通話中の二条の携帯に、武から着信が入った

「また電話します」

と二条は寒川の父親に言って、武と話す


「何?」

「未だ警察に言ってない?」

「うん」

「良かった、警察に言わないで大丈夫だよ」

「何で分かる?」

「勘だけど、寒川達は僕達に何もできないよ」

「勘?」


勘なんか信じられるのか?

疑うものの、二条の祖父は神社の宮司である

宮司の三男である二条の父親は、神道系の山伏だ

(山伏には、仏教をメインとしている者、神道をメインにしている者、半々の者など色々いる)

二条の父は会社経営をしながら時々休みを取り、旅行鞄に山伏装束を入れて山に修行に行く


二条が武のように、時々修験や、両部神道(神道を取り入れた密教)の呪歌を唱えるのは、この父の影響である



「なるべくなら、警察の厄介にはなりたくないよね」

二条は言った

「だよね、いくら未成年だってね

下手したら退学になるかもしれないし

まあ、それはないだろうけどさ」


武は二条に、幽体離脱したかもしれないことを話した

「本当に出来たかどうか分からないけど、寒川の家は怨霊がいっぱいって感じがしたんだ

悪いことばっかりして来たから、相当恨み買ってると思うんだよね」

「ああ、生きてる人間達の恨みの念が、寒川達とは無関係の死霊を沢山呼び込んだのかもしれないね」

二条にも、そういう現象は何となく想像がつく

「僕も出来ることなら警察沙汰にしたくないよ」

「だろ?だから言わないで」

「分かった」