神様のカルテ公開から早1ヶ月。
番宣も雑誌露出もまさに嵐のようでしたねぇ……(苦笑)。
こちらでは触れていなかったんですが、実は公開1週目に観に行ってました。
アタシは何事も準備をしないで事に当たるのが怖いタチでして。ドラマや映画は原作があれば読んでから観るし、雑誌などのインタビューもできる限り読んで、『○○を狙ってやった』とか、『○○は苦労した』とか、事前情報を仕入れてから観るんです。何も知らないまっさらな状態で見落としてしまったら…というのが怖い。
松本さんが以前同じようなことを言っていて、『分かるわぁ(苦笑)』と思ったんですけど(^_^;)。
でも今回はさすがにやりすぎました。インタビューだけでお腹いっぱいになってしまい、肝心の映画を観た後もなかなか感想を書くキッカケがつかめなくて(爆)。
でも、せっかくレギュラー番組がお休みだしSP色々も放送前だし、この機会に振り返ります神様のカルテ。
いつものようにバリバリのネタバレなので、未見の方はご注意下さいませm(_ _)m。
さて。
観てから1ヶ月もの時間が経とうとしていますが、この映画の印象としていまだに鮮明に思い出されるのは、まずは風景の美しさです。
松本の景色、穂高の山波、ハルが撮影で登った山……どれもすごく綺麗でした。
松本の街の風景や、一止が当番で赴く田舎の診療所など、何気ない場所にもとても味があって。御嶽荘のセットの作り込み具合もすごくて。
うん、景色がまず好きだな、と。
そして翔ちゃん演じる一止。
見事に普段のキラキラしたアイドルオーラを封印して、悩める医者を演じてましたね。
後ろ姿のカットが何度もあったんですが、ちょっと猫背で覇気のない歩き方で。そうかあのなで肩は一止を演じるためにあったのか!あのなで肩で一止のオファーをもらったんじゃないか!?と思えるほど(←)、儚げで頼りなげな印象を受けました。
患者さんの急変の知らせを受けて廊下を疾走するシーンもありましたが、それもテレビで見る翔ちゃんの走り方では全然なかったですねぇ……。
一止は漱石マニアということで普段のしゃべり方が風変わりなんですが、それがいちいち面白くて。特に、『なんたる失態…』とか、予想以上の面白さでした。劇場内でも笑いが起こりましたもの(^_^;)。
主任看護師の東西さんに手厳しい扱いを受けても、しれっと変人ぶりを通す(本人無自覚)のが面白かったなぁ。
『私は妻のある身だ』
そういう意味じゃねーっつーの(爆笑)!!!!(←してないですよしたかったけど)
でも、病院スタッフと接する時のいわばオフの状態の時と、患者さんを診る時の口調は違うんですよねぇ。『あ、診察はちゃんとするんだ』ってちょっとホッとしたりして(^_^;)。(←コラ)
翔ちゃんの医師っぷりは……う〜ん、どうなんでしょう?素人目にはアリかなぁ。
内視鏡検査のシーンは深夜ZEROでメイキングをやってたもを見ましたけど、色々と考えながら何度もトライしてましたねぇ。リアリティ追求してましたねぇ。
……でも、アタシは内視鏡検査は受けたことないからこーゆーモンなのかがよく分からんのですが(爆)。
あとね、御嶽荘でのシーンが好きです。
レトロな……レトロすぎるんだけど(笑)、あの元旅館アパートでアタシも暮らしてみたいなぁ。住人は一癖も二癖もある面倒くさい人が多いけど(←コラコラ)、住んだら絶対楽しいと思います。……つまりアタシも変人だっつーことですな(笑)。
あの世間とは時の流れが違うかのような場所で生活してみたいっす。ああいうの、好き(^_^)。
でも……惜しむらくは、学士殿御嶽荘を出て行くにあたっての葛藤や、男爵の抱えているもの、学士殿と男爵と一止の関係の深さが表現し切れていない。と、思います。
パンフレットにこの3人の対談を入れて補完してるけど、DVDになったりテレビ放送されたりした時にパンフなんて誰も見ない。パンフにそんな裏話載せてもなぁ……。
時間の制約やらなんやらがあったんでしょうが、短いカットでもいいからもっと3人の関係性を入れてほしかったです。それがあって初めて、学士殿が出て行く時のみんなの涙の意味がより深くなるんじゃなかろうか……。
あと、やっぱり素人が見ても分かっちゃった医療の現場としての嘘(笑)。
まず、当直明けの一止先生。
疲れ切って床で寝てますが……あら、ほっぺもアゴもツルツルで(・ω・;)。
そこはガチ無精髭生やして撮影してほしかったなぁ(笑)。いくらアイドルでも、すでにその髪型なんだし(爆)、『黄色い涙』ではあそこまでやっちゃったんだし(爆)(爆)、……見たかったなぁ、翔ちゃんの無精髭。
あと、ラスト近くの屋上でのシーン。
いくら死期が近い患者さんのためでも、あんなにたくさんのスタッフが1人の患者のためだけに、真っ昼間に集合できるワケないじゃん!というツッコミです(笑)。
でもコレは、原作者の夏川先生も『現実的には無理』っておっしゃってました(笑)。
併せて、『でも映画のウソとしては素晴らしいと思う』とも。
そうですよね。素晴らしいファンタジーだった。
『あり得ない!』って思うけど、自分が身寄りがない、死期の近いのを知ってる患者だとしたら……あんな風にしてもらえたら、ちょっと嬉しいかもしれませんなぁ。
それから、衝撃のラストシーン(笑)。
一止先生!榛名姫!あなた方、ヤることヤってたのね(≧∀≦ノ)ノ!!?(←言葉慎めや)
あの一止の慌てっぷりはよかったなぁ……(ニヤニヤ)。
今後の2人の生活や関係性はどう変わるんでしょうね。妄想するとかなり楽しいです。うふ。
あとは……キャスティングに対する賛否ですね。
池脇千鶴さん演じる東西主任看護師はよかったなぁ。立場が上であるはずの一止にもズバズバものを言うところも、新米看護師の水無さんを叱ったり諭したりするところも、カッコよかったです。
キャストに池脇さんのお名前を発見した時は、水無が池脇さんだと思ったんですよ。初々しい、可愛らしいカンジの役の印象が強いもので。
でも、気付けば彼女もアラサーなんですな。デキる主任の雰囲気を醸し出す(あくまで素人目線)池脇さんが、新鮮かつお素敵でした(^_^)。
柄本さん演じる貫田先生は、原作の2人のキャラクターを1人に統合した一癖二癖どころじゃない役でしたが、さすがだなぁ、と。
あの絡みづらい雰囲気はすごい(笑)!ってのもあるし、飄々としつつも一止を導いたり裏で手を回したりするのが面白かったです。
そうそう。パンフレットを見たら、柄本さんが監督のことを『いい意味で映画に対しては変態だね』とおっしゃってて、ちょっと笑ってしまいました。ここにもホメ言葉として『変態』を使う方がいました(^_^;)。
つーか監督……変態なんだ(笑)。(←映画に関してだっつーの)
逆に、うーむ……(-"-;)。となってしまったのが、安曇さん役が加賀まりこさんだということ。
これはただ単に原作を読んだ時に、アタシが安曇さんをもっと線の細い弱々しい方としてイメージをインプットしてしまっただけなんですけどね。
安曇さんの最後は見事なものでしたが、それをやってのけたのが加賀さんのような、お強そうな女優さんだとつい『あぁ、あるかも』って思ってしまうんですよ(^_^;)。もっと普通っぽい方だったら、『おぉ(゜∀゜;ノ)ノ!』という驚きが生まれると思うんですが……けっこう加賀さんの安曇さん、好評価ですよね。
確かに、話の流れの中でどんどん痩せていく女優根性はすごいと思いますが……。
自分の持ったイメージと、監督がやりたい安曇さんのイメージが最後まで歩み寄れなかったんですね。ま、こういう意見のヤツもいると、読み流して下さいませm(_ _)m。
そして、この映画の中で描かれていた医療の現実。
身内に年取った病人もいるし、父母も確実に老いてきているし。アタシは現在の日本の医療の在り方に無関心ではいられません。
でも、なにが正解なのか……そもそも、正解というものがあるのかすらも分かりません。
医療者にはこうあって欲しい、と望むことすら、望んでいいのかどうかも分からない。だって、テレビ等で見るだけでも望むことすら申し訳ないほど、医療の現場が過酷そうなんですもの(・ω・;)。
肋骨を全部折っても、身内の到着まで臨終を保たせなければならない、ってマジですか?そりゃないぜ……と、アタシがこの映画で唯一泣いたのはこのシーンでした。
近い将来身内が、そしていつかはアタシもお世話になるであろう終末期医療について、色々と考えさせられました。気付きのきっかけをもらいました。
翔ちゃんが主演じゃなかったら、観に行ったかどうか分からないですからね。ありがたいことですm(_ _)m。
最後に。
ものすごく悩んで、嵐としての仕事中も役を引きずっていたという翔ちゃん。そうなって当然くらいの重いテーマでしたね。
でも、撮影期間中に放送されたレギュラー番組からも、オトノハからも、そういった苦悩はアタシには感じ取れませんでした。うーん、お見事。プロですな。
アタシは今、この映画がどんな数字を出しているのかは全く知らないし、今後も興味はありません。
でも、たとえ数字が商業的に驚くようなものを残さなかったとしても、アタシの記憶にはしっかりと残る映画でした。
翔ちゃんと、共演者の皆様とスタッフの皆様に、心からのお疲れ様を。