1969年に東京大学で行われた作家・三島由紀夫と東大全共闘との討論会の様子を切り取り、三島の生き様を映したドキュメンタリー映画『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』が、3/20より全国公開されることが決定。公開決定に伴い、三島の「私は安心している人間が嫌いなので」「言霊を私は残して去っていく」という発言を収めたYouTubeに特報映像とポスタービジュアルもお披露目された。併せて、ナビゲーターを自他ともに認める歴史好きの俳優の東出昌大が務めることも発表された。歴史小説を愛読するなど、史話への造詣の深さは芸能界屈指。今回、戦後の日本文学界を代表する作家で、東出君が「不世出の天才」と仰ぐ文豪の生きざまを語り継ぐべく、“三島フリーク”として大役を全うする。

本作は、1969年5月13日に東大駒場キャンパス900番教室で行われた「三島由紀夫 VS 東大全共闘」の討論会の記録を高精細映像にリストアし、当時の関係者や現代の文学者、ジャーナリストなどの識者ほか、三島由紀夫についての「生きた」証言を集めたドキュメンタリー作品。当時の息づかいが伝わるような高精細な映像に加え、関係者の証言も収められている。

1969年5月13日に行われた討論会には、武装化していた東大全共闘ら1000人を超える学生が結集。警視庁の警護の申し出を断り、単身で赴いた三島との討論は、2時間半にも及んだ。70年11月25日に自決する三島が、死をも覚悟して討論会に臨み、その煌めきをまざまざと見せつけた“奇跡のような時間”となった。

当時、武装化していた東大全共闘ら1000人を超える学生が集まる討論会に、警視庁の警護の申し出を断り単身で赴いた三島。そして行われた討論会は2時間半にも及んだ。2019年、その討論会を収めた貴重な記録映像のフィルム原盤が倉庫から発見された。修復されよみがえった映像から浮かび上がったのは、まばゆい輝きを放つ三島の姿だった。最大の目玉は昨年、フィルム原盤として発見された討論会の模様を収めた貴重な記録映像。今回、高精細映像に編集して初めて現代に蘇る。

討論会を収めた貴重な記録映像のフィルム原盤が倉庫から発見されたのは、19年のこと。本作は同映像をリストアし、芥正彦(東大全共闘)、木村修(東大全共闘)、橋爪大三郎(東大全共闘)、篠原裕(楯の会1期生)、宮澤章友(楯の会1期生)、原昭弘(楯の会1期生)、椎根和(平凡パンチ編集者)、清水寛(新潮社カメラマン)、小川邦雄(TBS記者)といった関係者(肩書は当時のもの)に加え、平野啓一郎、内田樹、小熊英二、瀬戸内寂聴が出演。三島についての“生きた”証言によって、討論会の全貌を明らかにする。

メガホンをとったのは、映画[裁判長!ここは懲役4年でどうすか;'10]、東出君主演の[ヒーローマニア −生活−;'16]などの豊島圭介。東出君は三島が陸上自衛隊市ケ谷駐屯地(現防衛省)で自決した70年11月25日に最終回原稿を書き上げた小説[豊饒(ほうじょう)の海]の舞台版(;'18)で主演を務めており、製作陣からのオファーを快諾し、ナビゲーターを担当することになった。今回も畏敬の念を抱きながらナビゲーターを“熱演”。「思春期の頃よりとりこ」と公言し、三島作品を読破するほどの大ファンで「三島と同窓(東大出身)の豊島監督がどのような視点で映像作品にされるのか、大変興味がありました」とオファーを快諾した。

発表とあわせて特報映像、ポスタービジュアルが公開。「三島由紀夫、自決1年前の伝説的決闘が蘇る」というナレーションで始まる特報では、マイクを手にした三島が「私は安心している人間が嫌いなんで」と述べる様子や、東大全共闘の姿、「革命じゃねえんだぞ、バカ野郎!」という罵声、三島の「その言葉を、言霊を私は残して去っていくんで」という言葉などが確認できる。またポスタービジュアルには「圧倒的熱量を、体感。」というコピーが使用されている。


▽東出昌大コメント
・ナビゲーターのオファーがあったことについて
三島と同窓の豊島監督が、どのような視点で映像作品にされるのか、大変興味がありました。『討論 三島由紀夫vs東大全共闘』は以前拝読しましたが、映像作品化される事によってよりスムーズに、この時代、日本人、現代を再考し、発見が生まれる機会が得られる事を期待しております。

・三島由紀夫の印象について
不世出の天才。

▽平野隆コメント
「議論する」なんてダサイ。「熱くなる」なんてカッコ悪い。
そんな風潮が蔓延している昨今、この映画はドンキホーテの如く何かに向かって疾走しています。
文化、芸術、政治に於いて60年代は日本、そして世界が最も輝いていた時代であると憧憬しておりましたが、その締めくくりに過激なほど熱い男達のドラマが繰り広げられていたのです。
今回、緑山スタジオで新たに発見されたフィルムによって皆様にこの熱狂のドキュメンタリー映画をお届けする事が出来ることとなりました。
日本が生んだ最強の作家・三島由紀夫と知の巨人達との論戦はまるでアクション映画を観ているようにスリリングで手に汗握ります。大きなスクリーンで観たい、観て頂きたいという思いから映画化の道がひらけました。
この天才たちの饗宴は天才VS天才であるが故に時に難解ではありますが、理解するのではなく“体感”して頂ければ、最後に極上の感慨に浸ることも出来るかと思われます。
製作者としては勿論若い人達にも観ては欲しいのですが、こんな“特別なもの”はオッサン達だけで熱狂するのも悪くはないと思います。

▽豊島圭介監督コメント
とにかく濃い。映っている人間たちがべらぼうに濃い。文豪でありながら身体を鍛え上げ民兵組織「楯の会」を作るような奇妙なスーパースター三島由紀夫は、千人の敵をまとめてなぎ倒すつもりで討論に来ている。特濃である。迎え撃つ東大全共闘も、挑発したり、恫喝したり、内輪もめしたり、こちらもかなりの濃度で三島に挑む。とにかく全員が、火傷しそうに熱い。50年経った今の姿も登場するが、よく見てほしい。「なんだ昔より熱いじゃないか」とたまげるはずだ。映画館を出たとき、たぶん日本はこれまでと違って見える。そんな映画です。