小鳥が怪我をしていた。
淡いブルーのグラデーションに、疎らに散った赤黒い飛沫。
猫にでも追いかけられたのだろう、弱々しく翼を動かしていた。
僕は小鳥を家に持ち帰った。
傷の消毒をして、包帯を巻いた。
篭のなかに寝床を用意してやった。
何度も何度も包帯を代えた。
やがて篭のなかを飛び回るようになった小鳥を、時々外にだして遊ぶ。
小鳥は空を眺めていた。
何度も何度も窓硝子にぶつかった。
僕は小鳥の片翼を鋏で切った。
淡いブルーの羽が舞った。
小鳥が啼いた。
これでもう硝子にぶつかって痛い思いをしないですむ。
僕はよかったね、と小鳥に呼びかけ、篭のなかに戻してあげた。
すると今度は篭からでて床に転がっていた。
片翼をばたばたと動かしてもがいていた。
また羽が舞った。
僕は小鳥の足をへし折った。
小鳥が啼いた。
これでもう床に落ちることはない。
そうだ、もうひとつ。
僕は小鳥を篭のなかにいれ、入り口に南京錠を付けた。
これでもう怖い目に会わなくてすむ。
僕はよかったね、と小鳥に呼びかけた。
小鳥は弱々しく啼いて、それっきりだった。