ただの気まぐれが、人生を変えてしまうこともある。
目立つ髪。
目立つ顔立ち。
何度か見たことがある。
その程度だった。
中2の夏季スポーツ大会。
スリルの欠片もないゲームを、場外から眺める。
するとたまたま目の前に野球のボールが飛んできたから、亜久津はそれを片手で止めた。
下手くそが、とそのままボールを投げ返せば、それはピッチャーの顔面に当たる。
それから当然一悶着。
話にならない。
亜久津は自分の思い通りにならないこの世界が、嫌いだった。
その翌日。
12時を過ぎてから学校に着くと、何やら昼休みにぶつかってしまったらしい。
廊下にあのオレンジがいて、一瞬視線がぶつかった。
「あ、亜久津っ!」
「……あ"?」
それからだ。
亜久津の人生が、狂い始めたのは。
「昨日はありがとう、ホント助かったよ」
「……」
「スポーツ大会でさ、俺んとこに飛んできた野球のボール止めてくれただろ?」
そのオレンジ色の髪の男は、ニコニコとそう笑いかけてくる。
確かにあの時、飛んできたボールが当たりそうだったのは、自分ではなくその男だった。
だが、決してそれで手を伸ばした訳じゃない。
(テメーのためじゃねーよ。)
亜久津は心の中でそう呟き。
「俺に気安く話しかけんな」
と、それだけ言って余所を向く。
それと同時にチャイムが鳴って、その男は「あ、次体育なんだった!じゃあまたな、亜久津!」とまったく動じない様子で走り去っていった。
それ以来、廊下で会う度に声を掛けられるが、全部無視。
ここまでやってもまだ明るい笑顔を向けてくる。
しかも、よりにもよってこの亜久津仁にだ。
たったあれだけのことで、何なんだコイツは、と思った。
中三に上がると、その男と同じクラスになってしまった。
そいつの名は、千石というらしい。
ああ、厄介なことになった。
そろそろ一発かまして黙らせるか。
そう考えて、気付く。
それならば、なぜ今までそうしてこなかったのか。
亜久津は自分でもその理由が分かっていなかった。
そして、ある日の夕方、近所のスーパーに買い出しに行った帰りに、偶然千石と出くわしてしまった。
一番見られたくない姿を、一番見られたくない相手に見られた。
しかし、千石がそれに触れることはなかった。
「やあ亜久津、家この辺なのか?」
「…うるせぇ」
「帰り道一緒だったんだなぁ」
千石は、見覚えのあるバッグを背負い直しながらそう呟いた。
この時間は、部活帰りの奴らが多い。
だから普段はあまりここらをぶらつかないようにしていたのに。
「亜久津ってさ、部活やってないよな?」
「…」
「勿体ないよなあ、そんな良い身体持ってんのに」
「…何が言いたい」
亜久津がイラつきながらそう返せば、千石は待ってましたというように小走りになって、亜久津の正面に立つ。
「テニス、興味ないかい?」
知っていた。
千石が背負っているバッグの中に、テニスラケットが入っていることを。
亜久津も、かつてテニスをやっていたことがあったのだ。
「去年のスポーツ大会で亜久津に助けてもらったの、あれ、ちょうど部活の大会前でさ」
千石は、亜久津の返事も聞かずに、自分の喋りたいことを喋り続ける。
それは初めて話したときから変わらない。
「俺、結構強いんだよね、テニス」
「だから、あのとき亜久津が助けてくれなかったら俺は大会に出られなくなって、団体で上に上がれなかったと思うんだ」
「まあ、君との出会いは、俺にとってラッキーだったってことだ」
千石はそう一人頷いて、亜久津の肩をぽんと叩く。
そろそろキレても良いはずだ。
それなのに、亜久津は黙ってそれを聞いていた。
なぜかはやはり分からない。
「だから、感謝ぐらいさせてくれよ」
「…だったらもう俺にかまうんじゃねーよ」
「んー、そうもいかないよ」
「……」
「まっ、気が向いたらテニス部覗きに来てくれよな。4月だし、部活始めるにはちょうど良い時期だろう?」
千石には、悪意がない。
他の人間が亜久津と対峙するときには、大抵、恐怖、軽蔑、嫌悪。
それらの感情が渦巻いている。
だが、千石だけは、それを向けてこないのだ。
しかし、それだけで嫌悪感が拭えるとは、とても思えない。
「じゃあ、俺こっちだから」
また明日、と爽やかな笑顔で言われて、虫酸が走る。
テニスと聞いて、一瞬でも、行ってみようなどと思ってしまった自分自身に。
「……くだらねぇ」
あんなのは、何のスリルも感じられない。
つまらねー球遊びだ。
そう考えていたはずだったのに。
翌日、部活の時間も終わり、学校も静かになった頃。
足が勝手に、テニスコートへ向かっていた。
こんな中学でも、そこそこテニスで名を上げているらしい。
確か、最後にやったのは五年前、だったか。
何となく懐かしい気持ちで、落ちていたラケットを握り、落ちていたボールを打った。
そこで、あのジジイに出会ってしまった。
俺の人生が変わってしまうような出会い。
スリルのない人生が、微かに色づき始めている。
「亜久津ー!聞いたぞ!伴爺が、お前のこと気に入ったって!」
千石は、いつもの笑顔とは違う真剣な眼差しで、俺に手を差し伸べた。
「一緒にやろう、お前の力が必要だ」
そのオレンジ色の髪の毛は。
何かのようだとずっと思っていたけれど。
その存在と合わせて、もしかしたら、太陽なんじゃないかと。
柄にもなく、そんなことを思った。
+++++
今月のえすきゅーに影響受けて、今までで一番萌えたあくせんエピソードに色を付けてしまいました…。
たぶんペアプリ見た方が萌えますね\(^o^)/
初あくせんでしたが、アクゴクって略すんですかね?(そこから)
以下千石視点のおまけ。
「千石君って最近亜久津君と仲良いよね」
「こわくないの?」
「お金とられてるんじゃ」
「脅されてたり?」
「えっ、ないない!亜久津って、たぶん君たちが思ってるほど悪いやつじゃないよ」
「千石君優しいねー」
「好感度アップ、みたいな?」
「いや、ほんとなんだって!」
うーん、これはラッキーだけど、アンラッキー?
(ま、なかなか分かってもらうのは難しいよな…。)
ナンバーズ107「化かされた遊馬!?ギラグ狸の皮算用」感想です。
おーい!闇川がテレビでてるぞー!www
なスタートでしたが、闇川のインパクトがまったく残らないギラグのギャグシリアス回!
バリアンの情報網…だと…(*´Д`*)
ギラグちゃんそういう細かいことできるんですね〜
情報メモメモしてんのかわいすぎて…もっといろんなナンバーズクラブ(主に真月)の情報教えて下さい\(^o^)/
そんでギラグの伝説きましたね!
みんななんかちょっと悲惨かつ現実離れした過去すぎて可哀想だな〜以上の感情沸かなかったけど、ギラグちゃんの伝説超いい感じで…!
感情移入しやすいというか、日本の武将っぽく言われてるからかな?
分かりやすくてよかったです、ポン太のおかげで救いもあるし。
たぬき思いのギラグちゃん(喜楽さん)たまらんですわ〜まさか動物に優しいとか〜!
ラストのギラグはもはやヤンデレっぽくてよかったですね(笑)
どこまで操られててどこまでが正気なのか…??
さなぎちゃん観てたからわりと半分以上正気ですよね??ベクたん縛りきれてないですね??
アリトきゅんはほぼ正気残ってなかったっぽいし、服装まで変わってたのでどんだけベクターのお気に入りのオモチャなんすかぁ萌え…!
いやまあベクターじゃなくてドンサウザンド?が操ってる可能性もあるけどよくわからないですね…
そこらへんの真相を早く明かしてほしい…
でもこれギラグの中にポン太いるからいつでもヒゲはえたりする感じなんです?w
メラグってギラグに名前似すぎだしほんとあの狸姿のギラグがメラグとかでも私怒らないから、神代兄妹=バリアンだけはほんとうに、ほんとうにやめてください………!
それにしてもギラグはわりと優秀なバリアン戦士ですよね…
どんな手段使っても作戦成功させようとしてて…
ベクター除いて一番いろいろ動いて頑張ってるバリアンはギラグだと思います…
ドルベさんはちょっとね、苦労人ではあるけどもっと行動力を…(笑)
ナッシュ…こんな時君がいてくれたら…
なんだかんだやってても大切なものを守るために命張れる、だけど命を安売りしないってのがギラグのいいところですね…
アリトきゅんとか常に命懸けっぽいから。
それまで自分の手は汚さず洗脳という安全策取ってたのに、アリトの仇討ちのために命懸けたり。
それまで自分の影武者に戦わせて自分は何もしなかったのに、ポン太の命の危機には身代りになったり。
ギラグが命懸けるのはほんとにそういうギリギリのときだけで、普段は自分の命守るためにって感じもいい。
すごくいいです。
本当に大切にされてるキャラだなぁ…。
あと、六十郎じいちゃんの名字が三沢という衝撃の事実じゃんじゃじゃーんwwww
なんでここで三沢www不意打ちすぎてwww
三沢っちの子孫かなんかですかじいちゃん…。
それともスタッフ三沢って名前まだ使ってないよな?このじいちゃんの名字三沢でいいかってなりました??
いや私三沢っち大好きなので、あんなじいちゃんが三沢って名字名乗ってて…複雑ですね…
でも面白くてニヤニヤが止まらないですありがとうございます^p^
最後にちょっとギラアリの話。
アリトきゅんとせっくすしててアリトきゅんが女役と思いきやギラグちゃんのお腹からポン太生まれちゃってびっくり!な展開ありますねこれは!!(ねーよ)
はい、以上です(笑)