Nさんが、
ひと回りくらい若い彼女 A子ちゃんと
幸せに過ごしていたであろうその頃、
Nさんからランチに誘われた。
彼女ができても、一緒にご飯を食べることはあったので
特に何とも思わなかったけれど、
食べ終わってNさんは一服しながら話し始めた。
『どうしたものかなぁ…と、
思ってね。』
結婚の話が出てるという。
『あら、
じゃあ一緒になればいいじゃない!』
『そんな簡単にいかないだろ。』
結婚がイヤなわけではないらしい。
A子ちゃんところの小さいお子さんも
Nさんになついている。
『すでに、家族みたいじゃない。
何が問題なの?』
『子供が欲しい…って、言うんだよね。』
40を過ぎて、若い奥さんもらって
子供も出来て…
幸せになってる人はいくらでもいる。
でも、
Nさんの性格では無理だと思った。
先妻との間のお子さんはまだ学生だったし、
その子たちはお父さんが大好きだった。
Nさんもとても可愛がっていて、
養育費も面倒見てたし。
今 再婚なんてして新たにお子さんが出来たら、今までのようにはいかなくなる。
きっとどちらも中途半端になっちゃって
Nさんはしんどい思いをすることになるだろうね。
私は、きれい事じゃなくて 思ってることを話した。
『やっぱりそう思う?
彼女も若いんだしさ、これからまだ出会いもあると思うんだよね。』
こうして、
NさんとA子ちゃんは、
数ヶ月で終わった。
あの時、
私はNさんに思いとどまるようにすすめてしまったけれど、
本当にそれがよかったのか考えることがある。
あの時の私の言葉が、
結果的に今の私を救うことになった。
世の中は
そういう風に出来てるのかなぁ。
A子ちゃんは、
またステキな人を見つけて幸せに暮らしてるだろうか。
Nさんは、
後悔していないのだろうか…
Nさんと同じ職場だった頃だから、
もう何年も前のこと。
会社の仲の良いメンバーが集まって、
何度かバーベキューをした。
その日も、
買い出しをしてキレイな河原に行きバーベキューの用意をしていた。
女性は私だけだったので、
野菜を切る担当になった。
『あれ?
Nさんは?』
『なんか 彼女を迎えに行くって言ってましたよ。』
(彼女とか連れてくるの?
マジなやつね…)
用意をしてたら
Nさんの車が見えた。
助手席からは
帽子を目深にかぶった、
小柄で華奢な女性が降りてきた。
『こちらは… A子さんです(^^;)』
照れくさそうに、みんなに彼女を紹介したNさん。
Nさんとは友達だったけれど、
やっぱり気になる存在だったから、
ホントは私、内心不機嫌だった。
今だから言うけど…
しかも、すごく若い彼女。
でも、
男だらけのバーベキューにいきなり連れて来られて、
女性は私と彼女だけだったから、
少しでも和ませてあげようとした。
積極的に話し掛けて、
バーベキュー奉行のごとく焼くのを仕切ってた私は、
『俺にも肉くださいよ〜!』
と文句言ってる後輩をそっちのけで
彼女に優先して焼いてあげた。
話し掛けると、
小さな声で答えるA子ちゃん。
何だか、
儚げで守ってあげたい感じ。
グズグズしてる後輩を罵倒しながら
肉を焼いてる私とは、正反対だな。
聞くと、
バツイチで小さいお子さんがいるとか。
こんな風に、
可愛くなれたらなぁ…
ヤキモチも妬いたけど、
やっぱり友達としては幸せそうな姿は嬉しいから、
応援しなきゃな。
って、
ちょっぴり思った。
それ以来、
A子ちゃんは
会社にお弁当を持ってくるようになった。
Nさんは普段外回りで会社にいないから、
事務所で留守番してる私が預かるハメに。
『これ…
Nさんに渡しといて下さい。』
恥ずかしそうに私にお弁当を預けて去って行くA子ちゃんが、
とてもいじらしかった。
今日は、
一緒にお休みだったのに、
私が所用のため
午後からのデートとなった。
今日はとても暑くて、
冷たいものでも飲みたいなぁ…なんて思いながら待ち合わせ場所に行ったら、
『よし、
あそこの道の駅に ソフトクリームでも食いに行こうか!』
Nさんは、
私がどんな気分なのかお見通しみたいだ。
ドライブがてら、
道の駅を目指した。
最近
Nさんと美味しいものばかり食べてる。
けんちゃんとお別れした時に減った体重は、
そろそろ元に戻りそうだ。
残念…笑
昨日は高い物を食べたので、
今日はラーメン屋さんに行くことにした。
わりと人気のあるラーメン屋さんで、
よく行くお店なんだけど、
今日はエアコンが効いていない(;゚д゚)
『暑いね(^^;)』
『エアコン壊れてるのかな。』
見渡すと、
たくさんのお客さんが文句も言わず、汗だくでラーメンをすすっている。
注文しちゃったし、
とりあえず食べることにした。
ハンカチで顔をあおぎながら食べてると、
Nさんがクスクス笑ってる。
『なに? 更年期で顔だけ暑いの?(^^ )』
『顔に汗かくのがイヤなの。
化粧取れたら誰だか分かんないでしょ( ̄∇ ̄)』
『そうだね。
向かいに知らない人が座ってたら、
オレもビックリする!』
Nさんは、
メニュー表の入ったクリアケースで私の顔をあおいでくれた。
優しいんだか ふざけてんだか( ̄∇ ̄)
いっつもこんな感じで…
帰りに、
廻り道して少し寂しい所を通った。
Nさんは、広い路肩で後続車に道を譲った。
と、思ったら
不意にひとつ kissをされた。
『よし、
今日はこれで満足(*^^*)』
ぇ〜〜〜…(;´Д`)
これだけ?
なに?
今日もこのお預けな感じ。
Nさんは明日 早出なので、
今日は早々に切り上げた。
次のデートを楽しみにしとこ。