キサラギがディーアに絡むお話。交流が深いのは、ディーアくらい。
「ディーア。ディーア。デーィーアー!」
「なんだよ王子さん。」
「ディーアは、ジョーカーのおじさんに組手をしてるだよね。」
「あぁ。そうだ」
ほとんど父に無理矢理鬼のけいこをされている。一度も一本取ることもない組手を。
「じゃあさジョーカーおじさんと街を歩いて兄弟に間違われたこととか「ない!」
キサラギの言葉を遮って答えた。
「父さんに似ていないから間違われない。」
「えぇー。」
大声で驚かれた。そんなに驚ろくものか。
「なんで!なんで!!父上と街を歩いていたらおばさんに僕のこと弟と間違われたのに」
むぅーと頬を膨らませるキサラギ。キサラギは、子供組の中では、父親に似すぎている。タクミを幼さなく生き写したように。ディーアは、母親譲りの髪の色以外両親のどちらにも似ていない。
「ディーアは、笑っていると目元がジョー
カーさんに似ていますね。」
父と過ごした時間が長い母から言われた時だけ父に似ていることに気づかされた。
「ディーア聞いてる?僕は、弟じゃなくって子供だって言おうとしたら父上に止められておばさんからおまけもらって」
「王子さんは、タクミ伯父さんに似ているところが多いから弟に間違われただろ」
「僕は、弟じゃなくって父上の息子
なのに。顔が幼いせいかな?背が低いからなのかな?」
弟と子供の違いがわからない。子供組の中でキサラギとシノノメは、見た目が父親寄りしている。シノノメは、父のリョウマと年齢が近そうで並ぶと兄弟か双子に見えるし。キサラギは、弟のカンナと年が近いし最年少にあたている。
「キサラギおまけあるか」
「ベリーをもらったよ。」
「座って待ってろ。パイのくだもの切らしていたときにちょうどいい。」
手のひらを出すとキサラギがベリー渡す。
焼き上がったベリーのパイとお茶を出すキサラギがはぐはぐ食べた。
「がつかなくてもパイは、逃げないぞ。」
「ディーアのベリーパイは美味しいねー。」
「口のまわりをふけよー。」
ナプキンを差し出す。
「ジョーカーおじさんのパイとディーアのパイが出たら僕は、ディーアの果物の味そのまま出ている方が大好きだなー。」
「そいつは、ありがたいな。キサラギタクミ伯父さん好きだろう」
「うん。僕の強くて冷静で憧れな人。」
「じゃ。タクミ伯父さんに弟に間違えておまけをもらえても大丈夫だな。俺は、おまけをつかってデザートを作れるから一石二鳥じゃねぇか」
「じゃまたおまけもらったらディーアにあげるね。タッパー持ってきたから二つちょうだいー」
満面の笑みを浮かべるキサラギにパイを二つあげた。
「これは、タクミ伯父さんとメイド母さんの分な」
満面の笑みを浮かべキサラギは、タクミの元へ戻っていった。