この世界はめちゃくちゃだ。

戦いで死んでしまったら、足から伸びた白い布により、地面に吸い込まれて行く。

「…ぐっ、どうしてとどめをささない?」

敵だった彼は聞く。

『一緒に行かない?』

手を差し伸べる。

「正気か?」

この世界は狂ってる。

地面に吸い込まれて行った人間は、人間を殺害する兵器となり果てる。

『殺人鬼にはなりたくないでしょう?』

「それも一興じゃないか?なぁ…」

死体に話し掛ける彼の目の前で、火を放った。

『こうすれば、殺人鬼になる事は無いの』

仲間も数人やられた、こうするしか仕方無い。

「…っ、く」

仲間を思う気持ちは、彼だって変わらない。

「俺だけが生きてちゃいけないんだ、そうだろう?なぁ」

『あなたを庇って死んだ者達はどうするの』

みんながみんな、あなたを慕っていたんじゃないの?

「…情けない」

『そうね。情けないなりに生きてみなさいよ』

…彼は今度こそ、私の手を取った。

「…あぁ、それが逝ってしまった奴らの願いなら」

こうして、私達の戦いは 続いて行く。

「ほら、乗れよ」

仲間の1人が6人乗りバイクを指す。

『すごい、こんな乗り物…』

「…運転できるのか?」

彼が仲間に問う。

「あぁ、たぶんな」

曖昧な返事をして、ニヤリと笑う。

「…」

無言の彼を載せたバイクは走り出した。

山道を走り抜ける。

「おい!止めろ!」

彼が大声で叫んだ。

「…っ、」

急カーブを曲がりきれなかったのだ。

『…!!』

ガシャン!

派手にガードレールに突っ込み、宙を舞う。

『いやぁああああああああああ』

そんな、

こんなところで、

こんなところで終わる訳にはいかないのに…!

まだ私は、何もできていないのに…!

…結局、誰も救えやしなかった。

私は、無力だ。



To be continued.