ノンフィクション。
書くのが辛すぎて断念しました…




最後に画筆を握ったのは確か、高校生の頃だ。

「もう少しこう…」

まだ若い美人教師が、私の絵を修正していく。

ペインティングナイフを使い、描き込まれる狼の毛並み。

色を重ね、混ぜ、出来上がる濃淡。

私の絵なのに、私意外の手によって変えられていく。

キリキリと胸が痛んだ。

「はい、毛の流れをもっとよく思い出して」

渡される木製のパレットが、ずっしりと重かった。

集中して描いても、ダメ出しは止まない。

それはそうだろう、描かれた作品は例外なく、美術館に展示されるのだ。

入部して程なく取り組んだ油絵を、高校展に出すという。

初めての油絵が、最後の油絵となった。

美術の授業で描くことはあっても、それ以来自分の意志では描いていない。

写生画が大嫌いになった。

私は逃げ出した。

絵から、先生から、自分から。

才能が無いのは解っていた、向いていないのも。

だからやめた。

日々絵を描くことが、負担にしかならなくなっていたから。

重かった。

言葉も視線も溜め息も。

何もかも、全部。

幽霊部員になっても、先生は何も言わなかった。

私など、眼中に入っていない様で。

黙々と授業を進めていた。

それがまた悲しかった。

私は幾度も、筆を握り直した。

思う様に描けないことが分かっていたから、怖かった。

結局いつも描けなかった。

キャンバスは白いまま。

「ふぅ…」という、呆れた溜め息が鮮明に思い出される。

屈辱だった。

絵が好きなだけでは、どうにもならない現実があって。

私は挫折したのだと。

思い知らされた。


絵が駄目なら彫刻をと、滑石を彫る。



Die Fortsetzung folgt.