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無題



突然不躾に呼びつけられても
無いはずの尾をふりながら会いに行ってしまう

いつ見ても変わらない雰囲気で
他人など気にしない突き抜けた自信から出る色気がまぶしい


『いつだって可愛いね』

「はいはい、ちがうもん」

『可愛くなかったらこんな何度も会わないでしょ?』


なんでそんなズルいことが言えるんだろう?
なんで好意の無い女にそんなことが言えるんだろう?


分かってるよ、だから
本気になんてならないけど
いつでもどろどろに甘やかしてね


求めると愛おしそうに笑ってくれることも
ごめんなさいって言うとスイッチが入ることも
息を荒らげると甘く囁いてくれることも
全部分かってやってるの

拗ねてもいいけど
我儘は言っちゃいけないこともちゃんと分かってるの

あなたが私以外の女の子に会うことを
なんとなく分かってしまっても

嫌だとは言うけれど
行かないで、とは言わないでいること
気づいてる?

あなたがそんな男なの分かってることに
気づいてる?


惨めさも嬉しさも憎しみも愛おしさも
全てひっくるめて
あなたに抱きしめられたいの


.

無題



底抜けの優しさに期待しながら玄関を開ける

お出迎えしてくれたあなたが
いつもあげてる前髪をおろしてて

『おかえり』

久しぶりに包まれる腕の中で
そっと幸せを感じたの


『〜が帰ってくる頃に』って
わたしがあなたの家に行くことを帰るって言ってくれたこと
その、さり気ない扱いの慣れがうれしくて
ちょっとつらくて

浮き足立ってしまわないように
足元を確認しながら、くれた言葉を噛み締めるの



しばらくじゃれあって二人の間の空気感が変わるとき、理性が失われる感覚を思い出してあなたを受け入れる準備をはじめる

わたしの何回りも大きい身体に揺らされながら
自分の性をジンジンと自覚する
ずっとこうしたかった、の言葉を飲み込んで
押し寄せる快楽に口を噛む



どれだけ優しい言葉を並べていようとも
踏み込ませまいとするあなたの空気感を感じながら
現実離れした時間を過ごす


家を出てしまえば他人のふたり
街ですれ違う人よりも遠いふたり





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