久しぶりに会った彼女は、目を真っ赤に腫らして泣いていた。
最後に彼女に出会ったのは何時だったか。
その時も彼女は泣いていた。
うさぎみたいに目が真っ赤だった。
どうして泣いているの、と尋ねれば、
泣きたいから泣いているのだと彼女は言う。
どうして泣きたいの、と尋ねれば、
苦しいから泣きたいのだと彼女は言う。
どうして苦しいの、と尋ねれば、
あなたが苦しんでるから苦しいのだと彼女は言う。
どうしてそんなことを言うの、と尋ねれば、
これが何かわかるかしら、と彼女は自ら来ていた服を脱ぎ捨てた。
なにも言い返せなかった。
彼女は血塗れ。
体のあちこちにざくろの割れ目のような傷ができ、左手があらぬ方向を向いていた。
所々白いものも覗いている。
わからないでしょう、と彼女は言う。

『私はあなた』

彼女は言う。

『あなたはあなた』

彼女は言う。

『私の痛みはあなたの痛み』

彼女は言う。

『あなたの痛みはあなたの痛み』

あなたはだあれと、私は言った。

『私はあなた』
『あなたの心が痛いときには私も痛い』
『痛いときには泣いたらいいじゃない』
『泣けないときには私が痛みを引き受ける』
『ほら、私が誰かわかったでしょう?』

『私』は笑う。

気付けば私は泣いていた。
『私』が今まで泣いていたのと同じくらい泣いていた。

『私』は私にこう言った。

『あなたの目、うさぎみたいに真っ赤っ赤よ』