スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

落書き

美術の時に描いてた落書き。
いまも時々増えてます。

心族会議

久しぶりに会った彼女は、目を真っ赤に腫らして泣いていた。
最後に彼女に出会ったのは何時だったか。
その時も彼女は泣いていた。
うさぎみたいに目が真っ赤だった。
どうして泣いているの、と尋ねれば、
泣きたいから泣いているのだと彼女は言う。
どうして泣きたいの、と尋ねれば、
苦しいから泣きたいのだと彼女は言う。
どうして苦しいの、と尋ねれば、
あなたが苦しんでるから苦しいのだと彼女は言う。
どうしてそんなことを言うの、と尋ねれば、
これが何かわかるかしら、と彼女は自ら来ていた服を脱ぎ捨てた。
なにも言い返せなかった。
彼女は血塗れ。
体のあちこちにざくろの割れ目のような傷ができ、左手があらぬ方向を向いていた。
所々白いものも覗いている。
わからないでしょう、と彼女は言う。

『私はあなた』

彼女は言う。

『あなたはあなた』

彼女は言う。

『私の痛みはあなたの痛み』

彼女は言う。

『あなたの痛みはあなたの痛み』

あなたはだあれと、私は言った。

『私はあなた』
『あなたの心が痛いときには私も痛い』
『痛いときには泣いたらいいじゃない』
『泣けないときには私が痛みを引き受ける』
『ほら、私が誰かわかったでしょう?』

『私』は笑う。

気付けば私は泣いていた。
『私』が今まで泣いていたのと同じくらい泣いていた。

『私』は私にこう言った。

『あなたの目、うさぎみたいに真っ赤っ赤よ』
前の記事へ 次の記事へ