今日からまた一人、雇うことになりました。

新しく働く人には、まずぬか風呂の埋める作業から覚えてもらうのですが、慣れない内はこれだけでも難しい。
発酵させてある米ぬかは茶色く、水分も含まれてますので重い。さらさらしてても意外に重さがあってちょっと手こずる。さらさらしてる分 飛沫が飛んでしまうこともあるので注意が必要だし、万が一お客様のお顔に掛けてしまったら大変です。あと、人体は曲線なのでそれに沿ってぬかを掛けるにはドームを作るようにするのがベストです。直線的に掛けると薄い所が出来てしまうのでそれも頭に入れて。 
実地で何度もやるのが一番ですが、私の場合は姉にビシバシ教育されたので、とても恐ろしかった思い出があります。それに比べて私は優しいのか生ぬるいのか。否、教え下手なんですね(汗)だから要点以外はご本人の『思いやりセンサー』頼みです。 

それで、教えながら思ったのですが、こういうノウハウって文書化しておくべきなのでしょうか。
というのも、父がやたら張り切って方々からのご要望にお答えし、ぬか風呂を全国的に増やす意向を固めつつあります。そしたらぬかの掘り方や掛け方を知りたい人も出てくると思うので、飽くまで『私はこうしてます』という書き方でしかありませんが、参考になればなぁ・・・と思い至ったわけであります。 

教えるなんておこがましいですが、折角農業学校でクワを使ったり十一年も ぬか掘り続けてたんだから、何か出さなきゃなぁと。「畳汚す奴は人間じゃねぇ!」とかぼやいてないで、何か出さなきゃなぁ、と。(笑)

以下、覚書です↓
【ぬか堀り】
心構え:
頭は高めに、足は低めに。肩幅も念頭において頭部分は広めにする。仕上がりは可能な限りふかふかな寝床にする。
掘る手順:
1.じょれんと掛け桶を用意。場所を決める。
2.溝を掘るように身長の長さに掘る。うね上げをした人はその容量で。私はこの時、肩と足に捻出するぬかを意識してその付近にたっぷり山にしています。
3.仕上げに底を平面にしますが、寝床となるこれをふかふかにしたいので、じょれんの切っ先で底をがつがつ突き立て出来るだけ細かく解してから表面を撫でて平らにします。 これで入ってもらいます。

入ってもらう時に、足で踏むと足裏の面積だと熱いばかりなので、「熱い熱い」とお客様が足踏みして跳ね回ってる際は速やかに寝床に座って頂くよう促しましょう。 体重が分散すると熱いのが治まります。

【ぬか掛け】
心構え:
表面ではなく内側の温かいぬかが肌に当たるように工夫しましょう。そして、顔の付近は必ず手でお掛けしましょう。道具だと力加減を間違った時の被害が甚大。顔を背けられたらお客様が怖がってる証拠ですのであまり道具をお顔に近づけない事。
掛ける手順:
1.掛け桶など、掛ける道具を用意する。手でも可。
2.基本的に足から掛けます。季節が冬だったり、冷え性のお客様は足先が冷えている場合があるので、いきなり足先を掛けると熱くて堪りません。爪先以外の所から始めます。
3. 右半身、左半身、どちらからでも構いませんので掛けていきましょう。途中、ワキにポケットが出来てるので掛け方次第ではぬかが噴出してしまう恐れがあります。私もよくうっかりしてやってしまいます。ワキポケットには細心の注意を払い、静かにゆっくりとお掛けしましょう。
4.肩にしっかりお掛けしましょう。この際、顔の直ぐ側まで道具を近づけると恐怖を感じるものです。私は顔から少し離れた所に山になるように捻出分のぬかを寄せて、それを手でお掛けしています。それを喉にお掛けして、胸の辺りに厚く載っていたら軽くなるように掻き分けます。
5.反対側もお掛けしましょう。 爪先を空けている際にはここで山になるように掛けます。これで体全体にぬかが掛かったと思います。
6・微調整をします。全体的にボコボコしてたら道具で滑らかに慣らします。お客様の要望にお答えして足したり薄めたりしましょう。 足に掛けたぬかを道具で適度に押し固めましょう。これで完成です!

お客様によっては、目にぬかを置きたいとか、アイスノンを頭に置きたいとか、毛布を掛けて欲しいとか、最初の10分はうつ伏せで入りたいとか、色々あります。 特に夏のおでこにアイスノンはのぼせやすい人には必須なので、忘れないように!


こうやって書いてみると、掛ける時の方が神経使うんですねぇ。当然と言えば当然なのですが、意外に項目が増えて驚いちゃった。(笑)