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突発的シリアス




 身体がとっても重い。
 
 痛い、痛い。
 脈打つ度に、痛みが襲う。

 呼吸が出来ない。

 あかく、あかく、染まっていくーー



 霞んでいく視界に、涙で濡れた君の頬。
 

 ああ、違うよ。
 俺は君のそんな顔がみたいわけじゃないのに。どうして泣いているんだい?


 手を伸ばして、この指先で、その滴をぬぐってやりたい。なのに、どうしてだろう。ちっとも身体が動かない。


 君の悲痛な声が、誰かの名を呼ぶ。
 これは、自分の名前だ。わかっているのに、応えてやりたいのに、喉から出るのはかすれた音だけで、ちっとも言葉にならない。

 
 違うよ。
 俺は、君の涙なんて望んでいない。

 泣かないで、君の笑顔は素敵なんだから。
 俺の心を暖かくしてくれるんだから。

 だから、泣かないで。


「……わらって」


 なんて、頼りのない声だろう。
 俺はなんて、情けないんだろう。


 さいご、視界で君がわらう。涙をたたえて、精一杯わらう。


 あかく、あかく染まっていく。



 ごめんね、俺はちっとも、君を救えやしない。

 ごめんね、君をおいていってしまう。


 
 淡い意識、思い出したのは、かつてのメロディ。
 
 きみとの日々。紡げなかった、約束の唄。
 

 ごめんね。

 さようなら。

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