5人の作家サンによる短編5作です。

テーマは「さがしもの」
主人公は中学生
どこかの街が舞台
と、もうひとつ…


年齢は中学生じゃないのもありましたが、どれも良かったです。

最初は子どもを強調した話から始まり、だんだんと大人な物語になって、また中学生に戻る。

全部が繋がっていないようで、何かが繋がっている…そんな作品でした。


では気に入ったものだけ感想を。

『ハンカチの木』永井するみ

主人公の自分だけの秘密を教えて欲しくて、友達が空回りする話です。
大切なモノを閉まった鞄の鍵の行方。
そして可愛い男の子との偶然の出会い。
友情について書かれた、わりとのんびりしたお話でした。


『いっちゃん』花形みつる

主人公のヒーローだったいっちゃんが、ヘタレ教師になって帰って来た。
それを認めるのが嫌で八つ当たりをしたり、庇ったり。
女の子といっちゃんを思って、あくせくするのが面白かったです。
この作品が一番。


『アヴァロンを探して』香谷美季

又貸しで回ってきた漫画を気に入りすぎて、友達に返せない主人公。
3年経った頃、友達の弟からの突然の呼び出しに緊張しながらもキチンと持参。
そして驚愕の半事実を聞くという。
情けないというか、魔がさしてタイミングまで逃した可哀想なお話です。
弟が、意地悪すぎて面白かったですけど。


『神様のさいころ』石崎洋司

メールや色々なモノにとらわれている主人公が、偶然同級生の男子と再会をする。
サイコロを使って行く道を決める男子。
偶然という必然に魅せられて、主人公もサイコロを使い始めた。
自由というものを目指した、2人の話です。
偶然だから許せるし、こうしたらこうなるという考えがあるから辛くなる。
なるほど深い話でした。