先週の月曜日、うちに迷い猫がやってきました。たぶん、生後1ヶ月もたってないと思うんです。
実は前の晩、子猫の声が近くでしてて、家の裏は県道で車がわりと通るので、心配で様子を見てみると、道の向こう側にそれらしい影が。
ちっちゃいから渡っては来ないかな? と、その晩は寝てしまいました。
そうしたら朝、玄関を出ると、すっかりかれはてて、しわがれた猫の声が。
声を追ってみると、なんと車の中から声がしました。ボンネットをあけると、中に子猫がいました。
パッと逃げて、あまやの軒下の積みあがった荷物の隙間に入ってしまったので、その時はとりあえず車を出し、出勤しました。
そして帰宅すると、子猫はまだその荷物の隙間の何処かに籠城してました。
親が言うには一晩中、庭で親を探して鳴いていたとか…。声の感じから、昨夜道の向こうにいた子猫だと思いました。
子猫は積まれた箱達の奥に姿を隠して、出て来ません。声をかければ鳴くけれど、だんだん弱くくたびれた感じになりました。
暫く様子をみても親猫がやってくる気配もない。朝夕どころか日々の寒暖の差もはげしかったので、心配でした。
実は数年前、同じ場所で何処かの、まだ大人になりたてみたいな小さな猫が、子猫を産みました。
でもその時は、1週間くらいして親猫が一匹づつ子猫をくわえて、何処かへ運んでいきました。恐らく、本来の住みかに帰っていったんでしょうね。
それが残りあと一匹っていう時、雨が降り寒さもぶり返して、子猫には厳しい環境になってしまいました。
子猫の安否が心配でした。でも親曰く、人間が一度でも手をかけてしまうと、その匂いが残って、親猫が来なくなってしまうのだそうです。
雨は幸いにも、その日にあがりましたが、とにかく寒い。それから暫く様子を見てても、あれほど毎日通ってきてたはすの親猫は、ぱったりと来なくなりました。
もう子猫がやばいかもと、覚悟して見に行くと、まだ子猫は生きていました。掌に乗せると「にゃー」って、小さな口をあけて一声鳴きました。
灰色で、目もあいたばかりでまだ見えてなさそうな、掌にすっぽり入るくらいの小さな小さな猫でした。
でも子猫はやはり、すぐ死んでしまいました。
この時、助けるならもっと早く決断しなきゃ駄目だったと後悔しました。
だから今回は、夕方にはご飯と水をあげてみました。朝起きると、減ってました。私達がいない時に、こっそり出て来て食べてたみたいです。
それから数日は朝、箱の向こうに声をかけて「にゃー」という返事を確認してから出勤するようになりました。また車の中にいたら大変ですからね。
そうして少し慣れたのか、暑い昼間は、箱の上に出てくるようになって、親が小さな段ボールの中に布を敷いた寝床を作ってやってました。
覗きにいくと、ちゃんと箱に収まってました。でも起きてて、目が合った途端に逃げられました。まだまだ警戒されてて駄目です。
夜は酷く寒くなって、親が古い薄手のセーターを入れてあげました。翌朝は、温かいセーターに埋まってましたが、昼間はまた真夏のような暑さに。セーターが端に避けられてと、親は笑ってました。
翌日、足音をたてないように、また見に行くと、今度は熟睡中でした。でも親が一度寝てる時に触ったら、気配で飛び起きて逃げたと言っていたので、そっとしておくことにしました。
でも本当は、すごく迷ったのです。今まで1メートル以内にも近付けなかったのに、この時は箱を真上から覗き込んで暫く居たのです。でも子猫には一向に起きる気配も無く。だから、たぶん捕まえられたと思うのです。
足音に気をつけて離れながら、不意に「もしかして今が最大のチャンスだったかもしれない」と思いました。そして、もしかしから最大のチャンスを逃してしまったかも…と。
物凄い不安に襲われながらも、すぐにその考えを振り切りました。「もう少し馴れて、触らしてくれるようになってからでも、いいよね。遅くないよね」と楽観したのです。
本当に、この時の予感は正しかった。
子猫は、言葉が通じてるのかな? と感じされるようなところがありました。箱の向こうに姿を隠している時も、呼べば返事をするのです。
箱の中にいる時、近づくと一目散に逃げた子猫は、一日たつごとに距離を縮めてくれました。でもやっぱり、あと40センチくらいで、立ち上がって逃げようと背を向けます。
でも不思議なことに、「大丈夫だから」と言うと、たとえ一度箱から飛び出しても、また箱の中に戻って来るようになりました。
「ごめんね、そっちには行かないから、大丈夫だから、そこにいな」とか言うと戻ってくる。ということが、数回ありました。
そしてここ数日は、少しづつ庭にも出て来て一人で遊ぶようになったそうです。残念ながら日中の話なんで、私はとうとう見れなかったんですが。
そして昨日、帰って来て箱を覗くと、眠そうな顔をしていました。でも私が行くと、目を開いちゃってジッと見詰めてきます。
とりあえず、なんとか写真を撮らせて貰って。
そしてまた眠そうにするので、「おやすみ」って言ったら、目を閉じ始めました。でもやっぱり私が気になるのか、何度も目を開けてはジッと見詰めてきます。
もう一度「おやすみ」っていうと、また徐々に目を伏せて、でもどうしても眠れないのか薄目を開けてました。さすがに可哀想なので、私は家に引っ込みました。
その時、ふと思ったのです。「また明日会えるよね?」と。
この日の夜はコウモリが沢山飛んでて、親が気にしてました。雨も降ったり止んだりで、止んだ時、私は窓を開けてました。そしたら、ガサガサとしきりに音がして、何かが鳴いてる気がしたのです。その感じから、また壁から鼠でも入ってかじってるのかな? と思いました。
翌朝、親が階下から私を呼びました。
「みーちゃんが殺されちゃったよ!」
日に日に元気に可愛くなる姿に、私も親も夢中でした。でももしこの子猫が死ぬとしたら、まだ小さいのに親猫がいないのでもたないか、家の裏の県道で事故死だと、ある程度は覚悟していたのです。
でも、こんな結末は予想できませんでした。
今は親と「可哀想なことをした」と語りながら、後悔と悔し涙ばかりが溢れてきます。
↓最後の姿になっちゃいました。