火傷の様にセンチメンタル振りかざしても、虚しいだけだった。
ゆっくり、ゆっくり。
肺に充満する害は、安らかに眠るまじない。
所詮、模倣品の自我。
さよなら、今日の日。
さよなら、
さよなら。
また会う日まで。
ライターのオイルが香ってきた。
冬になったらしい。
今日は朧月夜。
星は霞んで、月はぼやけて。
誰もいない部屋。
一人分だけの空間に座ってみても、やるせなくなる。
天賦の才を何一つ持ち合わせない、ただの人間。
紡ぎ出す言葉に重みはなく、するりと消え入ってしまう。
それが、ただ、悲しい。
煙草の煙と一緒に消えてしまいたくもなる。
へらへらと、突っ掛かる疑問を受け流して仕舞えば、世界は簡単に見えた。
ゆらゆら、消え入る瞬間に見る残像、残骸。
それを握り締めて粉々にしても、両肩にのしかかる記憶と過去に、今夜は押し潰されそうで。