そんなこんなで、他愛のない話は日常茶飯事だった。

僕個人としては、速水のおかげで友達も出来たし、学校にも少しではあるけれど慣れてきた。

まぁ、これで人間嫌いも直ればいいんだけど、僕の場合は筋がねいりだったりする。



直れば、僕としても大変嬉しいんだけどね。



そして、くだらないと言っていい会話は今日も変わらない。

ひとつ変わったといったら、バカやるメンバーが増えたというところだろうか。



「ヒッサー、世界史のノート見して〜」



軽いノリで話し掛けてきたヤツは、加川龍平(かがわりゅうへい)。

茶髪にピアス、なりはあれだが意外にいい奴だ。



「龍平、また居眠りしてたんだろ?」

「ちげーよ。保健室だもんよ」

「どっちみちサボリ…だろ?」

「八代(やしろ)っ!マジビビるから、背後から近づくのはやめれ」



八代梓(あずさ)、背が高くひょろっとした変わり者。

いざという時に手を貸してくれる奴だ。



「ノート貸すのはいいけど、落書きして返すのやめろよな」

「だって、ヒッサーのノート綺麗たからつまんないじゃん」



お前なぁ、と思ったけど仕方ない許してやろう。

なんたって、コイツの落書きはプロ並みだ。

ドラゴンとか狼とか、かなりカッコイい。



僕にも特技か何かあればいいのにな、と思う。



そんな事を考えていると、視界の隅に速水を捉えた。

ふと、いつもと雰囲気が違うことに気づく。



「速水…?」

「どうしたんだ。尚志」

「八代くん。速水が少しおかしい気がしない?」

「ああ、このところはいつもそうだ」

「え?」



けど、いつもの速水にいつもの話、いつものようにバカをやっていたのは、つい昨日のことだ。

放課後だって一緒に帰って、「じゃあな〜」と大袈裟過ぎるほどに手を振って別れたんだ。



どうかんがえてもおかしい。



「本当にいつもなの?」

「ああ」

「…」



八代は、なんだ興味ないという顔で答える。

でも、八代くんが何もしてないって事は、まだヤバい事にはなってないと思う。

八代くんはそういう人だ。



けれど、何かが僕を奮い立たせるんだ。

速水をなんとかしなければ、という感情が湧き上がってくる。



「速水…」



僕は速水に声をかけた。





続く



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久しぶりの小説です。
ついうっかり2日前は載せるの忘れてました。

なので、というわけではないですが、少し長めですね。