の数々のSF映画に影響を与えたとされる傑作を、日本を舞台にして物語を再構築。

本作では舞台を日本に再構築し、1995年から2025年へ時を超え、人生のすべてを奪われたロボット科学者が未来を取り戻す冒険物語を描く。主演の山崎賢人が演じるのは、孤独な科学者・高倉宗一郎(たかくら・そういちろう)。だまされ奪われた研究の結晶ともいえるロボットや会社、大切な人を30年の年月を超えて取り戻しに行く。

メガホンをとるのは、[僕等がいた][ぼくは明日、昨日のきみとデートする][アオハライド][坂道のアポロン][フォルトゥナの瞳][思い、思われ、ふり、ふられ]などや、賢人君の初主演映画[管制塔;'11]も手掛けたで知られる三木孝浩監督。脚本は三木監督と[陽だまりの彼女]でタッグを組んだ、[影踏み]などの菅野友恵氏。三木監督は映画長編デビュー作[ソラニン]から10年目の今年、世界中にファンを抱える伝説のSF小説に挑む。

撮影は今年初旬に行われ、1995年時を描く撮影では、当時使われていた小道具をスタッフが集めたり新たに作り上げたりしながら詳細に再現した。95年のシーンでは、コードレスフォンやテレビデオが登場するなど当時を再現。95年はまだ賢人君が生まれて間もない頃だが、当時を知らないからこそ新鮮に感じていたとい30年の時空を超えた高倉の冒険を、リアリティーを大切にしつつ描き出す。


◎『夏への扉』あらすじ
1995年東京。高倉宗一郎(山崎賢人)は尊敬する偉大な科学者であった亡き父の親友・松下の遺志を継いだプラズマ蓄電池の完成を目前に控えていた。愛猫のピートと、松下の娘・璃子との穏やかな日常の中で、研究に没頭する日々を送っていたが、信頼していた共同経営者と婚約者の裏切りにあい、自身の会社も発明途中のロボットや蓄電池も奪われてしまう。

さらに宗一郎は人体を冷凍し未来に行ける装置・コールドスリープに入れられ、目が覚めた時そこは、2025年の東京だった。ピートや璃子の死を知り、すべてを失ったと知る宗一郎は、変えられた運命を取り戻すため、30年の時を超えてリベンジを誓うー。


▽山崎賢人コメント
もともとSF好きな僕が、SF小説の原点ともいえるような名作をもとにした作品に出演させて頂けたこと、そして三木監督と一緒にこの作品を作ることができたことをとてもうれしく思います。
「夏への扉」はSFという非現実的な世界観の中で、宗一郎や周りの登場人物が見せるあきらめの悪さを描いた人間臭い物語です。
1995年を舞台にしたレトロでチャーミングなセットや、SF要素全開のセット、90年代の衣装に近未来的な衣装…毎日ワクワクしながら現場を過ごしました。まだ映画を見れていないのですが、各部署がこだわりぬいて作った世界がどのように映画として形になっているのか、僕も今から楽しみです。
原作とは違った映画ならではの設定も加わり、とても素敵な映画になっていると思います。
愛おしくて、ワクワクするような、そんな映画をお届けできる日を楽しみにしています。

▽三木孝浩監督コメント
古典中の古典である名作SF小説『夏への扉』を今の日本で映画化???
最初、小川プロデューサーからこの企画の話をいただいた時、そのチャレンジのあまりの無謀さに不安を感じる一方、それ以上にワクワクしてしまっている自分がいました。
思い返せば、幼き頃に観て心躍らせた80年代ハリウッドSF映画は、まさにこの原作のような、荒唐無稽だけどどこかファニーでドキドキするアトラクションのような作品ばかりでした。
そんな原作を日本で実写化するチャレンジャーとして任命された事を本当に光栄に思います。
同じくこの企画に賛同し集まってくれたステキなキャストの皆さんと共に、やるからにはあの頃の自分と同じように心躍らせながら老若男女みんなで楽しめるエンタテイメント作品に仕上げたいと思います!

▽小川真司プロデューサーコメント
オールタイムベストのアンケートをとれば常に上位、SFファンの間で名作の誉れ高い「夏への扉」。1979年の初読以来、映画化はずっとずっと個人的な夢でした。原作者は「機動戦士ガンダム」の設定に影響を与えハリウッドでも映画化された「宇宙の戦士」(映画タイトル『スターシップ・トゥルーパーズ』)で有名なSFの巨匠作家ロバート・A・ハインライン。タイムトラベルものは映画『バック・トゥー・ザ・フューチャー』も含めて数々あれど、時間旅行ものというジャンルを確立させた本作は後の作品に大きな影響を与えた古典中の古典と言えるでしょう。
だからこそ映画化という高いハードルを乗り越えるためには強力な監督脚本コンビが必要で、『陽だまりの彼女』でいっしょに組んだ三木孝浩監督と菅野友恵さんしかいない!と二人に依頼、再びタッグを組んでいただきました。そしてピュアさ誠実さの表現に関しては当代随一の山崎賢人さんを主演に迎えることができました。重要な登場猫のピートと山崎さんの共演も大きな見所の一つです。どん底からの逆転とタイムトラベルをミックスしたストーリーの面白さをあますところなく入れこんだ本作、未来が不明瞭な今だからこそ、皆さんに早くお届けしたいと思っています。


映画『夏への扉』は2021年全国公開。