Nさんと同じ職場だった頃だから、
もう何年も前のこと。
会社の仲の良いメンバーが集まって、
何度かバーベキューをした。
その日も、
買い出しをしてキレイな河原に行きバーベキューの用意をしていた。
女性は私だけだったので、
野菜を切る担当になった。
『あれ?
Nさんは?』
『なんか 彼女を迎えに行くって言ってましたよ。』
(彼女とか連れてくるの?
マジなやつね…)
用意をしてたら
Nさんの車が見えた。
助手席からは
帽子を目深にかぶった、
小柄で華奢な女性が降りてきた。
『こちらは… A子さんです(^^;)』
照れくさそうに、みんなに彼女を紹介したNさん。
Nさんとは友達だったけれど、
やっぱり気になる存在だったから、
ホントは私、内心不機嫌だった。
今だから言うけど…
しかも、すごく若い彼女。
でも、
男だらけのバーベキューにいきなり連れて来られて、
女性は私と彼女だけだったから、
少しでも和ませてあげようとした。
積極的に話し掛けて、
バーベキュー奉行のごとく焼くのを仕切ってた私は、
『俺にも肉くださいよ〜!』
と文句言ってる後輩をそっちのけで
彼女に優先して焼いてあげた。
話し掛けると、
小さな声で答えるA子ちゃん。
何だか、
儚げで守ってあげたい感じ。
グズグズしてる後輩を罵倒しながら
肉を焼いてる私とは、正反対だな。
聞くと、
バツイチで小さいお子さんがいるとか。
こんな風に、
可愛くなれたらなぁ…
ヤキモチも妬いたけど、
やっぱり友達としては幸せそうな姿は嬉しいから、
応援しなきゃな。
って、
ちょっぴり思った。
それ以来、
A子ちゃんは
会社にお弁当を持ってくるようになった。
Nさんは普段外回りで会社にいないから、
事務所で留守番してる私が預かるハメに。
『これ…
Nさんに渡しといて下さい。』
恥ずかしそうに私にお弁当を預けて去って行くA子ちゃんが、
とてもいじらしかった。