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I loved you.

久しぶりの更新は10年後円豪小説ですよー。
とりあえず独断と偏見の上に成り立ってます。

私個人としては聖帝≠豪炎寺派(っつーか願望)ですが、今回は聖帝=豪炎寺です。

で、10年後で円←豪。そしてやっぱり円夏。
円堂さんの結婚した時期捏造。

シリアスです。
イシドさんが語って?ます。

よろしい方は↓へ













「ずっと一緒にいような!」

そう、

「そう言ったのはお前なのに・・・」


馬鹿らしい。
そう呟いてベッドから降りた。俺はもうあの時の俺じゃない。もうあんな男一人に馬鹿みたいに振り回されたりしない。もう、
「聖帝様、本日はどうなさいますか」
「・・・いつも通りでいい。何かあれば呼ぶ、今は下がれ」
「はい」
あのやけに癇に障る男・・・黒木だったかを下がらせて、彼は豪奢なイスに身体を預けた。

彼の頭を、心をかき乱すのは、とうの昔に過去に栄光と共に置いてきたはずのあの男の声、表情、感触、その全てだった。あの底抜けに明るいと思えば急に見違えたように真剣さを帯びた声、こちらを向く顔の花開いたかのような笑顔、頭を撫でる努力の証である硬く肉刺の出来た手。すべてが俺を惑わせた。夢を見させた。憧れを抱かせた。
しかしそれは、決して彼を幸せに導くことはなかった。
あの男の声も表情も感触も、すべては友愛の上だったのだ。
だから男は彼の気持ちに気付かず、いくら成長して歳を重ねても彼を違う見方で見ようとはしなかった。
そして男は、大学を卒業した後、彼のよく知る女と結婚した。
もしその女が彼と何の接点も無い女ならば、彼は今に至るまでこのように度々思い出すことはなかっただろう。未だ胸の内に残る何の役にも立たない気持ちに苦しめられることもなかっただろう。
しかし彼は、かれは。

かれはまだ、あのおとこのことをすきでいる。

それでも、そんな感情さえ、もう彼には必要ないのだ。
彼は聖帝、イシドシュウジ。
もうあの時の彼は此処には居ない。
感情も、思い出も、かつての仲間も栄光も、すべてあの鉄塔広場に置いてきた。
もう誰も、彼の心には入り込めない。

そう、かつて彼が愛した、あの男でさえも。



I loved you.
(オレハオマエヲアイシテタ) 
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