私はずっと「本田透」の様な女の子になりたかった。

優しくてあったかくて、
それでいて強い。
だからこそ草摩の呪いを
解くきっかけになったんだろうし、
だからこそ彼女の周りには
たくさんの笑顔と優しさがあった。

高校ぐらいから憧れ始めた。

でもそれは、本当は弱くて、
人と関わるのが上手くなくて、
でも、誰かに愛されたくて。
必要としてほしくて。
認めてほしくて。
そんな弱虫が、
無条件で人を受け入れ、
人のために笑ったり、泣いたり出来る。
透に憧れた。
それと同時に妬ましくもあった。
たくさんの人に愛されてる透が羨ましかった。


だからこそ自分に好意をもってくれた人を好きになろうとした。
必要としてくれる人を好きになった。
認めてくれる人を好きになった。
相手がどんな思惑であっても。

それが相手を傷つけ、苦しめた。
束縛したり、無関心になったり振り回した。
表面は透のようにと演じて
裏はまるで慊人のようだった。

たくさんの友達にも迷惑かけた。
なんて私って汚いんだろう。
どうして私のまわりはきれいな人たちばかりなんだろう。