アリウムで連載中の

【Trigger】

使いたいネタが浮かび、構想してあったシーン用に書いてみたので一応載せておきます。
※人物※
ミレイ=主人公
ミリア=母親
シュヴァルツ=社長


【-mother(仮)-】
※社長の回想偏


殺したく無かった…

だが、彼女がああしてくれないと、わたしには殺せなかった。

いや、それは正しい表現ではないな。

どうしたって、わたしには彼女を殺す事などできなかったのだから。

あの日を…今でも、悔いている。

「ミレイを…よろしくね」

彼女はそう言って崖の端に立ち、こちらを振り返った。

「シュヴァルツ…ありがとう」

それ以上、ミリアが言葉を紡ぐ事は無かった。

「ミリア!」

不意にに差し出された手を握ろうと、わたしは必死に手を伸ばして。

でも届かなかった。

ミリアはそのまま後ろ向きに、倒れて落ちて行くばかりで。

当たり前だ。

彼女には、わたしの手を取ろうという意志が無かったのだから。

「っく…ミリアァアアアア!!」

あぁ…きっと、助かる事はないんだ。

助かったとしても…貴女は、必ずその命を、自ら絶とうとするに決まってる。

貴女の愛娘、ミレイと…俺の為に。

貴女は優しいから。

逃げるなんて選択は、貴女の中には…最初から無かったんだ。

なんて馬鹿な人。

なんて…

なんて綺麗な笑顔だっただろう。

とても死に行く人間には見えなかった。

聖人の様な微笑み。

いや、聖母というのが妥当か。

それは間違い無く俺に…俺達に、向けられたものだった。


 Continue..



【-I'm mather(仮)-】※母親視点偏


怖いのよ。

私の存在が、忘れられてしまう事が。

大切な人にとって、私がいない日常が当たり前になってしまう事が。

死ぬよりもずっと辛くて耐えられないの。

私がこの世に、最初から存在していなかったみたいで、すごく怖いけれど。

でもそれよりもっと、私のせいで誰かに迷惑がかかる事の方が…辛い。

今みたいに苦しい。

私は、苦しくて辛いのが嫌だから。

だから私は、自ら手を下さなければ。

優しすぎるあの人には、優しいままでいてほしいから。

そして何よりも、自分で片を付けられない私なんて、あの子には見せたくないもの。

せめて私は、私の正しいと思った道を歩み続けたい。


 Continue...



はい、本編とは繋がらない複雑なお話しです。

主人公の過去。

主人公に直接関係のある、最初の物語。

この物語の、First storyです。


私が常に、またはフッとした時に思ったメッセージを込めて書いて参りました。

この【Trigger】

私にとって、一番大切な物語になりそうです。笑