使用済みベッド

　



　愛してる、といくら叫べば届くだろう。
　触れるのはきみしかいないのに、どうすれば信じてもらえるだろう。
　案外、別れは近いんだろうな。
　はやく死んでくれないか、わたしの心臓。
　笑って逃げ出してやろう。
　愛など忘れた顔で生きていたい。
　嫌いになれるならどれほど楽になれるかな。
　此の愛はどうすれば届く？
　愛してるが届けばいい。
　此の心臓から飛び出してきみのいる場所へ。



愛よ届け。
愛よ届け。
愛よ届け。
愛よ届け。



　きみだからそばにいたいんだよ。

　
　頼むからもう泣かないで。
　小さな子どもみたいに縋らないで。
　わたしはしいちゃんのお母さんにはなれないし、縋られてもきっと一緒に崩れてしまう。
　信じられないなら、すこし離れてみようよ。
　そのまま嫌いになっても文句は言わないから。
　同じことで二日連続けんかだなんて笑っちゃうよ。


もう謝らないで

　賭をしよう。
　賭ける相手はわたし自身。
　彼女の誕生日までにわたし達が
　離れなかったらわたしは周囲に
　カミングアウトをしよう。
　父に会いにいこう。
　少しでも幸せだと笑ってやろう。
　わたしは過去から逃げなければ。
　今、受け入れたら壊れてしまいそうで、怖いのだ。
　だから今は逃げなければ。
　幸福な家族を忘れなくては。


　しいちゃん、こんな不器用なわたしでごめんね。

　大好きなうちに別れてしまいたかった。
　大切なはずのネックレスが、まるで鉄のように重い。首輪の代わりみたいだ。
　息苦しいよ、どうしようもなくつらい。
　わたしの心は、やはり解っていないんだね。
　わたしはきっときみの受け皿にはなりえるけれど、きみはわたしの受け皿には小さすぎる。
　いまさら遅いよ。
　もう、いやなの。
　あいたくない、学校なんて行かない。
　こんな感情、間違っていると解っているよ。
　でもくるしいんだ。
　逃げ出したくてどうしようもない。
　大嫌いだ、きみなんか大嫌い。
　きらい、さわらないで。
　抱き締めないで。
　わたしの為に泣いたりしないで。
　どうでもいい存在だったはずでしょう？
　戻りたいの、ゼロになりたい。
　単純に好きだと思えた関係に帰りたい。
　ごめんね、本当にごめんなさい。
　もう、だいすき、なんて自分に言い聞かせたくないの。
　それなのにね、勝手に好きだと言うんだよ。
　だいすきだって笑うんだよ。
　わたしはあたまがおかしいね。はやくしんでしまえばいい。
　しいちゃんがすきだよ、だからしいちゃんがだめになるまえにわたしはいなくならなければ

　本音がどうしても零せない自分を殺したい。
　ほんとうは嫌いになってほしいのだ。
　ほんとうはひとりにさせてほしいのだ。
　けれど、そう言ってしまえば彼女はわたしを優先するだろう。
　わたしを嫌いだと言って離れていくだろう。
　それはひどくつらくて。
　どうして彼女を傷つけることしか出来ないのだろう。
　どうして彼女を泣かせてしまうのだろう。
　こんなにもすきなのに。
　こんなにも愛しているのに。



　消えたいよ、ちくしょう